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同じ空間で

カウンターの一番奥に、スーツを着た40代後半くらいの男性が座った。


自分は火曜日にこの店によく来るが、よく見かける男性だ。行動パターンが同じなのかもしれない。少し親しみを覚えた。


「今日はキュウリ、終わっちゃった。トマトならあるけど」店主が男性に言う。


この店のお通しは、好きなおばんざいをひとつ選べる。キュウリは塩昆布和えのことだ。トマトはシソとミョウガで和えたもの。どちらもさっぱりとした一品だ。


自分は何かしら肉が入ったものを選びがちだ。今日は豚肉とピーマンのオイスターソース炒めにした。


男性が、いつものように店主と共通の知人の話をしている。


「先週、あの後来てくれたのよ」


きっと、いくつかの店で日々顔を合わせ、誰かの近況が自然に共有されていくのだろう。ここに来ることも、その男性にとって生活の一部なのだと思う。


「連休は大阪に帰るんですよ」


一方で、自分のように淡々とひとりで飲み続ける客も多い。それぞれの関わり方で、それぞれの時間を過ごしている。


顔は知っていても、お互いの名前は知らない。


男性はトマトのお通しで瓶ビールを飲み、自分は豚肉とピーマンを少しずつつまむ。


今日も、それぞれの時間が、同じカウンターに並んでいる。


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