第7章:ピンクの嘘
第7章:ピンクの嘘
攻撃へと転じた。剣を右に見せかけて左を突いたが、彼女の反射神経は私の予測をはるかに超えており、私の剣を掴み取って真っ二さにへし折ってしまった。
「ちょっと、この剣はお気に入りだったのに……」
アマネは目をロールさせ、腕を胸の前で組んだ。
「あぁ、そうかい? 私の知ったことじゃないわね」
新しい剣を引き抜いた。今度の剣は本気で大きく、重厚だった。
「これを扱えるのかい、女神さん?」
素早く剣を振り抜いた。確かに相当な重さだった。しかし、私の攻撃を完全に防ぐことはできなかった。アマネが反撃に出る。手を掲げて重い剣を叩こうとしたが、彼女の手は虚空を打った。そのはずだった――
彼女の動きは音よりも速かった。
私が鏡に入り込み、その背後から現れたときにはすでに音が響き渡っていた。音の伝わる速度は私のスピードには追いつけなかったのだ。
「何でも話して……」
しかし、音よりも先に行事は完了し、私は彼女の背後に回っていた。アマネはわずかに驚愕の表情を隠せないまま振り返り、私はその剣を彼女の首筋へと振り下ろした。首筋が裂け、切り口から血が滲み出る。アマネは驚きとわずかに傷ついたプライドを隠せない態度で首を治癒した。傷跡はジッパーのように綺麗にふさがっていく。しかし、私も重い剣を振り回した反動で後ろへと弾き飛ばされていた。ちょうどその時、アマネも鞘から剣を引き抜いた。今やアマネの本気度が一段と増していた。最初の一撃は彼女から繰り出された。足元はまるでダンスでもしているかのように素早く移動し、ポーズ一つ一つが視覚的な芸術を作り出している。だが、その美しさを険しい表情と険しい眉が台無しにしていた。怒りに満ちた表情で剣を振り下ろしてくる。私も後ろへと足を引き、体勢を立て直して腕に全神経の力を集中させた。目を固く閉じ、そして大きく息を吸い込む。目を開けると、目の前にまっすぐ突き出してきた剣が迫っていた。私の眼光が鋭くなり、全神経を集中させて剣を振るう。二本の剣が激突したとき生じた火花が私の顔に飛び散り、思わず目を閉じた。それを好機と捉えたアマネが即座に反撃してきた。私の足元を狙った剣が太ももを深く切り裂いた。悲鳴を上げて地面に倒れ込む私を、アマネは極めて冷酷な目で見ていた――それは、私が二度と立ち上がらないための十分な動機を与えてくれた。
立ち上がり、足を引きずる。そんなことはお構いなしに、別の構えで剣を振るった。彼女は再び身構える。私は右から斬りかかったが、彼女は剣を右へいなして私の攻撃をかわし、一瞬のうちに反撃して私の頬にかすり傷を負わせた。彼女が自らの剣を引き戻そうとしたその瞬間、私はバランスを崩して地面へと倒れ込み、背中を芝生に預けた。肋骨のあたりが痛み、思わず呻き声を漏らす。
くそっ、アマネ……君は強すぎる……
頬の血を乱暴に拭い、歯を食いしばって立ち上がった。地面を強く踏みしめたが、右足の傷口から神経を刺激する激痛が全身を走った。傷は深く、骨の髄まで達しているようだった。顔をしかめざるを得ない光景だった。次第に私の視界が暗くなり、バランスを失っていく。意識が遠のき、出血多量で再び地面へと崩れ落ちていく。私が気を失うと同時に、アマネは冷静な足取りで近づき、私を抱きかかえてくれた――いや、確かそうだったはずだ。視界が滲んでいく中で、遠ざかる音だけが耳に痛いほど響いていた。意識が完全に途絶え、私は深い眠りへと落ちていった……。
朝、目を覚ますと、すぐ傍らの椅子に座り込んでいるアマネの姿が目に入った。虚空を見つめ、何かを深く考えている。その物憂げな顔にはかすかな痛みが宿っていた。悲しみが彼女に涙を流させようとしているが、彼女のプライドがそれを押しとどめているかのようだった。彼女を見つめているうちに目が合ってしまった。私は慌てて視線を逸らしたが、時すでに遅く、ゆっくりとベッドの上で上半身を起こして目をこすった。
「おはよう……」
目覚めの気だるさを纏いながら――。
「おはよう、プリンセス」
野太い声が聞こえたが、それはアマネの声ではなかった。顔を部屋のドアに近い隅へと向けた。肩を壁に預け、筋肉質で、がっしりとした、そしてかなりの美男子が立っていた。セクシーではあるが、最高にイラつく男だった。――男という生き物は、どうしてこうも嫌いなのだろう……。
彼はふっと不敵に笑った。私の頬がピンク色に染まり、熱を帯びる。顔を隠そうとしたが無駄だった、彼にはすでに見られていたのだから。私は顔をしかめ、眉をひそめた。
「お前は誰だ?」
私の声には微かな威嚇が含まれていた。それでも声はわずかに震えていた。
「俺は俺さ、美しき君……」
彼は下唇を噛み締め、舌なめずりをした。おいおい、こいつは私をからかっているのか?
「何が『俺みたいな』よ?」
「その優雅で曲線美の身体……俺の下でどうやってしおれるのだろうな? プリンセス?」
その言葉を聞いた瞬間、私は手元にあった枕をそのハンサムな顔面に思い切り投げつけた。アマネがすかさず立ち上がり、その男を部屋の外へと追い出した。
アイリ:「あんな変質者の相手なんて……」
アマネ:「名前の通り、変態そのものね」
アマネの声は落ち着いていて、極めて理性的だった。彼女は普段、声が大きく自信満々なトーンで話すことが多いが、この時はより物静かで、どこか機嫌を損ねた人間の雰囲気を醸し出していた。
私は目をロールさせ、アマネの方を向いた。少しだけ優しい視線を送る。
アイリ:「で……アマネ、何をしてたの?」
アマネ:「あなたを待っていたわ」
アイリ:「そんなに待ったの?」
アマネ:「8時間もね」
アイリ:「十分長かったわけね」
私は小さく微笑んだ。ゆっくりとベッドから起き上がり、ワードローブからピンクとクリーム色を基調としたドレスを取り出して重ね着した。コルセットを外そうとしたとき、アマネがそばに寄ってきた。何も言わなかったが、彼女の手はあまりにも優しく、そして柔らかかった……。
しかし、その瞳はどこか遠くを見つめていた。理由はわからないが、彼女の纏うオーラにはどこかネガティブな影があった。私は何も聞かず、彼女をそのままにしておいた。彼女はゆっくりとコルセットの紐を通し、しっかりと締め上げてくれた。見事なまでの手際だった。偶然にしてはできすぎている、私には確信があった。しかも、あのコルセットを一人で装着するのがどれほど大変かを知っているはずの彼女が、自ら進んで手伝ってくれたのだ。普段なら絶対にそんなことはしない。彼女の身に何かあったのか、それとも過去の記憶に関係しているのか――私にはわからないが、決して良い状態ではないことだけは確かだった。私は自分の推測を胸にしまい込み、沈黙を守った。
夜の視点朝の目覚めはいつもより遅かった。酷く疲れていた。昨日の修練でクラウスが私の筋肉を限界まで追い込むようなメニューを課したせいで、彼は大いに満足していたようだった。その上、昨日の夜はアイリがやってこず、十分な休息を取ることができていなかった。
彼女のことが時々理解できなくなる。変わってしまったのかもしれないが、彼女と一緒にいるときの方が今でも昔のように幸せを感じられる。ひょっとすると、この変化も悪くないのかもしれない。
私はゆっくりとベッドから起き上がった。昨日の疲労が残る中、今日には授業が控えていた。それも文系科目が目白押しだ。私は思わず目をロールさせ、うんざりしたようにため息をついた。なんてこった、文学だと? 冗談じゃない。数学や物理なら大歓迎なのだが……。
アイリは昔から数学を崇拝していると言っていた
し、今でもそう言っている。
きっと彼女が正しいのだろう。
身支度を整えて外へと出、階下へと降りた。K-3クラスへと向かう通路を進む。壁に「K-3」の文字が目に入った瞬間、私は教室へと飛び込んだ。教師がちょうど目の前に立ち、私を鋭い目で睨みつけていた。当然の反応だった。遅刻した上に、ノックもせずに教室に飛び込んできたのだから。一瞬、目を見開き、私の瞳孔が限界まで小さくなった。教室の隅でミルとクリヤがくすくす笑っている。私は眉をひそめ、両手を拳に握りしめた後、教師に謝罪の意を込めて深く頭を下げた。教師の怒りは幾分か収まり、険しい表情の代わりに、より大人びた穏やかな表情へと変わっていた。手で自分の席を指定され、私はその通りに席へと向かった。歩きがてら、クリヤとミルに対して冷ややかな視線を送ることを忘れることはなかった。教師は歴史の授業を進めていた。
過去の魔法使いたちと彼らの遺した功績を解説し、彼らの成功事例について語っている。私はすっかり集中力を切らして眠りに落ちかけていたが、その瞬間、頭にチョークが飛んできた。
私はゆっくりと頭を上げ、授業に集中しようと試みた。ノートを取り出し、メモを取る。普段はノートなど取らない主義だが、寝不足で授業への集中力が著しく低下しているときには、こうして要点を書き留めることで記憶の定着を図るようにしていた。
歴史の知識をノートに少し奇妙な形で書き留める。これなら少なくとも私の注意を引きつけるくらいの関心にはつながるだろう。授業中に再び半眼状態で机に突っ伏そうとしたその時、クリヤが私の頭に小さな紙切れを投げつけてきた。
私は身をかがめて紙切れを拾い上げ、中身を確認した。
C:「こっちを向け……」
小さく呟いた。教師に聞こえないように細心の注意を払いながら――それは成功した。紙を開くと、そこにはこう書かれていた。
「今日は疲れているみたいだね。昨日の夜に何があったのか教えてよ。クラウスは私たちみんなをヘトヘトにさせたけれど、君は一段とグロッキーじゃないか。何かあったでしょ……?」
下の方には小さなメモが添えられていた。
「教えてくれなければ、私たちの方法で監視するから。気づかれもしないけどね(笑)」
可愛い笑顔の絵が描き添えられていた。これはつまり、本気で心配しているという意味だ。しかし、アイリのことを話すわけにはいかない。何か適当な嘘をでっち上げる必要があるが、今すぐというわけにはいかない。後回しにしよう。
「授業が終わってからにしよう。余計なリスクは冒したくないからな」
紙切れを返し、授業に集中しようと努めたが、授業の間中ずっとクリヤに信じ込ませるための嘘の言い訳を頭の中で必死に巡らせていた。果たしてどんな言い訳をすべきだろうか……。




