よっつのこわい
むつは稲妻をぱちぱちさせているそれを、冬四郎にも見えるようにした。
「動物だな…ハクビシンか?」
「普通の動物じゃないでしょ?見てよ」
ぱりぱりと稲妻を放っている動物をむつは、そっと持ち上げた。冬四郎にはちょうど、腹を見せるかっこうになった。
「後ろ足が4本に尻尾が2本か。かなり普通じゃないな…突然変異にしてもこの…いって」
動物の後ろ足に触れようとすると、ばちっと稲妻が冬四郎の手の甲に当たった。
「お前よく平気だな」
「うん。何かあたしは痛くないよ。おじちゃん嫌よねぇびびりだから」
むつは、動物の鼻と自分の鼻をくっつけるようにして顔の前まで持ち上げて、話し掛けている。
「悪かったな。びびりで…で、どうするんだ?」
動物はむつの腕の中から空を見上げている。真ん丸のつぶらな瞳は、悲しそうに見えた。
「ちょっと調べてくるよ。傘貸して。しろーちゃん帰っていいよ」
「は?どこで調べるんだよ」
「うちで」
「うち?」
「そう。あたしの家で」
冬四郎は、意味が分からず瞬きを繰り返すばかりだった。
「だーかーらー、あたしの実家。あ・た・し・の」
むつは、自分の実家だという事を強調して言った。冬四郎は言ってる意味が分かったのか、少し険しい顔をした。
「場所知ってるのか?」
「前に、お父さんが連れてってくれた」
「なら、尚更。俺も行く」




