間
部長から言われることは、分かっていた。僕は、失敗したんだ。それを償わなければならない。
どんなことも、僕は、了承する気持ちでいた。
食事の席で酒がすすんだ。しかし、一向に部長からは、失敗したプロジェクトについて何も言われなかった。
何気ない話題ばかりが、部長からは話される。僕は、内心、イライラしていた。
そして、ついに僕は、自分から話を切り出した。
「部長、あのプロジェクト、本当に申し訳ありませんでした。僕は、きっと、うまく出来ると信じて、やってきましたが、この結果です。その報いは受けるつもりです」
沈黙があった。
部長は、飲みかけのワイングラスを置いて話し出した。
「私が若い時の話だ。私は、世界を知りたくて、それこそ色んな国を放浪していた。色んな価値観を知りたいのと、英語が堪能になりたいという目的もあった。いつしか英語が、ある程度話せるようになっていた。
ある時、イギリスに行った。今、俺たちがいるようなバーに俺は、一人で行った。しばらく飲んでいると、となりにイギリス人の美女が座った。俺は、心を奪われるような感覚になった。すると、その美女から話しかけられたんだよ。日本人ですよね、日本のことを教えてと。俺は、修得した英語を駆使して、日本の事を語った。それを彼女は興味ありげに聞いてくれた。気がついたら2時間ほど経っていた。俺は、話しが尽きた。俺のグラスは空になっていて、彼女のグラスも空になっていた。
沈黙が続いた。
口を開いたのは、彼女の方からだった。
『グッドバイ、ジェントルマン』
そう言って彼女は去っていき、俺は、それを見つめていた」




