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育成スキルなどいらないと、大魔王は暗黒大陸に追放される~今更「戻ってきて」と言われても、最強領地と嫁がいるので十分です~  作者: 延野正行
第10章

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第69.5話 えっけん(後編)

まさかの2日連続!

「1つは季節ごとに設定した販売ノルマを課すこと」


 トロルもシーモンクも、主産業があって、その傍らで『宝石染め』を売ってもらう。

 繁忙期だからと、売り場を放棄されちゃ困るからな。


「もちろんノルマが達成できない場合は、罰則もある。これが1つ。……もう1つは、荷渡しは暗黒大陸までだ。だから、物は海を越えて運んでもらうことになる」


 暗黒大陸の人口はまだまだ少ない。

 少数精鋭で統治してるようなものだ。

 船で運んで、途中荒波に攫われたりなんかした日には、大変な損失になる。

 両種族には悪いけど、今俺たちにはそのリスクは犯せない。


 2つの条件を聞いて、初めに頷いたのはブーデンだった。


「わかりました。シーモンク族としては、申し分ない」

「おでたちも、オーケー。最高」

「気に入っていただけて何よりだ」


 俺はひとまずホッと息を吐く。


「ならば、どうでしょうか、ゴメス殿。海の輸送は我らに任せてもらえないでしょうか?」

「それ、助かる。じゃあ、トロル族、陸送担当、する」

「それは助かります。我らは陸が苦手でしてな」


 俺の目の前で両種族は交渉し、一瞬で締結する。


 最後にゴメスとブーデンは硬く握手をした。

 他種族の助け合いか。

 うん。なかなかいい眺めだ。


「じゃあ、交渉成立だな」


 俺はメーリンに目配せする。

 メーリンも満足そうだ。


「一応、これはあくまで忠告だけど、デスエヴィル族には気を付けてほしい」

「その事なのですが、少し気になることが」


 ブーデンは口を挟む。


「この『宝石染め』は人族が作っているとお聞きしました。すでにそのような噂も回っているようです。それも意図的に……」

「間違いなくデスエヴィル族だろうね」


 全く……。

 厄介な種族だな。


「昔からの魔族は、他種族の手垢がついたものを嫌います。何か良い知恵はございませんか、大魔王様」

「ああ。そのことなんだが、たった今許可がもらえたよ」

「「許可?」」


 俺は再びメーリンに目配せする。

 先ほど届いた書状を、ゴメスとブーデンに見せた。



 この『宝石染め』を、『魔王染め』と改める。

            魔王 エヴノス



「魔王様……!」

「エヴノス様自ら、商標をお認めになられたというのですか?」

「ああ。俺が相談したら、すぐにOKしてくれた。頼りがいがある、友達だよ。エヴノスは」

「魔王様の、名前、最高」

「ええ。これほど心強い名前はございません。是非『魔王染め』を広めましょう」


 こうしてトロル族とシーモンク族が窓口になり、魔族本国の正式な売買が始まったのであった。



 ◆◇◆◇◆  エヴノス Side  ◆◇◆◇◆



「どうだ、アリュシュアよ」


 エヴノスが自慢げに見せびらかしたのは、青い絹地のガウンであった。

 それを見たアリュシュアは呆気に取られる。

 思わず手に持っていたワインを取り落としてしまった。


「ど、どうされたのですか、エヴノス様」

「例の絹で作ってみたのよ、ククク」

「それはよろしゅうございますが……。ですが、それはあのダイチが作った絹ですよ」

「違うな、アリュシュア」

「え?」

「これは『魔王染め』という。我の名を冠した絹だ」

「あのダイチの提案を呑んだのですか?」


 アリュシュアは思わず素っ頓狂な声を上げた。

 恋人が慌てる一方、エヴノスは余裕げに笑みを浮かべる。


「あの者が我の名前を使いたいというので、やったのだ。くはははは……。魔王らしい王者の色とは、ダイチめ。うまくいいおって」

「はあ……。ホント……、ダイチ様うまくやりましたわ」

「なんか言ったか、アリュシュア」

「なんでもありません」

「すでに『魔王染め』の噂は広まっておるぞ。魔族のご婦人たちが、『魔王様がお造りになられたのですか?』と感心してたわ」

「それに対して、エヴノス様は?」

「くはははは! 当たり前だろ? 『我が作った』と吹聴してやったわ。今では、我が作ってると思ってる魔族もいるようだぞ」


 エヴノスは笑うが、アリュシュアはやれやれと首を振った。


「くはははは! ダイチの功績を我が奪ってやったわ! どうだ、ダイチ! くやしかろう! くははは……」



 くはははははははは!!



 ◆◇◆◇◆  魔族 Side  ◆◇◆◇◆



「あの馬鹿魔王め!!」


 ザイリアは手に持っていた杯を地面に叩きつけた。

 赤いワインが、体内からこぼれ出た鮮血のように広がっていく。

 そのザイリアの顔もまた、こぼしたワインのように赤くなっていった。


 一方、その様を見ていたシードラの顔は青い。

 肩身を狭くし、猛る領主の姿を視界に収めていた。


「『魔王染め』だって……。なんでエヴノス様は、大魔王を助けるんだい!」


 くそっ! と側にいたインキュバスを蹴り飛ばす。

 1人だけでは飽きたらず、数人いたインキュバス全員を殴ったり、蹴ったりして、自分の御前から閉め出してしまった。


「いかがいたしましょうか?」


 名前のインパクトのおかげで、『魔王染め』は魔王派と大魔王派問わず、大人気だった。

 需要過多で3ヶ月先まで予約でいっぱいらしい。

 ザイリアの予想は大きく外れて、売上は鰻登りのようだ。


「くそ!」


 ザイリアは忌々しげに爪を噛む。


 こうなったら力ずくでも妨害したいが、海はシーモンク、陸はトロルが輸送を担っていて、隙がない。


「こうなったら、仕方ない。あれをやるか」


 ザイリアは次なる手だてを指示するのであった。


挿絵(By みてみん)


昨日も言いましたが、

6月15日に『魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する』が発売されます。

WEB版から大幅加筆し、料理数も増えております。

是非よろしくお願いします。



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― 新着の感想 ―
[一言] いや、デスエヴィル以外は魔王含めてみんなwin-winな関係。実にめでたい。 悪だくみも続きがあるようで、またの更新をお待ちします。
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