↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の底の鬼嫁生活:人間を捨てた少女は、最凶の鬼に愛を知る  作者: 凪塩 未来


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/49

第15話「愛を知る物語の結末」

いよいよ最終話となる第15話「愛を知る物語の結末」をお届けします。


現世の冷たい絶望に背中を向けてから、地獄の底という過酷な世界に堕ちた富士由香。彼女がたどった道のりは、決して平坦なものではありませんでした。すべてを奪い、疑うことでしか生きられなかった少女が、絶対服従の婚姻という歪な縁を通じて最強の鬼人・ガルドと出会い、互いの孤独を溶かし合いました。


そして今、新たな命の温もりを胸に、二人は過去の呪縛を完全に断ち切ります。愛を知った少女が、家族と共に歩み出す未来の物語を、どうか最後まで見届けてください!

地獄の底に、新しい季節の訪れを告げるかのように、赤黒く燻っていた空の色彩がわずかに澄み渡っていた。

もちろん、この世界に本当の意味での春や青空など存在しない。


だが、ガルドの城のテラスから眺める景色は、由香にとって以前のそれとは全く違って感じられた。冷たくて淀んでいたはずの風はどこか心地よく、広大な荒野は、これからの未来を切り開くための無限のキャンバスのようにすら思えた。


「ねえ、ちょっと重いんだけど……」

テラスの縁にもたれかかる由香の後ろから、ガルドが大きな両腕で優しくその体を包み込み、そっとお腹に顔を寄せた。

「我が子よ、もう少し母を労わるように教え込んでいるところだ」

「冗談言わないでよ。あんたに似たら、生まれながらの戦闘狂になりそうじゃない」

呆れたようにため息をつく由香の頬は、隠しきれない幸福な笑みで緩んでいた。


かつての由香は、世界から愛されることを諦めていた。

毒親の死、犯罪者の娘という烙印、そして学校や街での冷酷な視線。誰も信じられず、誰のことも愛さず、ただトゲを立てて他者から奪うことでしか自らの尊厳を守れなかった。あの頃の自分に「お前はいつか、地獄の底で最高に愛され、誰よりも大切なものを守る母親になる」と言ってやったところで、きっと思い切り嘲笑っていただろう。


けれど、運命の歯車は思わぬ方向へと転がり、最悪だったはずの死の先で、彼女は本当にかけがえのないものを見つけた。


「……怖くないのか?」

背後から聞こえたガルドの低い声には、時折見せるかすかな揺らぎが混ざっていた。

最強の鬼人として地獄の頂点に立ち、あらゆる恐怖をねじ伏せてきた彼であっても、これから産まれてくる未知の命、そして愛する妻を失うことへの微かな恐れは拭えなかったのかもしれない。

由香はその大きな背中にそっと自分の手を重ね、振り返らずにハッキリと言い放った。


「何言ってるの。あんたと一緒なら、この地獄の底だろうと、世界のてっぺんだろうと、怖がる理由なんて何一つないわよ」


その力強い言葉に、ガルドの瞳が驚いたように見開き、そしてこの上なく優しい愛おしさに満ちた笑みへと変わった。

ガルドは由香をさらに強く、しかし壊れ物を扱うように大切に抱き締める。


「ああ、そうだ。私達の行く手に立ち塞がるものがあれば、それが神であれ鬼であれ、すべて焼き尽くしてやろう。お前と、我が子と共に歩む未来に、曇りなど不要だ」


二人の間に交わされた誓いに、迷いは微塵もなかった。

過去の呪縛、現世の絶望、そして理不尽な地獄のシステム。そのすべてを二人の愛と力で塗り替え、誰もが怯えることなく生きられる新しい世界を、彼らはこの手で創り上げていくつもりだ。


遠くの荒野の地平線から、新しい光が差し込んでくる。

それは地獄の底に射した、永遠に消えることのない温かな光だった。

トゲだらけだった少女は、もう一人ではない。愛を知った彼女は、最強の伴侶と共に、新しい命の未来へとしっかりと歩み出し始めた。


(――これが、私の選んだ人生だ)


心の中でそう呟きながら、由香は愛おしい命の鼓動を感じつつ、誇らしく顔を上げた。

地獄の底で紡がれた愛の物語は、終わりではなく、家族という名の永遠の未来へと続いていく。

第15話「愛を知る物語の結末」までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!


トゲだらけだった少女・富士由香が、地獄の底でガルドと出会い、絶対服従の婚姻から始まった歪な関係を本物の深い愛へと昇華させ、新しい家族と共に未来へ歩み出す最終回をお届けしました。

理不尽な世界の中でも、互いを思いやる絆と強さがあれば、どんな絶望をも覆していける――そんなメッセージが少しでも伝われば幸いです。


ここまで温かく見守ってくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。

もしこの物語を楽しんでいただけましたら、ぜひ「ブックマーク」「評価」「いいね」や感想をよろしくお願いいたします!皆様の応援が、次の新しい物語を書くための最大の原動力になります。


それでは、また別の作品や次回の連載でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。