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Warmonger・Junklord〜電脳戦場の帰還者〜  作者: 泥陀羅没地
序章:屑鉄のアイン・ハート

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傭兵団を立ち上げよう・機械技師

本日の投稿

――ザッ…ザッ…ザッ…――


どこを見ても廃材の山ばかりの天然の迷路を、地図だけを頼りに進む事暫く…日が暮れ始め、橙色の光沢を放つ周囲を一瞥しながら、呟く。


「合ってるのかこの道は?」


頭に奔るのは〝裏切り〟の三文字、動機は幾つも有るし、人の情理とは時偶損得を超過した行動を生む。


「……まぁ、その時はその時で〝落とし前〟を付ければ良いか…ッ!」


そうこう言いつつ、地図を見ながら進んでいた時…俺は不意にその足を止める。


――カチャッ――


「……」


ソレは、この橙色に染まった黄昏の世界で…己を取り巻く〝違和感〟に気付いたからだ。


(メックデッドか、それとも他のプレイヤーか、漁り屋か?…〝見られている〟)


異様な静けさに、耳を澄ませれば…微かな物音と共に鼠共の声、烏の羽音…遠くに聞こえる人かメックデッドの喧騒を背景に…何かが潜んでいる…そんな〝感覚〟を覚える…そしてソレは理論でも確かな情報がある訳でもなく…俺の〝勘〟だった。


何処に居るのか、辺りに視線をやる…居ない、背後にも居ない…不気味な程、〝何も無い〟と言う事だけが浮き彫りになる…だが、その〝異常の無さ〟が、より一層この場の異様さを掻き立てる。


(〝人の痕跡〟が、まるで無い…それどころかメックデッドのあの特有の油臭さもしない、獣臭も無い…徹底して〝何も無い〟)


だが、道中この【廃材の外界】を渡り歩き…情報収集に勤しめば、嫌でも分かる…【廃材の外界(この場所)】は、俺達〝漁り屋〟にとっては、何処だろうと〝金脈〟だ…メックデッドが来ないのなら、此処は穴場の筈だろう。


(なのに、居ないと言う事は――)


――『――』――

「ッ――【加速(アクセル)】!」


其処まで思考した、その時…俺は自身の背後から感じた〝熱〟に…即座に【加速】を使う。


――ギュンッ!――


たった数メートルの高速移動…しかし、その移動のお陰で俺は命拾いする…背後から己へ突き抜けた〝熱線〟は、俺の視線の先を焼き溶かし、瓦礫の山を崩落させる…同時に、俺はエネルギー・バレットとネイルガンを構えて、攻撃手の方に視線を向ける。


「――やっぱりな、ここいら一帯を縄張りにしてる〝何か〟が居て、オマケにソイツは病的な〝綺麗好き〟…ってのは推測だが、ビンゴ――」


仕留め損なった事に驚いてか、それとも俺はソイツにとって大した脅威では無いと判断されたのか…あぁ、装備格差的には後者か、兎も角ソイツは姿を見せる。


「〝掃除屋〟…って言うよりは、〝召使い〟…メイド型アンドロイドか?」


ソレは、無表情に此方を見据える髪を結わえた黒髪のメイド…しかし、その生気のない顔の端々からはその娘が人間では無いと示す要素が見え隠れし、ソレは胴体関節の繋ぎ目等で確信を俺に与える…あと、その両腕の明らかに人を殺す事しか考えていない様な変形武装の銃と大鉈もだ…全く恐ろしいな。


――ブンッ!――


言葉の裏で【解析眼(サーチ・アイ)】を使い、相手の情報を覗き込む…しかし、その瞬間俺の目に映るのは、決して喜ばしい内容では無かった。


―――――― 

【◆■●▲】(クリアランス5)

【◆■●▲】(クリアランス5)

【◆■●▲】(クリアランス5)

――――――


〝解析失敗〟…圧倒的なシステムの性能差が齎したその情報は、それだけ彼我の戦力値が隔絶していると言う事を示していた。


「――だが、コイツは〝吉報〟か」


少なくとも、ガリウス…あの漁り屋の地図は嘘じゃなさそうだ…このメイド型アンドロイドは明らかに〝件の技師〟の手掛けた一体だろう。


「――さて、お前と俺とじゃ実力差は明白だと思うんだが…此処は一度話し合いで解決しないか?」


沈黙しながら姿を見せたメイドに、先ずは一手…軽いジャブの会話を放つ。


「――〝電脳化義体兵(サイバー・クローン)〟…【アイン】…〝ユニットナンバー〟――〝廃棄処分済み〟」


淡々と、おそらく今読み取ったのだろう俺の情報を紡ぎながらそのメイドは俺へ獲物を構える…そよ様子に俺は次のステップとして、両手に握ったエネルギー・バレットとネイルガンを地面に放り出す…つまる所〝降参〟の構えだ。


「コレを見てわかると思うが、俺はお前と事を荒立てるつもりはない…〝技師〟を探してるんだ…俺の目的に必要でね、是非御教授願いたい」


そして、此方の事情を明かすと…メイド型アンドロイドは此方を値踏みする様に、しかし機械らしい冷徹さで俺を観察する。


「……降伏及び供述内容を把握…無力化処置を施します」


そして、しばらくのあとそう告げるとメイドは銃口を下ろす…それにホッと一息を吐いたのも束の間――。


――ザザンッ!――


俺の両腕は、メイドの左手が変形した大鉈によって切飛ばされ、地面に落ちる。


「――ッ〝無力化処置〟…ね」

「――追従願えますか、識別名【アイン】」

「あぁ、願ってもないが…止血は?」

「必要有りません、生命活動に支障は無いでしょう」

「……そうか」


両腕をぶっ千切られて支障無いわけあるかッ!……と、目の前のキリングマシーンに無手(物理)で言える筈も無く…俺は、ソイツの移動に合わせて【加速】を使い追従する。


――ギギギギギッ!――


「――〝敵性反応〟――〝メックデッド・グラディエーター〟、討伐します」


――ギュンッ!――


「あんな風に動けるのか…欲しいな」


そんな俺を遥かに上回る機動力で、進行上のエネミーを駆逐しながら先へと進むメイド型戦闘機を目で追いながら。



○●○●○●



――カチカチッ、カチャ――


其処は廃材の山々の先にポツンと造られた廃工場の残骸、必要最低限の補強だけ施されたその工房の中で、一人の男が〝とある機械人形〟を弄り回していた。


「『〝マスター〟…識別名〝クワイエット〟からメッセージを受信しました…再生します』」

「『〝電脳化義体兵〟、〝第二世代〟を回収し帰投』」

「……〝第二世代〟」


その男は、己の周囲で作業を補佐していた機械腕の言葉に作業を止め、機械腕を見る。


「――中々珍しいのが出てきたな…大概が廃棄処分されて、機能がぶっ壊れてたり、改修されてた筈だが…まだ〝生きてた〟のか」

「『――何か問題が?』」

「いや…寧ろ幸先良いな…〝第二世代〟の陽電子化コードが欲しかった所だ、ソイツは〝ちゃんとしてる〟んだな?」

「『簡易診断では、特別破損、変質のない〝完全品〟とあります』」

「尚の事良い、セバスチャン――手術台(・・・)を用意しろ」

「『承知致しました』」


一人と一体は、傍目からはまるで理解出来ない会話を繰り広げながら道具をテーブルに置くと、その老人は己の手がける〝機械人形〟を一瞥し、小さく呟く。


「……〝アリア〟」


老人のその声は小さく、廃工場の静寂に消える…その視線は、まるで目の前の機械人形…その遙か先を見ているように遠い目をしていた。



――――――

【エンカウントクエスト:廃材の機械技師モーガン・フリッツの望み】を開始しました。

――――――

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