クエスト1 村一番のアホ
「おい、ルーザック!また0点とったのかよ(笑)本当に馬鹿だな。」
「学校の勉強が出来なくたって死にやしないさ。」
「おい、ルーザック!そんなんじゃ進級も卒業するのも無理だぞ。」
「じゃ、俺学校辞めます。今日まで御世話になりました。」
そう言うと、ルーザックは、教室を出ていった。教科書全てをゴミ箱にぶちまけて。
「おい、ルーザック!待たんか!」、
「なぁ、母さん、今日俺学校辞めて来た。問題ないよね?」
「あんたにやりたい事があるなら良いんじゃない?母さんも父さんも困らないけど、あんたが後悔しないなら、好きなようになさい。」
まだ10才のルーザックに、やりたい事など、本当は何もなかった。学校でいつも0点をとっていたのは、白紙で何も書いていなかったからだ。学校の勉強なんてものを活かして生きている大人が、どれ程いるというのだ?ルーザックにとっては、まるで意味の無いことに長々と時間を取られるのが、苦痛でならなかった。
ルーザックは村一番のアホではなく、本当は村一番のキレ者だった。学校のテストの答案など簡単すぎて、書くのも馬鹿馬鹿しかったからである。学校に行かないと生きる道を見出だせないボンクラとは、出来が違う。ルーザックはそう思っていた。啖呵をきって辞めたは良いが、やりたい事など、そう簡単には見つからなかった。海を眺めボーッとしている時間が長い間続いた。
何か面白い事はないか?しかし、10才の少年の知恵では限界があった。ルーザックはとりあえず、村の図書館に向かう事にした。図書館ならば、何かやりたい事が見つかるかもしれない。だが、その期待は脆くも崩れさって行く。村の小さい図書館の本など、学校に入る前に全文覚えた。
父は言う。「おい、ルーザック?やりたい事なんて本当は何も無いんだろう?だったら意地を張ってないで学校に戻りなさい。」
ルーザックは頑なに学校に戻る事を拒否した。やりたい事はいずれ見つかる。




