第18話「葛藤」
家に着いた時、母親に抱きしめられた。
色んな質問をされたけど、ほとんど覚えていない。
それっぽい言い訳をして終わらせたような気がする。
母親に大してそれは悪いことをしていることは分かっていたのだが、無駄な心配をかけさせたくなかった。
これは自分の問題、巻き込みたくは無かったのだ。
質問と少し叱られたあと、雨野は自分の部屋で外を見た。
雨が降った後でまだ少し窓が曇っている。
また相合傘でも書こうか…
そう思い、窓に傘を書き、その下には自分の名前とレイの名前。
公園にいた時の自分たちと同じだなと、少しニヤけてしまいそうになった。
そうしている時、母親がノックをしてきた。
どうやら下から呼んでいたが、聞こえていなかったらしい。
それで部屋まで呼びに来たのだ。
反射的に、窓に書いてあった相合傘を手で消してしまった。
そんなことする必要はなかったのに、もしも部屋に入られてこれを見られるのは嫌だったのだ。
「ごめん、すぐ行くよ。」
そう言うと、母親は下に降りていった。
窓を見ると、さっきまでそこにあった相合傘が消えてしまっている。
もったいないな。
ちょっぴり後悔しながらも、下の階に夕飯を食べに降りた。
明日学校に行きたくないという思いと、レイに会いたいという思い、親を心配させたくないという葛藤を持ちながら。
それを悟られないように。




