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店の外で

SNSを眺めていると、おすすめユーザーによく行く居酒屋の店主の個人アカウントが出てきた。お店のアカウントをフォローしているから、それでリコメンドされたのだろう。


店主のアカウントでは、会社のビジョンや飲食で周りの人を幸せにしたいという熱い思いが発信されていた。すぐにフォローした。


この店主のお店はニ店舗ある。三店舗目の物件を探していて、それが決まりかけたが、直前で白紙になったらしい。


その店に初めて行ったのはオープン当日だった。職場のすぐ近くに、カウンターがメインの大衆居酒屋ができると知って、すぐに足を運んだ。私は二人目の客だっただろうか。コロナ禍でのオープンということもあって、客足は渋かった。


ただ、その雰囲気や料理を気に入って、毎週のように通うようになった。コロナ禍だったこともあり、私以外に誰も客がいない日もあった。店主が腕組みして、じっと遠くを眺めている姿を、今でも覚えている。


毎週のように通っていても、オーダーのやり取りと会計だけで、店主と会話をしたことはなかった。


コロナ禍の制限が少し緩んできた時、四十席近くある席が全部埋まった日があった。店主へのオーダーも、少し大きな声で伝えないと聞こえないほど賑わっていた。


ニ店舗目がオープンして、店主はその店にはいなくなった。新しいお店は、二人以上で楽しむような形態でもあり、なかなか足を運びづらかった。店主が不在になると、通う頻度は減ってしまった。


ある日お店に足を運ぶと、店主が立っていた。もう半年か、もしかしたら一年ぶりぐらいかもしれない。


思わず「最近は、こちらにいらっしゃるんですね」と私は言った。


店主も「そうなんですよ」と返してくれた。


新しいお店もスタッフが育ち、任せられるようになったのだろうか。


今は週末は予約をしないと入れないほどの人気店になった。今は週の始めを狙って、二週間に一度くらいのペースで足を運んでいる。


初めて店に行った時には、二人でお店を運営していた。創業メンバーがいた。ただ、いつしか店主一人になっていた。お店のSNSの投稿がすべて削除され、その人と二人で写った写真もなくなっていた。


事情は知らない。ただ、その人はもう店にはいなかった。


今はスタッフも増え、3店舗目を準備している。


ある日、職場の近くを昼間に歩いていると、ゆっくりと自転車を漕ぐ人が「こんにちは」と声をかけてきた。


Tシャツと短パン姿の店主だった。買い出しに行く途中だろうか。


「あ、こんにちは」


挨拶を返した。

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