クエスト132 受け継がれる意志
大魔王バルガスとの死闘から1年後。ピルティンは勇者を辞めて流浪人として、諸国を放遊している。マルゲラは、スーゲルとの間に2人の子供に恵まれ、メラガディア共和国内で平和に暮らしている。
そして、ルーザックはメラガディア共和国の最高司令官であるメラガディア連合軍の魔導元帥に選出された。大魔王バルガスを倒した功績は大きく、平穏無事を選んだピルティン達とは違い、ルーザックは最前線で、次なる脅威に立ち向かう事にした。
人々は口々にルーザックの事をこう呼ぶ。"大魔導士ルーザック"と。後に彼は結婚し子宝にも恵まれるが、グドルフ亡き今、ルーザックに課せられた使命は、次なる大魔導士の育成であった。
受け継がれる意志がある限り、人類が再びピンチになっても、選ばれし者達が活躍してくれる。
その炎を絶やす事なく受け継がれていけば、必ず人類はピンチを越えて行ける。
この物語の主人公であったルーザックは、どこにでもいる普通の青年だった。だが、その才能を買われ、また自助努力により、最後は富と名声を手にした。
別にベタなサクセスstoryを書きたかった訳ではない。私が書きたかったのは、諦めなければ必ず報われるという事である。道は必ず開かれる。信じていれば、努力を惜しまなければ、希望の炎は繋がって行く。人生には乗り越えなければならないの壁がある。
逃げ出す事は簡単である。しかし、ルーザックは、逃げなかった。どんなに絶望的な状況になっても立ち向かって行った。そして、誰かの為に必死で全力を尽くした。何のセンスも才能すらもほとんど無かった人間が、0から経験を積み重ねて行く。
それは、口で言うほど簡単な事ではない。ルーザックはその全ての困難を克服し、世界平和を成し遂げた偉大な人物である。ルーザックは希望を持って努力をする事の大切さを我々に教えてくれた。住む世界は違う。現実には魔法はないし、魔法使いなど存在しない。
しかし、共有出来る精神的な強さはあるはずである。ルーザックには失礼かもしれないが、ルーザックに出来て、我々現実人間に出来ないとは私は思わない。大魔導士ルーザックはこれで終わりだが、一番強調したいのは、つまりは努力を惜しまなければ未来を掴めるという事だ。
「お?」
「ピルティンじゃないか!世界放浪は終わったのか?」
「あー。こんなもん辞めて正統派の勇者の後継者を作ろうと思ってな。」
「なんだ。とどのつまりが、嫁さん探しじゃねぇか(笑)」
「やっぱ、メラガディア共和国内だな。何かあっても、ルーザックがいるしな。」
「俺はピルティンの恋愛には一切関与しないぞ。つーか、勇者トトの血を引いてんだろ?ロイヤルウェディングとかねぇーのかよ?」
「見合い話は腐るほど来たが、ピンと来なくてな。というより、メラガディアには、結婚を約束した、婚約者がいるんだ。」
「そうなのか?いつそんな暇あった?あ?まさか俺がドラゴンルームで修行してる間に、ひっそりマルゲラとスーゲルも知ってて、密かに愛を育んでいたのか?」
「それを答えてしまうと、ルーザックがガッカリすると思って言わなかっただけだ。嘘はついてないぞ。」
「ふーん。まぁ、そう言う事にしといてやるよ。」
「で、今後はどうする訳?」
「大々的な式は挙げないつもりだ。」
「はぁ?世界を救った勇者の結婚式だぞ!?」
「嫁さんも、妊娠してるし、それで良いって。」
「流石は勇者。やることははえーんだよな。」
「それにメラガディア共和国では、俺よりルーザックの方が英雄だからな。」
「それは、関係ないだろ?それとも勇者一族から村八分にでもされたか?」
「正解。ルーザックには話して無かったけど俺は、勇者トトの血を引いてるが、兄貴がいたんだ。後継者争いで兄貴とタイマン張ることになって、辛くも兄貴を殺して勇者になったんだ。兄貴の方が可愛がられてたし、人望もあったから、一族皆皆、兄貴を殺した俺には冷遇してしまったんだ。ついでに親族含め皆殺しにしちまったからな。」
「マジか?だから、故郷じゃなくメラガディア共和国に住もうと思ったのか?」
「俺の過去を知ってるのは、マルゲラとスーゲルだけだ。ルーザックを除いてはな。あいつらもメラガディア共和国に住んでるし、軍事力も申し分ない。だから、ここで余生を過ごしたいと思ったのさ。でも、婚約者が出来たのはたまたまだぞ。」
「策士策に溺れたな。ピルティン。たまたまなんて後付けしても無駄だぜ。」
「お前には敵わないよ、ルーザック。」
「そういゃあ、ピルティンお前トトシリーズはどうした?」
「詳しい場所は言えないが、しかるべき場所にしかるべき方法で戻してきた。」
「放浪じゃねーじゃねぇか。(笑)」
「ひとりぼっちだと、寂しくてな。さっさと帰ってきたって話。」
「諸国放浪か、俺も魔導元帥やめて、行こうかな?」
「やめとけ。無茶はもう充分しただろ?」
「だな。」
こうして、ルーザックとピルティンは冒険の中では言えなかった事を語りあった。物語の主人公を勇者にしなかったのは、私の気まぐれであった。その後ルーザックの長男ルーベンスとピルティンの長男ピルブッシュと、マルゲラ、スーゲルの長男スードル次男マルオの次世代コンビが、世界の平和を守って行く事になる。その物語はここでは書かないが、機会があれば是非とも。大魔導士ルーザックこれにて終了。 完




