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86 封印 9

売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。

そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。

長い旅の末、二人は数々の仲間とともに封印の地へ到着した。

だがそこへノブの兄弟子を名乗る老魔術師・マスタージェイドが現れ、魔人と化して一行を襲う。

レイシェル達は辛くもそれを撃退した――。

「もう一息で倒せたのになー」

 溜息をつくジルコニア。

 とは言え、どの機体も限界に近く、艦内格納庫のハンガーでは大急ぎでの修理が始まっていた。


 魔人ジェイドが撤退してすぐ、レイシェル達一行はすぐに山頂を離れた。

 万が一敵が再度の襲撃をかけた時、抵抗するだけの余力が無かったからだ。

 クラゲ艦Cオーウォーも相当なダメージを受け、未だに装甲のあちこちから煙が上がっているが、それでもモタモタしてはいられない。


 一同は格納庫で顔をつき合わせる。

 オーガーハーフエルフのエリカが首を傾げた。

「でもあいつ、まだ戦おうとして調子崩して帰ったみたいだけど。なんかメカのトラブルでもあったのかな?」

「‥‥そうなんだと思いますわ。エネルギー供給に乱れを感じましたもの」

 そう言ったのはレイシェルだ。


 自らも神蒼玉(ゴッドサファイア)を所持しているからか、彼女には撤退前の敵機から異常を感じる事ができた。

 膨大なパワーが噴き出続ける敵機の中で、急にそれがまとまりを欠き、脈絡の無い流れになった――そう受け止めたのである。


神蒼玉(ゴッドサファイア)を体に埋め込み、その体からパワーを得る。その前代未聞の機能を造るのは、奴にとってもそう簡単ではなかったという事か」

 オウキが言うと、ゴーズがバシッと掌に拳を打ちつける。

「奴に追い打ちをかけるなら今だな。おう、あの機体をさっさと直してくれ」

「俺達も行きますよ、ゴーズ様!」

 ボブゴブリンの一匹が叫んだ。ゴーズの後ろでいっせいに首を縦に振る、魔王軍の兵士達。


 流れというべきか。

 レイシェル達がクラゲ艦に引き上げる時、彼らも一緒に乗り込んできたのである。

 半壊して戦闘力を失った機体で、互いを支え合うようにして。

 無論、それをノブ達が許可したわけはないのだが‥‥。


「えー‥‥こいつらが合流すんのか?」

 顔をしかめるエリカ。まぁゴーズを慕っているからジェイドに挑んだだけで、まともに改心している奴など一匹もいない。嫌がって当然であろう。


 だが心配は杞憂であった。ゴーズはニヤリと笑う。

「そこまで面倒見ろとは言わねぇよ。俺らはここで別れさせてもらう」

 オウキが「ほう?」と呟くが、ゴーズはお構いなく言葉を続けた。 

「お前らの目的は元々神蒼玉(ゴッドサファイア)を手に入れる事だろうが。ならお嬢ちゃんの拾った奴を持ち帰りな。ジェイドの奴は俺が始末するからよ。だからまぁ、機体の修理だけしてくれや」


 魔王軍にいた頃はゴーズも神蒼玉(ゴッドサファイア)の入手に血眼になっていたのだが、ジェイドに雪辱する事が今や優先になっているのだ。


 しかしエリカはまだ渋る。

「まぁ出て行くならいいけど。でもこれだけの機体を修理するのは結構な資金と資材がいるぞ」

 そんな出費は嫌だと暗に言っているのだ。

 舌打ちするゴーズ。

「チッ‥‥俺が案内した倉庫の分じゃ足りないってか」


 だがオーガーの一匹が顔を突き出した。

「ゴーズ様。砦から軍資金を持ち出してきやしたが、これで足りませんかね」

「でかした!」

 ゴーズの顔がパッと輝く。

 なにせガデア砦はリーダーを失い、何もかもザル同然だ。適当に金目の物を持ち出しても誰も文句を言わなかったのである。というか、下っ端の魔物兵はみんなやってる。

 さらに熊獣人(ワーベアー)の兵が提案する。

「足りないなら近くの町でも襲いやしょう」

「よし、地図を持ってこい」

 景気良く命令するゴーズ。

 間髪いれず怒鳴るジルコニア。

「やるんじゃねー!‥‥こりゃ、こいつらと次に会う時も敵同士だろうな」

「そんときゃ正面からブチ当たってやる。せいぜい小細工を考えておきな」

 そう言うゴーズに悪びれる様子は全く無かった。


 結局、金を出すならまぁいいか‥‥というわけで、モヒカンエルフ作業員達は魔王軍兵の機体を修理する。

 宙を行くクラゲ艦の中、それはその日のうちに終わった。

 星の瞬き始めた夕闇の下、ゴーズとその部下達はケイオス・ウィリアーに乗って去って行った。


(あまり仲良くなるべき人ではありませんでしたけど‥‥ちょっぴりだけ寂しい気はしますわね)

 格納庫でゴーズ達を見送るレイシェル。

 ノブ、ジルコニア、エリカ、オウキ、リュウラ。仲間達も一緒に。


「‥‥いや、なんでお前さんが居るんだよ」

 ジルコニアがリュウラを睨みつけた。

設定解説


・Sスクトゥムステゴドン

ゾウの頭を持つ猛獣型ケイオス・ウォリアー。

巨大なスパイクシールドを装備しており、これで守りを固めつつ攻撃も行う。

鼻から噴き出す凍結性の霧「アイスロックミスト」は超低温で敵機を凍らせ、その攻撃力を低下させる効果がある。

最大の武器はその牙を使った攻撃「ジャイアントタスク」で、エネルギー効率を突き詰めた結果、ENを消費せず攻撃が可能となった。戦意(モラール)が上がり次第、最強部武器を無消費武器として使い続ける事ができるという、一風変わった長所を持つ。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:6400 EN:300 装甲:1850 運動:100 照準:145

射 アイスロックミスト 攻撃3200 射程1―5 攻撃力低下2

格 シールドバッシュ  攻撃3300 射程P1―2

格 ジャイアントタスク 攻撃4500 射程P1

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[一言] ……マンモ●マン?(笑)
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