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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みなうちに

「あれ?」


倉庫の電気は消えていて、むつの姿は見えない。奥にでも居るのだろうかと、冬四郎と西原が覗きこんだ。山上は何故か少し離れた所で、嫌そうな顔をして立っている。


「「鬼はー外ぉ‼福はー内ぃっ‼」」


そう声が聞こえてきたと思うと、ばしばしと細かな物が顔や身体にぶつけられた。


「っ‼」


「「鬼は外っ‼福は内っ‼」」


むつと祐斗の声だけでなく、酒焼けしたような、がらがら声も聞こえてくる。それと同時に、ばしばしと身体に当たる物がある。ぱらぱらと床に落ちていくのは、こうばしい香りのする茶色い豆つぶだった。倉庫の中に向かっても投げているのか、ぱらぱらと音がしている。


「あーっ‼社長逃げてる‼」


にゅっと倉庫から出てきたむつは、冬四郎と西原を盾にするかのように豆をぶつけられていない山上に気付いて叫んでいる。そんなむつの隣には颯介と祐斗が、豆をしっかりと手にしている。むつが冬四郎と西原に避けろと、手を振るようにすると2人は、さっと左右にわかれた。


盾がなくなった山上に向けてむつ、颯介、祐斗は鬼は外と言いながら豆を思いきり投げ付けた。ばしばしと当たると、山上は痛いと言いながら逃げていく。それを見て、3人がけらけらと笑っている。


「あー面白い」


「すっきりした気がするよ」


「俺もっす。社長に向かって堂々と物を投げれるのなんて、こんな時だけっすから」


「そうだね。呼び出されて良かったよ」


颯介と祐斗が満足そうな顔をすると、むつはうんうんと頷いた。


「むつーっ‼ふざけんな‼誰が掃除すんだこれ!!」


「タッチ交代したもん‼社長がするのっ‼さ、遥和さんが作ってくれた太巻き食べよっと。祐斗お茶入れ直してくれる?お兄ちゃんと先輩も一緒に食べるよ。あ、豆残してあるから年の数だけ食べなきゃだよ?遥和さんと片車輪って…何歳?数えながら食べるの大変そうだね」


むつは楽しそうに話ながら、さっさとソファーに向かっていく。山上だけが不満そうではあったが、むつが早く来てと呼ぶと、まんざらでもなさそうに笑みを浮かべていた。




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