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『 長政がわるいよっ!! 』 ヤリすぎ坊やはお仕置きだ!

お待たせしました!


楽しんで下さい。


― 大垣城 ―




 朝のさわやかな風が庭の木々を微かに揺らす、間借りしている俺の部屋にも朝の光が差し込んだ。


夏の蒸し暑さも夜半にはおさまり、意外と快適に眠ることができた。

『 水都 』と言われる、ここ大垣の夏は過ごしやすい。


やわらかな朝の日差しが、障子をとおして部屋をあかるくする。

微睡みから目覚めて、となりに美少女がいるというのはいいものである。



「若様?如何いたしました」 泰香が、可愛く首を傾げ問いかけてくる。


「いやあ、幸せだなあと思って……」


「へんな若様、うふふっ」


「ははは」




夏の朝は早い、もう皆が起き出してきている。


「さあ、今日は頑張ろう!」


「はい」



~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~



先日より、浅井家の様子が逐一俺の元に知らされている。


「流石は重元と光秀、そつがないな」


「二人とも張り切っておりますからね」


軍師.半兵衛重虎が、俺の側に控えている。

俺達はある報告を待っている。



「……、待つ身はつらいな」


「ご辛抱下さい」


すでに、手筈は整っている。

あとはタイミングである。




― 昼過ぎ ―


ようやく待ちわびた報告が届いたようだ。



「ご注進~!」

どうやら、早馬が着いたようだ。


「ようやく知らせが来たかな?」


「そのようですね」


”ザザッ、がしゃがしゃ” 軍装のまま、伝令が駆け込んできた。


「御報告申し上げます! 浅井長政の手勢およそ1万、先軍がすでに佐和山城に入ったもよう、後続もただいま米原を通過中との知らせにございます。」


「うむ、ご苦労!! あい判った! 下がってよし」


「ははっ」


さあ、ではそろそろこちらも行動を開始しようか。

諸将を集め下知を下した。



「出陣いたす!!」


「「「ははっ」」」


「貝をならせ~ 出陣だ~っ」



”ぶおぉ~っ、ぶおぉ~っ”



申の刻を前に土岐家3000の軍が移動を開始した。


垂井までの、旅次行軍である。

国内の移動ゆえ何も問題はない、すでに光秀の先発隊500が関ヶ原・垂井にて準備に取りかかっている。



粛々と軍勢を進めていった。

土岐家の行軍がバレないように、各所で密かに人留めが行われた。

人気がなくなり違和感をもたれないよう、サクラとして味方商人をつぎ込む念の入れようである。



日暮れ前には、全軍垂井に到着した。

動きを気取られないように分散しての野営となる。


砦や寺に分宿させる。




― 垂井、南宮山 ―



俺達は、南宮山に宿を求めた。

あくまで参拝という建前である。



 明日は、長政と六角の決戦が行われるであろう。

史実では、長政は『浅井家存亡の合戦』と、張り切って後詰めに出たものの手もなく撃退された。


しかし、勝ち戦の後で六角軍が油断してしまった。

弛緩した空気のなか、長政自身が果敢に六角義賢の本陣に突っ込んで行き、辛くも勝利を収めたらしい。

勝てたとは云え、浅井側の被害はかなり大きかったようだ。



 史実の通りに長政が勝利するとなると影響が大きい。

現に、久政から当主の座を奪っただけであるにもかかわらず、……


「江北に浅井長政という、こころ強い武将が誕生した」と、噂が飛び交いはじめているのだ。


このまま、浅井長政が六角義賢に勝つとなれば、江北の国人たちはこぞって長政に臣従してしまうだろう。



 それは、俺的に困るのだ。


『父親を蔑ろにする、悪い息子は折檻せねばなりませんな』





― 翌朝 ―



さあそろそろはじめようか。

俺は悠然と、3000の軍勢を進める。


麾下は、

明智十兵衛光秀、竹中半兵衛重虎


近習隊

明智光春、日根野高吉、加藤光泰、林通安

森可忠、道家清十郎 氏家直昌、各務元正


将は、

安藤守就、遠藤盛数 です。


この陣容だけで、かるく1万は指揮出来そうでだな。



巳の刻


不破の関を越え、柏原で一旦、軍を止める。


えっ、”なぜそんな事が可能なのか?” ですか?



考えてもみて下さい。

親父を監禁してクーデターを起こした長政に、付いてけない国人は沢山いるでしょう?


まずは親.久政派


浅井石見守亮親 、海津政元の親族衆

井口経親は、義兄弟だし。

中島直頼も久政と親しい。

浅井久政は、軍事面はともかく内政面では意外と評価が高いのだ。


長政が、1万を超える軍勢を手配出来たのも、久政の細かい努力の積み重ねがあってこそなのだ。

その努力を息子である長政がまったく判っていないのが、とてもかなしい。



そして、反.浅井派


浅見対馬守、今井定清、久徳義時、上坂意信、多賀貞能

こちらは浅井との抗争に敗れ、長政の圧力で従っているだけなのである。



これまで六角との戦いは、浅井がほぼ負けている。


『乾坤一擲の大勝負!』 


そんな危ない橋を渡りたがる人間は、たとえ戦国の世であるとはいえそう多くはないのだ。


 という訳で、『土岐家が久政を助ける』という線で話はほぼ纏まっている。

重元と光秀は本当にいい仕事をしてくれた。



別に俺達も、寝返り組の彼らにそんな大層な軍事的な活躍を期待してはいない。

要は、人夫と場所を貸してもらえればいいのである。


今井家の鎌刃城を城代の島秀安とともに貸して貰っている。

鎌刃城に1200の反浅井兵を詰めさせているのだ。


いわゆる、『今井家謀反!』 というわけだ。




そろそろ、長政にも今井家謀反の情報が伝わっているであろう?


「せっかくの勝ち戦に水を差して悪いな、長政!」





野良田の戦いは……やはり、浅井長政が勝ったようだ。



 六角の本陣は辛くも持ち堪えることができたようだったが、他の部隊は脆くも壊走していると聞く。

幸い2万5千という軍勢の数の差がモノを云い、六角側が壊滅とはいかなかったらしい。

それでもこの合戦で、双方が受けた被害は甚大であった様子だ。

浅井長政が討ち取った首は900あまりで、浅井方の討死は400あまり、負傷者も300だったという報告を受けている。


 俺が素人判断で分析するに……。

敵味方とも被害判定では、、双方ともに負けだと思う。

損耗比は五分の戦いだったみたいだ。


しかし、優勢なのはまちがいなく浅井であろう、敵本陣に切り込み勢いに乗っている。




― 夕刻 ―


夏の太陽が、ようやく沈もうとしている。



「半兵衛、そろそろかな?」


「そろそろですかね」


「十兵衛どうだ?」


「今頃慌てて兵を戻しているかと」


「長政は六角に喰われるかな?」


「肥田城も落ちていないようですし、佐和山がございます。そこまでの無様はないでしょう」


「そうか」



 強い者には味方をして弱い者からは離れてゆくというのは、自然界の摂理である。

やはり味方するな らば強い方にするのが当たり前なのだ。

史実では、野良田合戦を契機に浅井氏が名を挙げ、六角氏が衰退の途を辿って行ったのである。


 この世界でも、長政は強硬に六角家と対立し軍勢を率いて戦っています。

自分が強いことを示さなければ、生きていけない時代です。

まあ勇ましいことはいいのですが、それだけではなんともお粗末ですね。

戦が強いだけで、戦国大名はやって行けません。


やはり長政は、『将であり』 戦国を生き抜く大名の器では無かったようだ……。




― 長政軍 ―



「くそ~っ、今井定清めぇっ、いまいましい!」


 長政は自身の大勝利に、つまらない水を差され激怒していた。

彼は元々激情型であるが、今は怒髪天を衝くという様相を見せている。


今井相手に、負けることなど微塵もあるまい。

ただ面倒なだけである。



 今井氏の反逆を知った武将・国人は、気が気では無かった。

江北は今、ガラ空きなのだ。

鎌刃城を押さえられると、江北との連絡が困難となる。


気が急いていた長政は、佐和山の磯野員昌と連絡を取るべく先行していた。

家臣の主立った者が、それに随伴した。



長政の浅井軍が、急いで退却する。


無用な混乱を避けるため、今井の反乱は伏せられていた。

浅井の兵はみな、会心の勝利に喜びながら意気揚々と凱旋をしていた。


「「「はっはっは~」」」

「勝ったなあ~」

「「恩賞じゃ~」」

「「「「早く終わってよかった」」」」

「稲刈りに間に合うわい」




”パ~ンパァパン”


「「「「「 うおおぉ~ぉ~!! 」」」」


”ガキン” ”がきん”


「「「「うああ~っ、奇襲じゃ奇襲じゃ~ぁ、逃げろぉ逃げろ~」」」」


先軍に主力を置いていたため、後方の輜重隊と傷兵の守りが薄くモロに奇襲攻撃の犠牲となった。

勝利気分の兵隊は、予想していない夜間の側檄に即応ができなかった。


「「「裏切りじゃ、裏切りじゃ~」」」


夜間の行軍中、東の多賀方面から側撃を受け、なんの備えも、将すらも居ない浅井の兵は手もなく北へと壊走する。



 主から内々に反乱を聞かされ部隊を預けられた武将は、『裏切り』という言葉に過剰に反応した。

ある者は戦い、またある者はすかさず逃げ出した。



首脳陣は先頭に居たため、すぐには状況を確認出来なかった。

味方の裏切りと勘違いしたのである。


「おのれ~」

長政は逆上し、すぐさま軍を反転させた。


勝利を台無しにされた屈辱で吠えた。

半狂乱で、手当たり次第に切り伏せる長政。


味方の方へと逃げてくる友軍をなで切りしながら敵を求めたが、求める敵はすでに姿を消していた。


補給物資や傷兵を失い佐和山城へと入城した。

死者が多数でたようだった!




まずはここまで。


次は、『静かなる逆襲!!』の方を投稿します。

お見逃しなく。

                   ひさまさ

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