表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サ終世界の歩き方  作者: 39カラットルビー
第二章 PVP特化型カードバトルゲーム 九天の覇者
14/44

超ド級闘技艦マグヌス・テアトルム

気さくに挨拶をしてくる少女におずおずと手を上げ応じるが


俺もイアも心中は『?』で一杯だった


さり気なくイアを背中に庇い、謎の人物に聴こえないよう注意を払い小声で問う


(あの人は俺と同じ召喚された人?)

(ぅ~ん多分、違います。疑似体(アバター)特有の波長が有りません)

(え?だとしたら・・)



「ちょっとちょっと~人の事チラ見しながら

二人でこっそこそ何話してんの~?感じ悪いんですけどもぉ?」


気付くと少女が両手を腰に当て上体を少し屈ませジト目でこちらを見ていた


確かに、助けてもらったのに自分達の態度は失礼極まりない

疑念はあるが敵意や悪意は感じない、今のところは


なら


「えっと、すみません、急な事に驚いて・・助けてくれて有り難う御座います」

軽く頭を下げると


「キミさぁ・・漂ってるだけの()()に向かって行こうとしてたよね?

危ないヤツだって知ってたのかなぁ?」


(物影から飛び出していく瞬間を見られたのか

確かに傍から見れば無害か有害かも分からない靄に突っ込んでいくなんて怪しい・・)


どう言ったら良いものかと相手の言葉を受け、身を強張らせる俺に


「ッぷ!あっはははは!!ごめんごめん、変に警戒させちゃったね」


片目を瞑り両手を合わせ人懐こい笑顔で謝罪された


だが、コロコロと変わる表情がまた一変し


「・・・真面目な話、キミ達が気になるのはホント、

アタシもあの()()()()は詳しく知らないの、知ってる事があるなら教えて欲しい」


背中に庇っていたイアが裾を引き『どうしましょう』と視線で訴える


俺は少し考え、少女に向き直り頷いた


───


「なるほどねぇ・・・この世界は仮想の物であの(もや)は世界に生じた不具合・・か」


顎に手を当てふむふむとこちらの言葉に頷き


「ホントの所、信じられない内容だよね、()()()()


う~んと腕を組み直し口をへの字に結び、唸ったかと思えば


「でもさ、信じるよ。なんちゅーかさぁ・・・ずっと変だと思ってたんだよね、

や、何が変なのか具体的には分かんないんだけど、違和感?みたいな」


うんと得心がいったように頷く、本当に表情が豊かな人だ


世界規則(システム)から(はぐ)れた・・か、やっぱりアレの影響、かな」


ん~、と首を傾げ何事かに思いを馳せている様子だったが


・・・?今、一瞬こっちをジッと見たような


(気のせいか?今の視線は何と言うか、こう・・・)


まぁ()()()()()()()()を見るなというのがムリな話か


「あっとと!ちゅーか自己紹介もまだだったね!あたしシャスティル・ジェーラ!

シャルって呼んでね、ん~でキミ達は・・・」


「はい!私はイアって言います!イアって呼んでください!」


そらそうだろ・・・内心でツッコミながら俺も名乗る


「俺は春保大輔って言います、えっと、春保でも大輔でも呼びやすい方で呼んで下さい」


「へぇ~イアちゃんと・・ダイスケ、ね、もしかして東の国の人?」


「え?東・・あぁ、はい東の日本って国の出身です」


大抵のゲームに存在する東欧圏の民族を指していると理解し

適当に話を合わせる


「な~るなる、この世界にも似た響きの名前の人が居るんよ

東の国って呼ばれてんだけどね!もしかして()()も東の文化なの?」


()()が何を指しての事なのかは

コレ(仮面)しかないだろう


「あぁ~っとコレはまぁ・・帽子とか兜みたいなモン・・・です、はい」


「へぇ~~イイね!」


何がイイかは置いといて

不必要に警戒されたり罵倒されるよりは良い


内心ほっとしつつ


自己紹介を終え、落ち着いてきて気付いた事がある


「んじゃま、よろ~☆って事で飯でも行っとく?」


(ギャルだ、この人。言動も恰好も全てがそう言っている)


独特でフレンドリーな言動、服装もなんかパッツンパッツンだし


中年根暗オタクと対極の存在。まずい、意識したら緊張というか怖くなってきた

だが悪い人ではないと思うし、先入観で勝手に苦手意識を持つからイカンのだ


静かに深呼吸し改めて挨拶しようと顔を上げると


「どったの?具合悪い?だいじょぶ?」


目の前で心配そうに小首を傾げる視線とぶつかった


明るいオレンジ色の髪がふわりと揺れる

外に広がっていた夕映えを切り取ったような美しい色だった


(やっぱり良い人だ、色眼鏡で視て人を避けちゃ駄目だな)

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」


「ん、そか、良かった」


シャルは目を細め笑顔を向け


「んじゃ!行こっか!いつまでもこんなとこ居ないでさっ!」

と、先行し倉庫のドアを開けていった


「俺達も行こう」

イアに声を掛けると


「・・・はい」


なにやら口を尖らせ

「シャルさん、お強くてお綺麗ですもんねっ!」


「え、どうしたの」


「お顔、赤くなってます」

「な、なにを・・・」


仮面で隠された顔は確かに熱をもった感覚が・・・


だがそれを理解できる筈・・は無い、と思う筈なのに


イアの視線は妙に確信めいている


(う・・・!そりゃ、あんなに顔を近付けられたら誰だって・・・)

「別にそんな事無いょ」


動揺し語尾が小さくなってしまった


「ふーん!ふーん!!」


すっかりむくれてしまった


「ほら!私達も行きますよぅ!」


右手首を両手でがっしり掴まれ引き摺るように連行された


倉庫の外、再び電光掲示板の前


掲示板はチカチカと明滅している電力が乏しいのだろうか


「あの、ここって町・・じゃないですよね」


掲示板の前に陣取り、ニヤニヤしながら待ってたシャルに問う


「ん~、そだね、確かに普通の町じゃないけど、でも皆ここに住んでんだよ」


「住んでるってこのお船は何処かへ向かってる途中とかじゃないんですか?」

イアが驚いた様子で尋ねる


「ん、この(ふね)はどっかを目指してるとか停泊するとか無いんよ

ずぅっと飛び回ってんの」


「な!?、目的も当ても無く飛行を続けてるんですか!?」


「ぃや、目的は有るっちゃ有るんよ、いっちばん強い英傑を決めんの」


シャルは電光掲示板の上部に記された文字をピシッ!と指差し


「ようこそ!超ド級闘技艦 マグヌス・テアトルムへ!」

ここまでお読みくださった貴方に感謝を



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ