7 罠にかかった響子
「瑠璃子、今日の午後は美紀さんていう友達に誘われているので出かけるけど、夕方には帰ってくるから、今夜の食当は本当はお姉ちゃんなんだけど、チェンジして瑠璃子がやってちょうだい。明日はお姉ちゃんがやるからさ」
「了解。何にしようかな。それにしても友達づきあいの少ないお姉ちゃんが友達に誘われるなんて珍しいわね。どこに行くの?」
「彼女の家」
「えっ、美紀さんてそんなに親しい友達なの?」
「別に親しいわけじゃないんだけど、スタインウェイが家にあって弾かせてくれるっていうから」
「ふーん。親しいわけでもないのにねえ。不思議。まあ、楽しんできてね」
午後2時頃に吉祥寺駅で落ち合うと、歩いて10分ほどの閑静な住宅街に美紀の家はあった。豪邸だ。広い家の奥の方の一室に通されるとそこのソファーに座るように言われた。
そこにはスタインウェイは見あたらない。数分待たされた後、美紀がお盆を持ってきた。お盆には紅茶とケーキがあった。響子にとってはケーキはどうでもよかった。それよりはやくピアノが弾きたかった。
「スタインウェイ見せて」
美紀は
「まあまあ。このあとゆっくり弾いてもらうから、先ずはケーキと紅茶、召し上がれ」
仕方がないので響子ははやる気持ちを抑えてケーキを食べ、紅茶をすすった。美紀もケーキを食べたが、特にお互いに親しいわけではないこともあって無言のままでやや気まずかった。
紅茶を飲み終わって5分くらいした頃、響子は急に意識が朦朧としてきてしまい、不覚にも腰かけたまま眠ってしまったのだ。
それを見て美紀はニタっと薄笑いを浮かべ、口笛を吹いた。するといつからいたのか、隣の部屋からセフレの昌史が現れた。
美紀は
「ハハハ。見事にひっかかったよ。スタインウェイがあるというのはもちろん嘘。さあ、あんたの出番だよ」
「ウヒャヒャヒャ。こんな美女とできるなんて。信じられないぜ」
と言って昌史はウキウキしながら椅子で眠りこんでいる響子を抱きかかえ、隣室へ運んでいき、そこにあるベッドにそっと寝かせた。




