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welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
43/192

第4話-9/9

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。



程なくして蒼太は再びホールへ、月姫の元へと戻ってくる。


先ほどの黒服から一転普段着の蒼太に戻っていた。



「着替えてきたよ」



全速力で戻ってきたこともあって、息切れをしている蒼太。


その息を正そうと軽く深呼吸をに2,3回繰り返す。



「お疲れ様、仕事の内容は理解してくれた?」



それを微笑ましく見守りながら月姫は彼に問いかけた。



「だいたいは…明日からは何をすれば良い?」



「朝からアレに行って、今日やってた感じで向こうの事を任せていいかしら?」



言われてから蒼太は今日一日の出来事を思い出そうとする。


朝の待ち合わせ、電車移動、タクシー、アレテイアについてからの様々な出来事。



「あぁ、出勤管理と通知連絡だな。チェックポイントを回って宅配か」



思い出した後に逆にそれをなぞりながら応える。


言葉にすればそれほど仕事量は多くないように思えるが、慣れてくるまでは


それだけでも午前中を費やすことになるだろう。



「順番は無茶苦茶だけど…あとここに戻ってきてアフタールームのチェック

までをお願いしていい?」



「ここの開店準備とその後は?」



アフタールームのチェックが終わればその後も必然とISKでの仕事が続いていく。


そう算段しながら蒼太は月姫に問いかけた。



「アフタールームのチェックまでで充分です。

それ以上お願いすると勤怠時間がブラックになりますから」



彼女が言ったのは蒼太の勤務時間。


今日の段取りで言えば朝7時からここの開店時間18時までで休憩を1時間以上


挟んでも8時間以上の労働になってしまう。


タイムカード代わりにブッチに登録したアプリで勤怠チェックはされているが、


超過時間は今日だけでも5時間以上に及んでいた。



「いや、むしろこっちの方が楽しいんだけどなぁ」



「それは不安だから」



「え?頼りない?」



「違います…じゃなくて、働きすぎはダメです」



月姫の真意を突けず蒼太は見当違いの答えを導き出してしまっていた。


彼女の不安は蒼太に対してではなく、ここのキャスト達の素行に対してのもの


だった。



「じゃあせめてここがオープンして1時間だけ」



それでも食い下がる蒼太。



「残業はご法度なんですけど?」



月姫もそう簡単には首を縦に振らなかった。



「サービスで良いから」



「金銭の問題じゃなくて…」



「タイムカードも先に打つから」



執拗に蒼太はあきらめず妥協案を繰り出してくる。


月姫も昔の付き合いからここまで蒼太が勤労な性格ではないと思っていた。


現に彼も仕事が好きで月姫との交渉を続けているわけではなかった。


月姫は蒼太の性格を今一度頭の中で詮索し、一つの結論へと導かれた。



「そこまでしなくて…あっ、わかった!キャストさんと接したいだけでしょ?」



「ばれたか、1時間がだめなら10分でもっ!」



思った通りの答えに蒼太がもう一度縋り付く。


月姫は熱心に訴えかける蒼太に呆れてしまい溜息しか出てこなかった。


彼のこの職場のベクトルが異住人しか向いていないことを再認識せざるを得ない。



「もぉ!それなら時間は好きにして下さい。けど無理はしないで下さいね」



突き放しながらも月姫は彼の身体を気遣う一言を発してしまう。


口では何と言ってでも彼の事は気になって仕方がなかった。


それが本当はサキの仕業とも思わずに…



「かぐが言っても説得力ないけどな」



ここで本当の意味で働くきっかけとなった昨晩の事件。


過労で倒れた彼女の身体を心配してしまう。



「そうですけど…それと一週間に2日は休んでくださいね」



「分かった、でもかぐは?」



「私は私です」



蒼太の言葉に優しさを感じながらも月姫は彼に対して冷たく言い返した。


どうやら昨日の失態が自身の汚点となって仕方ないようだ。


顔をそむけた月姫の手を取り、蒼太は彼女の瞳を見つめながらいつも以上に真剣


な面持ちで彼女に言った。



「でも俺がフォローするから」



いつもは滅多と診せない真剣な表情。


そんな彼に月姫の心は射抜かれてしまう。



「そうちゃん…」



彼に握られた手に力がこもり、月姫は蒼太の顔を見つめ返した。


その表情はまるで恋に落ちた乙女のように…



「はいはい、ご馳走様。俺はぼちぼち帰るわ、最後に胸焼けしちまったし」



まるで2人だけの世界に入ってしまっていた月姫と蒼太に練はあきれ返った様子


で帰宅を宣言する。


すでにホールに残っているキャストも少なくなり、音響スタッフをはじめ残って


いるのはごくわずかしかいなかった。



「す、すみません」「ごめんなさい」



2人は全く同じように照れながら練に対して頭を下げた。


今の部分だけを見ればよからぬ噂が流れても言い訳が出来ないだろう。



「ではそうちゃんも練さんと一緒に帰ってください。お疲れ様でした」



少し冷たく言い放った月姫だが、その顔は未だに少し赤みが残っている。


その顔を見られないようにか月姫は深々とお辞儀をして2人を見送ることに


決めたようだ。



「あ、おぉ、お疲れ様。練さん僕も帰ります」



まだ頭を下げている月姫に軽く挨拶を投げると、蒼太はエントランスへ向けて


歩いていく練に追いつくように足を速めた。



ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!


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