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ひとりきり
むつが、ちらちらと祐斗の横顔を見ている事にも、祐斗は気付かない程に集中して読んでいた。
「むつさん、これ調べてくれたんですか?」
「そ。本当なら、下調べから全部やらせたかったけど…財布無くしたんでしょ?」
少し前から車の運転もするようになって、完全に余裕が出てるのかむつは右手をハンドルに添えたまま、左手でタバコの箱を開けていた。
「まぁ…そうですけど」
「それに西原先輩、巻き込んじゃってるし。早めに片付けないとね」
西原から何か聞いているのか、むつは意味ありげににやっと笑った。口のはしにタバコを挟み、火をつけると煙を吐き出した。
「相手から必要以上くらいに情報を得て、下調べはしないとダメよ」
タバコをくわえたまま、むつが言うと祐斗は小さな声で返事をした。また少し、しょげた祐斗を見てか、むつは困ったように笑った。
「まぁ、さ…1から10まで教えてないのに丸投げした、こっちも悪いんだけどね。うーん…だから、ね。今回は、あたし手出さないから」
「え?」




