ちぇんじんぐ
何となく気まずくなったむつは、視線をさ迷わせ、何となく思った事を口にしてみた。
「しゃ…社長って強いんです…の?」
いつも敬語が癖になっているせいか、変な言葉使いになってしまった。むつの身体でも中身が祐斗だとは、バレたくない祐斗は何とか、いつものむつを真似ようと必死だった。
「…?まぁ強いな。山上さんも篠田さんも柔道もだけど、剣道も強いからな。柔道しないんなら剣道で手合わせ願ったらどうだ?お前剣道のが得意だろ?」
「えっ…いやー」
剣道なんかした事ないよ‼と叫びたい気持ちでいっぱいだったが何とか堪えた。
祐斗の方を見ると、向こうも気にかけてくれてるのか、目が合った。むつは、ほっとしたような心地で嬉しそうに祐斗に手を振った。祐斗もむつのその顔を見て、にっこりと微笑んでいる。
だが、それが良くなかったようだ。冬四郎と西原のキツい視線が祐斗の方に向いた。
よく分からないが睨まれた祐斗は、すぐに笑みをしまった。だが、遅かったようだ。すたすたと冬四郎が近づいてくる。
「谷代君、次は俺とやろうか?」
西原がさっと下がった。
「えっ…いや、それはちょっと」
祐斗は両手を振りながら、後ずさったが、西原に背中を押されてしまった。
身体は祐斗でも中身はむつだ。すぐに冬四郎の機嫌が、よろしくない事は分かった。 何が原因で、不機嫌なのかが分からないだけに恐ろしい以外の何物でもない。




