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ちぇんじんぐ
「よしっ‼俺の正体をあててみろ‼」
「化け狸」
男が意気込んで言ったものの、祐斗は考える間もなく、さらっと答えた。それには、男も聞いていた面々も驚いたようだった。
「考えるとかっ「化け狸」」
男が何かを言おうとするも、祐斗は最後まで言わせずに被せるように言った。
「それが…答えで良いんだね?」
「良いよ。あってるもん」
しれっと祐斗が言うと、男はがっくりと肩を落とした。正解を聞かずとも、その反応を見れば分かる。祐斗の答えは当たっていると。
「何でそんなすぐに分かったんだね?」
「臭いもん」
「臭い?」
「動物臭い。同じ系統で言うなら狐かとも思ったけど、狐はもっと綺麗に化けるからね。あと、体型が嫌いな数学の先生に似て、ずんぐりしてるから」
祐斗はそう言うと、手をつきだした。
「さ、指輪外して‼約束だよ‼」
男は、しゅんとして祐斗の手を取った。そして、むつ(祐斗)を手招きした。
冬四郎たちも、どうやって外すのかが気になるのか近寄ってきて、二人の手を見ていた。




