よっつのこわい
昼食の支度が出来るまで、冬四郎は上の兄たちと父親から散々説教をされ、昼食が終わってからは母親からもやんわりと叱られた。
むつが関係する話が多かったが、本人は気付いていないのか、ゆっくりと昼食の片付けをしている。冬四郎は、眠い目をこすり欠伸を我慢しながら、辛抱して聞いていた。
そして、片付けが終わるとむつが次の日仕事だから、と言い訳をするようにして実家を後にした。
両親と兄たちは、むつがまた行ってしまうのが名残惜しいようだったが、冬四郎は一刻も早く出たかった。
欠伸を連発しながら、冬四郎がハンドルを握っていると、むつがじっと見ている事に気付いた。
「何だよ?」
「運転、変わってあげよっか?」
「いい。それよりお前、母さんにチクったな。昨日の朝の事」
「あ、パンツもはかずにってやつね?言った、言った。だってお母さんに言われたら気を付けるでしょ?」
しれっとむつが言った。冬四郎は舌打ちをした。さっきまで、泣いていたむつとは全然違う。実家用と自分用とで、使い分けてるのではないかと、冬四郎が怪しむ程だった。
「それにしても、お前…兄さんたちと会うの気まずいとか言ってたくせに、だいぶ嬉しそうだったな?」
「んー?気まずいよ。だって、進学するのに家を出るって話の時に、3人の兄さんたちの居る県にしなさいって言われたのに、しろーちゃんの名前出したんだもん」
「は?何だよそれ?」
「誰かが居る所なら、まだマシだろうって…ほら、家出娘だったもんでね」
へへっと照れたように笑いながら、少し咳き込んでいる。完全に風邪だな、と冬四郎は思った。




