算数の授業
休憩時間、皆のサインを後回ししたツケを払って終わった。
もう、無理だ。
<算数>
ゆっくり、休めたでしょうか。
これから後半、算数の授業を始めます。
まず初めに数字の書き方からです。
前回もサクっと見せたのですが、流石に無理だと思いますので、そうですね、青い教科書の、このページを開いてくれますか?
ここに数字1~7の書き方が載っています。
数字がいくつを表しているのかは下の絵で示されている通りです。
この、りんごが7こある上に書かれている数字が7です。
どうでしょう?
授業中もわからなくなったらこのページをみてください。
ところでみなさん、お気づきでしょうか?
教科書の右端と左端にはそれぞれ数字が書いてあります。
他の教科書にも書いてあります。
さて、この数字の正体はなんでしょう??
わかりますかね??
ノエル、わかるか?
ノエル : 最初が1で次が2、数字が順番に並んでいる?
そうだね、数字が1から順番に並べられています。
これはページ数を表しているものです。
全てのページに順に書いてあるもので、何枚かな?ってことがわかるのです。
それに、利点はまだまだあります。
これまで私は、みてほしいページをカメラに映していましたが、これがあれば、言葉だけで、開けたいところを指定できるのです。まぁ、やってみましょう。
まだちゃんと教えていない数字ですが、これ、17(**)ページを開いてください。
端っこに17(**)と同じ文字が書いてあるページですよ。
開けましたか??
私も開きました。
開いたページはこれですね?鳥の絵が書いてありますか??
みんなで同じページを開くことができました。
これが、ページの利点、良いところです。
さて、さっきのところに戻りましょう。
これから、数についてゆっくりみていこうと思います。
7の次の数って知っていますか??
では、ノエル?
ノエル : 7の次は11。
えぇ。7の次は11(**)です。
そして、11(**)とはこう書きます。
みてください、1(**)が2つ並んでいます。
なんでこんな書き方をするのでしょう?
それには数のルールがあるのです。
まず、1というのはこうですね。林檎が1個。
そうすると、2、3、4、とこんな風に数が増えていきます。
そして、7になると、これが一杯一杯なんです。
これ以上、りんごの置き場がない。
次の11になるための林檎がもう置けないのです。
ノエル : じゃぁ、どうするの??
どうすると思いますか?
私だったら、7個のりんごを箱に詰めます。
その箱を隣の箱が置けるスペースに置いて、新しく1個のりんごを置きます。
これが7の次、11です。
では、箱の数はいくつあるでしょう?
ノエル : 1箱だね。
そう、だからここに1と書く。
では、バラの、こちらのりんごの数は?
ノエル : 1個だ。
えぇ、だからこのうえに1と書きます。
どうでしょう、気づいたでしょうか?
ノエル : 上に、11って書いてある。全部のリンゴの数だ。
そうなんです。11ってのはこういうことなんですね。
箱の数はショウって呼ぶから11はイーショウイーとみなさん言いますよね?
この縦の列を、一番端をイーの位、次をショウの位、次をダイの位と言います。
では、ちょっと頭を使って欲しいと思います。
この箱に詰まったリンゴが7箱あります。で、バラけたリンゴも7個あります。
この時のリンゴっていくつか、わかりますか??
少し、そうですね、7分ほど時間を取りますので、考えてみてください。
思いつかない人は、そうですね、黒板の絵を真似して書いてみると、あとで振り返ることができると思うので、黒板に書いてあることをノートに書き写す時間にしてみましょう。
さて、7分ほど経ちましたが、ノエル、わかる?
ノエル : 77?箱の数が7だから上に7と書く、バラの数が7だから上に7と書く。そして、箱はショウっていうから、ナーショウナー。
うん、完璧すぎて、どうフォローしたらいいのかわからない。
まぁ、そういうことなんだよね。
これで、今日の授業を終わりにしようと思いますが、ひとつ、宿題、つまり、次回までに考えて欲しいことがあります。
ここに、りんごの箱がもうひとつあったなら、どういう数字になるのかなと考えてみてください。
ルールは同じです。
勿論、近くにいる人、誰でも構いません、相談してみてください。
話し合って、次の授業を迎えて、正解した喜びに浸ってください。
実の所、こういう問題に正解した時って、めちゃくちゃ気持ちいし、達成感があります。
人によっては病みつきになってしまうでしょう。
次回、正解者を待っています!!
ではみなさん、ご機嫌よう。
<算数・終>
ふう、終わった。
と思ったら、サインが終わっていない人たちが周りに集まってきた。
やるよ、やりますよ。
私はただひたすらにサインをした。
そして、私の表紙の裏も裏表紙の裏もサインで埋め尽くされた。
「ねぇ、セシル。聞きたいことがあるのだけど。」
やっと終わったと思ったらお母さまが登場した。
「なんでしょう?」
「セシルのサイン、使用人の子達にあげたのと私にくれたのが違うじゃない。どういうこと?」
あぁ、そういうことか。
私は、文字の練習をしている時から、サインを美しく、面白く、ユニークに書く方法を探していた。前世なら多く?の人がやっていたはずだ。Oを♡にしたり、☺︎にしたり、筆記体にしたり、私もさほど芸を持っているわけではないけれど、初歩程度の知識はあった。最初、お手本として見せるようだった、ノエルの分と目上?に当たる両親の分には真面目に名前を書いて、他のには最後のaのような尻尾が伸びた文字に目をつけて顔にしたサインを書いたのだ。
「お母さまたちに、良いか悪いか分からないものを書くのはと思って、あれは、私がアレンジしたものです。カッコ良かったりした方が、いいじゃありませんか?」
「そういうことね。なら、私のにもそれを書いてくださらない?私は寂しくて。あとは、私のサインの参考にさせてもらうわ。」
「わかりました。お母さまが不快にならないのでしたら。」
私はお母さまのノートにサインを書いた。
「不快なんて思わないわよ。素敵だと思ったもの。私も頑張って負けないサインをつくるわ。」
お母さまは、ご機嫌で笑顔で去っていった。
お母さまは我が屋敷の流行りを生み出す人です。
お母さまのおかげで、カードゲームが(お父さま以外に)流行ったのも皆知っている話だ。
だから、少しだけ心配している。
杞憂ならそれでいいと思うが。
この屋敷に特大のサインブームを引き起こすのではないかと。
サインは底知れない。
自由度は無限大。
そのブームが来てしまったら、と考えてしまうのが杞憂でないと気付くのはもう少し後の話。
そのブームは領を巻き込んで大きな渦となるのを知るのはさらに先の話だ。




