よっつのこわい
京井の店でワインを2本選び、つまみのお土産を買い、冬四郎の運転する車は高速道路をのびのびと走っていた。
助手席のむつは、ぼんやりと同じような景色の続く道を見ている。ラジオや音楽を流していないせいか、静かすぎて冬四郎は何となく居心地が悪かった。
運転しながら、ちらちらとむつを見ていると、その視線に気付いたのか、むつが冬四郎の方を向くように座り直した。
「なーにーよ?」
「いや…なんつーか。お前、彼氏とか出来たらあんな風に洗濯物干してやったりしてたのか?」
「んー?どうだったかな?先輩の時はわりとしてたかな?他の人の事は覚えてない」
聞くんじゃなかった、と冬四郎は少し後悔したが興味はあった。
「他って、何人の彼氏が居たんだ?」
「さぁねぇ…片手くらい?しろーちゃんはどうなのよ?今、彼女は?」
「今は居ない。もう何年だ…?あれ?30になってから彼女居たっけか?」
「えっ‼そんなに長く居ないの?やっぱモテないのかぁ…そろそろ彼女欲しくなったりしないの?」
冬四郎はむつをじろっと睨んだ。睨まれても気にもしてないのか、むつはくすっと笑った。
「モテなくて悪かったな。彼女なぁ…必要はないからな。むつは、どうなんだ?彼氏欲しいとか」
「そうね…欲しい、かな?たまーに、やっぱねぇ1人じゃつまんない時あるし。ご飯とか作っても楽しくなかったりするし」
「ふぅん?好きな人は居ないのか?」




