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84 封印 7

売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。

そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。

長い旅の末、二人は数々の仲間とともに封印の地へ到着した。

だがそこへノブの兄弟子を名乗る老魔術師・マスタージェイドが現れ、魔人と化して一行を襲う――!

 駆け付けた魔王軍の増援部隊。苦境の中でのさらなる脅威に、レイシェルの額を嫌な汗が流れた。

 しかし‥‥魔人ジェイドは増援へ、量産型機を率いる象頭人身の白銀級機(シルバークラス)へ通信を送る。

 

『リュウラとか言ったな。儂が貴様に行けと命じたのは、ここでは無かった筈だがな?』


 リュウラ。かつてのガデア騎士団員であり、一度はレイシェルへの追手となった女魔法戦士である。

「リュウラなの!? なぜここに‥‥」

 ジェイドの命令に反して来たのか。それを訊きながら、レイシェルの胸には期待があった。

 ゴーズもエリザも、レイシェルと和解できたではないか。ならばリュウラもレイシェルの味方ではなかろうか?


 そしてリュウラは言った。

『レイシェル。貴女に勝つためよ』


 違った。

 操縦席で項垂れるレイシェル。その肩をぽんぽんと後ろから叩き、ファティマンのシランガナーが慰める。

 期待通りにはいかなかった‥‥。


『ふん、勝手なものよ‥‥。まぁ良い。儂の邪魔にだけはならんようにな』

 ジェイドは興味を無くしかけたようで、リュウラ機へ背を向ける。

 だが彼女はジェイドへ言い放った。

『そうはいかない。レイシェルは殺させない』

 意外な言葉に再び振り向くジェイド。

『なんじゃと‥‥?』


 そんなジェイドへと、リュウラと共に来た魔王軍の機体達から通信がとぶ。

『マスタージェイド! ゴーズ様を裏切っておいて許されると思ったか』

『貴様などが大それた事をしおって‥‥』

『成敗してくれる。覚悟!』


 量産型機からの声に、ジェイドは怪訝な声を出す。

『貴様らは?』

 それに答えるリュウラ。

『ジェネラルゴーズに忠誠を誓っていた直属の部下達。同行を申し出た貴方の仲間の親衛隊はお断りして、私が砦の中で探して集めた』


 強さや魔王軍向きの性格に惚れ込み、ゴーズ自身に忠誠を誓っていた兵士も陸戦大隊にはいた。特にホブゴブリン・オーガー・バグベアなど、膂力や体格頼みの魔物に。

 リュウラは砦の中を歩き回り、自らそういった兵を集めたのだ。そしてここに来る途中、自分の知る限りの事を――多分に憶測混じりではあったが――彼らに教えた。

 ジェイドがゴーズを裏切ったのではないかと。一つ確かめてみよう、と。

 そして指示された場所を無視してここへ到着してみると、ゴーズが魔人ジェイドと戦っていた‥‥というわけである。


『覚悟しろ!』

 兵士達の機体が崖を跳び越えてジェイド機に迫る。

 だが今のジェイドが、そんな事で動じる訳も無かった。

『阿呆どもが‥‥』

 そう呟くと、その手に魔力の光球が発生する。

『ニュークリアーブラスト!』

 兵士達を核撃の爆発が襲った‥‥!


 光と熱が収まった時、兵士達の機体はみな焦げた残骸を晒していた。

 そのうちの一機にレイシェルは自機を駆けよらせる。

「リュウラ!」

 そう、それはリュウラが乗って来た象頭の白銀級機(シルバークラス)だ。

(やはり私を助けて来てくれたのね)

 倒す、と言っておいてなぜ助けるのか。それはわからない。

 だがわからなければよく話し合えばいい。

(今は力を合わせる時ですわ)


 駆け寄ったレイシェル機へ、リュウラから通信が入る。

『あのクラゲ艦‥‥レイシェル達が使っているのね?』

「え、ええ」

 突然の質問に戸惑うレイシェル。

 彼女にリュウラが訴える。

『あそこへ連れて行って。早く』

 機体のダメージが大きくて、単機では動けないようだ。

(何か考えがありますのね?)

 面食らいはするが、長々と話せる状況ではない。レイシェルはリュウラを信じる事にした。


 無論、その光景はジェイドにも見える。

(何をするつもりか知らんが、やらせる必要も無い)

 大股でレイシェル機に近寄ろうとする。


 だが崖下から巨体が()()()()()()()立ち塞がった。

『させん!』

 ザウルライガー!

 全身から煙をあげ、装甲のあちこちを溶解させながら、勇者はまだ息絶えてはいなかった。


『貴様、まだ!? ええい!』

 忌々しげにジェイドが吐き捨てるや、Uディケイウィザードの全身から焦熱光線が雨のように放たれた。【スーパーノヴァ】――無数の熱線で敵を焼き払う攻撃呪文である。


 だがザウルライガーは両腕で前面を庇い、呪文を真っ向から受け止めた。

 熱線の束がその全身を撃つものの、踏み止まって堪える!

『むう!?』

 ジェイドが驚きと怒りの混ざった声をあげた


 ライガーが食い止めている間に、レイシェルはリュウラの機体に肩を貸して艦に届けた。

 作業員達が驚く中、リュウラは操縦席から飛び降り、格納庫を駆け抜ける。

 彼女が何をするつもりかわからないが、レイシェルは再び出撃した。

(急ぎませんと。もう少し持ち堪えてくださいまし)


 再出撃するエストックナイトの操縦席で、通信機から漏れるオーガーハーフエルフのエリカの声が聞こえた。

『おいなんだ、いきなり来て‥‥』

 それを遮るリュウラの言葉。

『さあ、食らわせるわ』

 何か争っている!? 戸惑うレイシェル。

 だが艦の触手が勢いよく振り回された。それはレイシェル機の背後から、頭の上を通り抜け、ジェイド機を打つ。


 しかし‥‥触手の一撃はジェイド機に片手で弾かれた。

 いとも容易く、あっさりと。

設定解説


・Uディケイウィザード

マスタージェイドが造った専用機で、ワンオフカスタムメイドの人造巨人ケイオス・ウォリアー。

黒いボディを赤い装甲が覆い、コートかマントのようなカバーが肩からかけられている。頭部は緑の結晶がで、黒い板が何枚も並んで差し込まれており、格子状になっている。

師匠の下から持ち出した知識や技術がふんだんに使われており、機体性能は黄金級機(ゴールドクラス)と変わらない。動力となる神蒼玉(ゴッドサファイア)のエネルギーは操縦者自身から供給する。


その名は

ウンセプトトリウム:理論上存在しうる最後の元素

ディケィ:朽ちる、崩壊する

ウィザード:魔術師

から成っており、過去の己を見限り新たな存在となる意思が篭められている。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:65000 EN:300 装甲:2400 運動:100 照準:180

射 ニュークリアーブラスト(MAP) 攻撃3500 射程1―5・着弾点指定直径5

射 スーパーノヴァ          攻撃4000 射程P1―9

格 ギャラクシアンファントム     攻撃5000 射程P1―3

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