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【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


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61/80

61 サプライズゲスト

「さて、婚約者とはいえ淑女の部屋に男が長居するのも問題だから、僕はそろそろ失礼するね。」

そ、そうだった。

あまりにも衝撃的なお話で、今はまだ真夜中だということを忘れてしまった。

「そ、そうでございますね。申し訳ございません、お引止めしてしまいました。」

「ふふっ。僕もこれ以上いると理性が持ちそうにないから戻るよ。どうせあと3カ月後には結婚するから、その時まで楽しみはとっておく。それじゃおやすみ、アリス。」

クリス様は、私のおでこにチュッとキスをされ、部屋を退出された。


い、いま・・・私はなにをされたの?

チュッって、おでこにチュッって・・・。

途端に顔がカーっと熱くなる。

あやめの時代でも、好きな人はいたけど、彼氏なんていたことはない。

友人の話や、二次元の世界での話で慣れているつもりだったが、実際にされるのでは破壊力が違う。

おでこを押さえ、ベッドに倒れこんだ私は、なかなか寝付けなかった。


そして、次の日、新年の朝を迎える。

リタに起こされ、急いで身支度をし、朝食を済ませた私は、昨日の約束であるスコーンを作るため、厨房をお借りした。

イシュタル家の料理人にも手伝ってもらい、焼き上がりを待っていると、玄関の方が騒がしい。

「お嬢様、お嬢様~」と、リタが慌てて呼びに来たので、私は後をお願いして玄関の方へ赴く。

すると、そこには・・・。


「リズ!」

なんと、お兄様がイシュタル家へと来ているではないか。

「お兄様、どうされたのですか?何故ここへ・・・」

「イシュタル侯爵から招かれてね。家族になるのだから、是非にと。」

「そうだったのですね。お会いできると思ってなかったので嬉しいです、お兄様。」


お兄様が真面目な顔になる。

「・・・リズ?クリスティン殿下から、ヘンなことはされていないだろうね?」

「へ、ヘンな事ってなんでしょうか。ここには侯爵様もいらっしゃるのですよ。嫌ですわ、お兄様ったら。」

「・・・そうか、よくわかった。義兄として、クリスティン殿下には指導させていただく。」

「な、なにを仰っているのですか、お兄様!」

「リズ、私に隠し事をしようだなんて、10年早いよ?」

お兄様のアルカイックスマイルも、クリス様に負けていない。


早々に逃げ出したい気持ちになったが、ぐっとこらえる。

そんなことより、お兄様には伝えなければいけないことがある。

「お兄様、おそらく侯爵様より今後のことについてお話があると思われます。そのためにお呼びになられたのかと。」

「そうだろうね。手紙では何回かやり取りをしていたから、おおよそは承知している。リズは今年卒業するのかい?」

「お兄様、そこまでご存知で・・・。はい、挑戦してみようと思います。」

「私が呼ばれた理由は、それもあるだろうね。なにせ、経営学科の卒業生だからね。」


「それでは・・・お兄様にご指導してもらえるのですか?」

「リズ、私の指導は厳しいからね。課題も目一杯出すから、覚悟しておくんだよ。」


それから、私の冬の休暇は休暇ではなくなってしまった。

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