魔法使いとの出会い
うー、また少し小さくなった、かなあ。
着ていた服がちょっとぶかぶかになった気がします。
「大丈夫か、海」
ふらふらと歩く私を気遣って、宗次郎さんがそんな言葉をかけてくれます。
この体が縮む感覚っていうのは、何度体験しても全然慣れません。ましてや、このサイズですからね。
「さすがに、少し動きづらくなってきたよ」
「まあ、仕方あるまい」
そう、仕方ないんです。
魔法を使い続ける以上は、こうなって当たり前。今さらやめる気もありませんし。
「こっちはいいけど、お兄さん、大丈夫かなあ。院長さんとうまくやっていけるかな」
今はもう遠ざかってしまった病院へと、少しだけ未練のような想いを飛ばします。
あの様子なら心配はなさそうだけど、戻って確かめるわけにもいきませんからね。
「問題は無かろう。雄弘殿が医者になるかまでは分からないがな」
「だね。さて、そろそろ移動しようか」
「そうだな、雄弘殿のところには、少し長居してしまった」
おやおや、やっぱり宗次郎さん、お兄さんのこと結構気に入ってたみたいですね。
私ほどではありませんが、後ろ髪引かれてるのが見え見えです。
「うん、思い出もたくさんできちゃったね。次もいい人が見つかるといいな」
あと何回魔法を使えるか分かりませんが、その時までは出会ってきた人たちとの記憶を胸に、がんばっていくとしましょう。
さて、そろそろ別の町に向かわなければいけないんですが、その前に少し何か食べていきたいなあ。今朝もおむすび食べ損ねちゃったし。
「宗次郎さん、ちょっとコンビニ寄ってもいいかな?」
「かまわん」
「ありがと、じゃあごめんなさいだけど、少しだけ静かにしててね」
のそのそと鞄の奥に引っ込んでいく宗次郎さんを確認してから、コンビニに入ります。
とりあえずおにぎりのお腹になってしまっていたので、総菜コーナーに向かったんですが…………あれ?
目当ての棚の前には先客がいて商品を選んでいたんですが、その人の横顔がどうにも気になってしまいました。
我慢できず、声をかけます。
「ねえねえ、ちょっといいかな? そう、今私のこと見てる、そこのあなただよ」
「今日の夕飯はコンビニ弁当? あんまり体にいいものじゃないね」
「少しお話があるんだけど、いい?」
「えっとね、私魔法使いなんだけど、あなたを幸せにするお手伝い、させてもらえないかな?」
『幸福とはなんぞや?』これにて終了となります。プロットはあったものの、途中で大きな中抜けを作ってしまい、誠に申し訳ありませんでした。
可能であればシリーズ化していきたいと思っていますが、今のところはまだ青写真すらできていません。
ここまで読んで下さった方、感想をくれた方、本当にありがとうございました。




