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異世界転移した日に世界最強になってしまったんですが  作者: ペテグリュー
第二章 レギオス王国
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第八話 王へのお願い(カツアゲ)


レギオスの王、ドルバーク=レギオスは頭を悩ませていた。

勇者召喚に成功したにも関わらず、一人が王城から抜け出してしまったからだ。

まだまだいるのだから一人くらい…と思う人もいるかもしれないが、一人抜け出すと他の者も抜け出す可能性が出てくる。

また、その王城から抜け出した男は、召喚したその日にも関わらず、騎士団の先鋭達を気絶させていったのだ。

かなり強い固有スキルを持っているに違いない。

そしてレギオスはなにも魔族の国【アスラエル】とだけ争っているわけではない。

獣人の国【パレスト】やエルフが住んでいる、エルフの森、そして人間族の他の国とも争うこともある。


つまり、その男が敵になった場合、こちらに勇者はたくさんいるので負けることはないだろうが、被害が大きくなる。

なので指名手配したのだが、二日も音沙汰なしだ。


「はあ」


もう逃げられたようだ。まあいい。

まだ残っている勇者の待遇をさらに良くして、再発防止に努めよう。

そう決めた時だった。あの男がやってきたのは。



〜〜〜〜〜〜〜〜



「確かお前が王だったよな?」


転移して再び王城に来たところ、王っぽい奴がいたので声をかける。王とは一回会ったことがあるのだが、あの時はステータスのことで落ち込んでいたので、よく覚えていないのだ。

だが確かこんな奴だったはず。


すると王は少し驚きながら、


「い、いかにも。私がレギオスの国王、ドルバークだ」


やっぱりか。フッフッ俺の灰色の脳細ぼ……

いけないいけない。脱線するところだった。


「簡潔に言う。指名手配を取り消せ」

「お前はあの抜け出した男か⁉︎」

「そうだけど?そしてこの一件で俺は深く心が傷ついたから、慰謝料くれ」

「い、慰謝料?金のことか?」

「そうだ早くしろ」

「ちょっと待ってくれ。なぜお主は城から抜け出したのだ?」

「そんなもん面倒だからに決まってるだろうが。いいから早くしろ」

「そんなもんとは!人間の命がかかっておるのだぞ!」

「知らねーよ。なんで俺が助けないといけないんだよ。まあ知り合いなら守るけど」


剣聖とか剣聖とか剣聖とか。ヤバイ、まだ知り合いって呼べる人物、剣聖しかいない。ぼっちに磨きがかかっているぜ。


「つまりお主はこの国を助けるつもりはないと?」

「まあそうだな」

「残念だよ。ならしょうがない。やれ!」


すると、どこからかいきなり男三人が俺のことを囲んでくる。

なんかこの世界の人囲むの大好きすぎない?


「この三人は王宮が雇っているS級冒険者達だ!私はスキル『念話』を持っている。今までは時間稼ぎをしていただけだ」


と、ドヤ顔で言ってくる。

なんかもう王が可哀想に思えてきたんだけど。


「捕まえた後は隷属の首輪をはめて、勇者として使ってやろう。この国のために働くのだ」


てかこの王ゲスいな。マジで、ゲスの極み王様。

まあだが想定内だ。

そして俺はS級冒険者達のレベルを下げる。

すると冒険者達は力が抜けたように、その場で倒れこむ。


「おい⁉︎どうしたんだお前ら⁉︎」


そして事前に用意しておいた、スキル『威圧』を発動。

こんなぼっちだが迫力は増すはずだ。


「やめろぉぉぉ!来るなぁぁ!」


メッチャビビってる。顔はもう鼻水と涙でいっばいでとても王の威厳が感じられない。

よし、そして王の髪を掴み、


「指名手配を取り消して、金払おうか?」


とニッコリと笑顔で言った。

完全なカツアゲである。だが作戦通りだ。


王は全力でヘドバンみたいに首を縦に大きく振り、


「わ、わ、分かりました。ちょっとお時間いただけだけますか」


ついに敬語になったぞ。

『威圧』すげーな。困ったら使おう。


そして王と宝物庫的なところに行き、


「ごぢらがお金になります。本当にずみまぜんでした」


と泣きながら、金貨がギッシリと入った袋を渡してきた。

いやここまできちゃうと俺も悪く思えてきた。

取り敢えず謝っとこ。そしてS級冒険者達のステータスも戻しておいてやる。


「いや本当に悪かったな」


すると泣き止んだ王が、


「いえいえとんでもない。指名手配も取り消しておきます」


ごめん王、やり過ぎた!


メッチャ申し訳ない気持ちになりながら、俺は『転移』でアリスの家に戻った。










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