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〇〇茶は日本初のフリーズドライ飲料です。

謹賀新年

 明けましておめでとうございます


 今年も宜しくお願いいたします

 

 いま私は小さな崖の上にいます。館の真南に位置する、砂浜と砂浜の間の小さな崖です。

 手には『海中用浄化石』。そう、昨日までの砂浜クエストの報酬レシピで作ったモノです。


 まさかその日のうちに、新たな緊急クエストが出るなんて思わなかったよ。仕方がないから、今朝早起きして作りました。だって、昨日はぐっすり寝たかったんだもん。期限は今日中だから大丈夫。

 砂浜のゴミ類と四種の薬草。そしてリストに追加された『精霊の加護石』から、水属性の青い加護石と光属性の透明な加護石。それらで作られた、掌より少し大きめの六角柱状。青みの強いサファイアの様です。そこに私の属性賦与魔法で、光の『浄化ピュアラフィ』と属性無しの『清掃クリーン』を付けました。


「百個も作る必要性あるの? まぁ、実際に錬金した回数は五回だけど。でも、そのうちの二十五個を海に投げ飛ばせって、どんなクエストよ」

「投げるの? 投げるの?」「僕もやりたい!」「キラキラ綺麗!」「粉々撒きたいよ~」


 クエストの為に海岸を目指していたら、土属性の妖精さんが増えていました。妖精さんの卵はもっと増えていました。……ちょっとだけびびったのは、ここだけの秘密です。


「ちょっと待っててね。これを投げないといけないから」


 クエストには『なるべく遠くへ』と書いてあったので、おもいっきり投げてみる事にしよう。まずは正面。


「えいッ! ……あれ?」


 意外と遠くまで飛んだみたいで、水飛沫みずしぶきすら見えません。マジで? 生前はノーコンレディと呼ばれていた私だよ。これがチートの力なのか? 

 一瞬、沖の方で青白い光が見えたような気がしたけど……気のせいかな?

 とにかく今は、クエストを消費しよう。じゃないと後ろのコ達がうるさいし。私も苗木だけでも植えたい。


「みんなゴメンね。私はクエストしてくるから、また後で会おうね」

「えー? 木のテーブルは?」「キラキラ欲しい。」「僕も行きたい」


 なついてくれるのは嬉しい。でも、クエストをクリアしないと私の果樹園……もとい、精霊郷開発計画が進まないのよ~! と、心の中で言い訳をしながら次の場所へ。

 館の中にこのコ達が入れないのは、私のプライベートを守る為かしら?






「ただいま戻りました~」

「お帰り。緊急クエストは無事終わったみたいだね。明日の朝には良いものが見られるだろうよ」

「良いものってなんですか?」

「うふふ。それは明日の朝までのお楽しみさ。ところで緊急クエストの報酬は何だったんだい? リストも増えたんじゃないのかい?」


 報酬は二万ポイント。これは前回と同じ。

 そしてリストには交換品として、昆布や若布ワカメ等の海藻類が追加されました。元々海産物は魚の他に蛸や烏賊、蟹や海老がリストに載っていたので、あくまでも追加品目。でも、これで海藻サラダが作れる! 

 ただ、ちょっと気になる事が。植物の『苗・種・他』のところにも同じモノがあるんです。コレって期待しても良いのかしら?


「海藻類が増えました。これでお茶の種類も増やせそうです。ただ、自分で作れるかは判らないので、指示本に相談して錬金術レシピにしてもらえないかと思っています」

「えっ? 海藻のお茶だって? 海藻は生け簀などに入れるか、薬品の調合に使うモノだろう?」


 驚くマゼンタ様にびっくり。パーフェクトウーマンのマゼンタ様にも知らない事があるの? って感じです。

 話を聞くとどうやら、海藻を『食す』という概念が無いらしい。勿体ない。ワカメなんて三杯酢をぶっかけるだけでも、酒のつまみになるのに……。

 因みにこの世界の成人は十五歳からなので、伯爵様はお酒をマジックバッグに入れてくれませんでした。リストに梅酒があるだけです。ワタシ、リジェット ジュウヨンサイ。……泣きたい。今は梅酒で我慢するけど。


 もしかして? と思い、マゼンタ様に確認をしたら、どうやら出汁だしの概念もないらしい。マジか!?

 でもよくよく考えたら伯爵の家も、煮込み料理かソースを掛けた焼き物がメインで、あとは主食のパン(硬い)かスープパスタ類。それにオリーブオイル&塩か、塩を掛けただけのサラダ。デザートは甘いお菓子か甘いフルーツ。

 勿論、主食がパンの時は必ずスープが付きます。ファンタジー系のラノベを読んでて良かったぁ。知らなかったら顎の強化時間で終わるところだったよ。

 バランスの悪い食べ方ばかりしているから、貴族達は常時じょうじ身体を動かしているのかしら? 乗馬とか剣術とか、女性はダイエットしまくりだし。


「肉等の旨味成分を含んだ液体が、出汁の代わりをしているから出汁の概念が無いんですね?」

「リアの説明を聞く限りそうみたいだね。私もまだまだだったってことさ」


 優しいお顔で微笑むけど、うっすらと悲しげな表情が滲み出ている。この方、本当に知識欲が旺盛おうせい。お勉強とかも好きだったんだろうな。

 私? ほら、『好きなものこそ上手になれ』っていうじゃないですか? そこにあの義姉あねですよ。知識がかたより捲っている自覚はあります。

 しかし、昆布茶は調味料としても使えるから、早めに作りたいなぁ。江戸時代にはすでに類似品があったみたいだし、『乾燥ドライ』『粉砕パルヴァライズ』もあるから作れそうでは有るんだけと……。何より塩分が約1/2なのは嬉しい。お塩の代わりにも使えるしね。


「ところでマゼンタ様。薬品って、何の薬ですか?」

「あぁ、抜け毛防止だよ。液体を頭に付けてよく揉むと良いらしい」


 いや。海藻が髪に良いというのは迷信です。ミネラル自体は体内調整用の五大栄養素の一つだけどさ。

 抜け毛が減るのは多分、頭皮マッサージのおかげだと思う。でも魔法がある世界だから、調合次第ではいけるのかも。錬金術もあるし。

 しかし、ゲームスタッフの知識の偏り感が半端無い。と、つくづく感じ始めて来た。妹は何故にこのゲームが大好きだったんだ? キャラの顔か? ……顔だな。




 とりあえず遅めのお昼を食べて、妖精さん達と一緒に檸檬レモンの苗木を植えよう。せっかく通常クエストに有るんだから、後回しにする必要はないよね?


 〇〇の中は『昆布』でした♪


※江戸時代の昆布茶は粉ではなく、刻み昆布にお湯を掛けるだけのモノだったそうです。飲み終えた後の昆布はお茶請けらしい。勿論、昆布は乾物の方です。


※江戸時代の平民(町民?)や、ちょっと資産に乏しい武家の方々が飲むモノだったみたいですね。


※当時はお茶自体の値段が高く、中々手に入りづらいモノだったので、仲の良い友人やお世話になっている知人に昆布茶を出していたとか。


※因みに、緑茶は最初に蒸す過程が入ります。


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