第2話-4/9
初めまして、【れいと】と申します。
初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。
ある程度するとルカが洗い、蒼太が拭き、ルカが棚に直すの流れが出来上がって
くる。
昨日は食器が山積みどころか、溢れかえって床さえも置き場となっていた光景
が嘘のように淡々と洗い物が片付いていく。
むしろ手持ち無沙汰になってしまうぐらいだ。
「結構暇だネ、あっ、今日はホールキャストしても良いのかな?
そうちゃ、どうおもウ?」
洗い物が無くなったところでルカが蒼太に尋ねた。
「え?あ?お店の事はよくわからないけど…」
実際尋ねられても困るが、蒼太一人になって洗うペースが追い付かなく
なっても彼女が戻ってくれば瞬く間に片付くことは想像に容易い。
「ここは俺だけでも大丈夫かなとは思うよ、
忙しくなったら手伝って欲しいけど」
そう思った蒼太は彼女が退屈そうだったため彼女の提案を呑み、補助的に言葉
を付けたした。
その答えを待ってましたとばかりにルカはエプロンを外すと、一瞬裸婦に見え
たものの透き通るようなグリーンドレスを身に着けていた。
蒼太は思わず自身の目を疑って擦ってみたが彼女は半透明に近い緑のドレスを
着ている。
「じゃあ少しホールに行ってみるネ♪マイファナー着てるかナ♪」
跳ねるような足取りでキッチンを後にし、ルカはホールへと姿を消した。
隔離された部屋に近いここからホールの喧騒は届いても、様子を覗き見ること
はできない。
「もう少しルカと一緒にお話ししてても良かったな~」
急に自分以外の人気のなくなってしまった場所で蒼太はひとりごちる。
華やかな音がなり、男女の声が飛び交うホールとは違い防音効果が高いのか
ここはいたって静かだった。
洗う食器が運ばれてこなければ蒼太もすることは何もない。
日によって様々なコスチュームに着替えるキャスト達だが、決まっていない日も
あれば蒼太が初めて訪れた日のように水着とコンセプトが決められている日も
ある。
今日はいたって普通の日だったのか、ドレス姿のキャストも居れば、街で見か
けるようなファッションに身を包んだキャストも居る。
ムーンに至ってはいつもメイド服を着用している所をみると彼女のデフォルト
はそれ一択なのだろう。
そんな彼女の水着姿も拝んでみたいものだと頭の中で妄想を繰り広げていると、
彼の元に新たなる来訪者がやってくる。
やってきたのは汚れた食器ではなく、一人の妖艶な女性だった。
「バイト君、頑張ってる~?独り身で寂しくなぁ~い?」
覗き込めばしっかり中をみることができるのではないかと思えるほど胸元の
はだけたドレス。
太ももどころか下着も見えてしまうほどの腰まで開いたスリット。
いや、下着なら見えてしまうはずが明らかに彼女は下着らしきものを付けて
いなかった。
歩くたびにひらひらと揺れる布がかろうじて大事なところを見せないように
している。
「えっと…」
一旦は胸元を注視してしまうが、露骨すぎる服装に蒼太の視線が泳ぐ。
「アタシは紗希、さっきオシゴトしてきたところなの~」
そう言いながらサキは蒼太のそばまで来ると歩みを止めることなく彼に体を
絡ませてくる。
胸を彼の腕に押し付け、太ももには自ら股間を割り込ませてこれ以上ないほどに
密着してくるサキ。
「そ、そう…」
何とも言い難い香りが蒼太の鼻腔をくすぐった。
フェロモンと言えば良いのか、彼の男性的部分を刺激するには十分すぎる物
だった。
嗅覚に加えて、触覚、視覚がシナジー効果を産み出しサキがメスとして認識す
るほどに蒼太の情欲を満たした。
一歩あとずさり、シンクを背に退路を失うが、サキもさらに距離を詰め密着度
を増してくる。
「あらあら~、ここをこんなにしちゃって~」
彼女が耳元で囁き落としながら細く長い指が蒼太の股間の膨らみの形をなぞる
ように蠢いた。
手際の良さもさることながら、彼女の指は瞬く間にジッパーを下げ、ズボンの
内部へと忍び込んだ。
布一枚を隔てて彼女の指が蒼太の男性自身を捉える。
「そ、それは…」
思わず息を呑み、蒼太は彼女を見つめてしまった。
彼女の虹彩は不思議なことに蝙蝠思わせる形をしていた。
蒼太の意識に靄がかかる。顔が熱くのぼせ上がる感覚。
【チャーム】
後に知ることになるが彼女のスキルによって蒼太の心は一瞬に
して奪われてしまっていた。
「たま~にはすっきりしないとカラダにドクなのよ~、しってる~?」
彼女の舌が蒼太の耳を這い、耳の穴をなぞる。
「いや、で、でもお店のキャストに手を出したら…」
かすかに残った理性が最後の抗いをみせる。
無駄な努力とはこのことだろう。
「あ~シってる~テツのオキテってのでしょ~?
でも、み~んなやっちゃってるからダイジョウブよ~」
蒼太も彼女の言葉が免罪符になるとは思ってはいない。
でも彼の理性はすでに霧散し、サキの虜になってしまっていた。
耳を舐めていた唇がいつの間にか彼の唇の近くを這う。
「ほらほら~」
甘い口づけが交わされるまでのこり1mmを切ったところで
ピピッピー、ピピッピー!
けたたましくなる電子音。蒼太も何度か耳にしたことがある感じの周波数。
リズムは若干違うもののそれはサキの右の腕から鳴り響いていた。
「あっ、ごめんなさいね~ヨビダしハイったみたい~」
くすっと小さな笑いを零しながらサキは右手の電子機器の操作をし、その音を
止め情報を確認する。
その合図はサキのマイファナーからの呼び出しだ。
指定テーブル、呼び出し相手等の情報がディスプレイに表示され、サキは蒼太
から体を離すと髪をかき上げ彼にウインクを飛ばした。
「コンドまでお・ア・ズ・け・ね♡」
一旦閉じた瞼によって虹彩の蝙蝠から蒼太の意識と理性が同時に戻る。
まさに我に返った蒼太は慌ててジッパーからはみ出してしまっている男性自身を
しまいながら彼女の姿を見送った。
彼にとってある意味災難だったが、良い思いをしたのも間違いではない。
その後も少しのぼせたまま運ばれてくる食器を片し、勤務時間である23時ま
で時は流れるのだった。
ルカが蒼太の元に戻ってきたのはその5分前の事だった。
ここを離れるより少しルカが艶っぽく感じたのは彼女がホールで少し遊んでき
たからだろう。
ご覧いただきありがとうございます。
ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。
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