83 封印 6
売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。
そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。
長い旅の末、二人は数々の仲間とともに封印の地へ到着した。
だがそこへノブの兄弟子を名乗る老魔術師・マスタージェイドが現れ、魔人と化して一行を襲う――!
クラゲ艦Cオーウォーから、ノブ・レイシェル・オウキのケイオス・ウォリアーが飛び出す。
ドリルライガーは空中でバルーンフリゲーターどもを半分がた叩き落としていたが、味方が出撃するのを見て高度を下げた。
ライガーを追って怪鳥達が降下してくる。が――
「【光熱の領域、最終第七の段位。真なる極小の核は分かれ融合する。速き風は光と共に全てを滅する】――ニュークリアーブラスト!」
詠唱と共に、レイシェル最大の攻撃呪文がSエストックナイトの右手に光球を生み出した。
それは天へと放たれ、敵を呑み込み大爆発を起こす!
術者の魔法が増幅され、第二の太陽が生まれたかのようだった。
爆発が収まった時、敵は全滅していた。
焼け焦げた骸が地に落ち、無残に砕ける。
『よし! これで後は敵の大将だけだな』
オーガーハーフエルフのエリカがブリッジで握り拳を作る。
地上にいたが故に巻き込まれていなかった――魔人ジェイドの乗る、宝石のような頭部に黒い板を何枚も差し込んだ、黒い外套を羽織った機体は。
部下が全滅したというのに、ジェイド機は大股で近づいて来る。
今度はノブのムーンシャドゥが剣を抜いた。
『魔王剣!』
深紅の刃を持つ剣を手に、敵機へ駆け寄るシャドゥ。
ジェイド機は黒い外套を翻し、それを真っ向から迎え撃った。
『スーパーノヴァ!』
刃が食い込む直前、ジェイド機から光線が放たれた。
その全身から、数百本の焦熱光線が!
周囲全てを打ち貫く光線の放射。
それが収まった時――ムーンシャドゥは離れた所に立っていた。
避けたのだ。無数の光線の放射を、至近距離から。
しかし‥‥全身の装甲はあちこちが焦げ、煙をあげていた。
それを見て事も無げに言う魔人ジェイド。
『うむ。大賢者トカマァクの弟子が、あれだけで倒れてはいかんからな』
その胸部装甲には、魔王剣で裂かれた傷が確かにあった。
その傷は‥‥徐々に塞がってゆくが。
交戦によりデータがとれた。それをモニターに表示させたエリカは、驚愕の声をブリッジに響かせる。
『こ、このステータス‥‥黄金級機!?』
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Uディケイウィザード
HP:65000 EN:300 装甲:2400 運動:100 照準:180
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以前戦ったジェネラルゴーズの機体Gクエイクベヒモスとほぼ同じ機体性能である。
『どういう事だ? ジェイドの奴、神蒼玉は自分の改造に使ったんじゃねぇのか』
やはりデータを見つつ、ノブの肩でジルコニアが首を傾げた。
神蒼玉を動力として組み込んでいるが故の黄金級機。
逆に言えば機体に組み込んでいないと黄金級機としての性能にならない筈だ。
ステータス画面に表示されている名称にも、黄金級機の『G』ではなく別の文字『U』が表示されている。
ならば敵機のこの性能は何なのか。
魔人ジェイドが笑った。
『そうだとも。この機体Uディケイウィザードは黄金級機ではない。だがこの儂自身と連結し、動力源にしている。だから神蒼玉の力はこの機体に満ちているのだ。よって黄金級機に匹敵するパワーが出せる! この機構故に、儂にしか使えん機体となったがな』
笑いながらディケイウィザードが右手を高々と上げる。
そこに魔力の光球が生まれた。
『いかん、来るぞ!』
ノブの叫びとともに、魔術師系最大の攻撃魔法がウィザードから放たれた。
『ニュークリアー! ブラスト!』
ジェイドの声と共に。
放たれた魔力球が膨れ上がり、大爆発を起こした。
光と熱が山頂を焼き払う!
それが収まった時――しかしノブ達はまだ持ち堪えていた。
だがどの機体も煙をあげ、膝をつき、焦げた装甲の下であちこちから火花が散っている。
触手が何本も焼け落ちた状態でゆらゆらと揺れているクラゲ艦の中、エリカが大慌てて被害状況を確認していた。
『や、やばい! もう一発やられたら‥‥!』
どの機体も耐えられそうにない。
一撃とはいえ耐えられたのは、機体の改造が8段階に及ぶ高位まで施されていたが故である。
だが唯一範囲から外れていた機体があった。
『やらせん!』
まだ上空にいたドリルライガーである。彼は叫んだ。
『タイタンケラトス!』
その声に従い、クラゲ艦の格納庫から角竜型の強化用機が駆けだして来る!
『フォームアップ!』
ライガーの声に合わせ、人造恐竜は変形した。
巨大な竜は両腕と頭部の無い巨人に。
そしてドリルライガーは二つに分離し、大きな両腕となった。
両腕がドッキングするや、同時に兜を被った騎士のごとき頭部がボディから出現!
両目が輝き、口はフェイスガードで覆われている。
『巨竜合体! ザウルライガー!』
変形合体したライガーの声が雄々しく響いた!
体格の数段違うザウルライガーに、ウィザードは真正面から身構えた。
『ほう、かなりのパワーがあるようだな。ではこの機体の真のパワーを見せてやろう』
魔人ジェイドのその言葉と共に、ウィザードの右拳が光り出す。
見ればその拳、五指全てに指輪のような結晶が備え付けられていた。
輝いているのはその結晶だ。
ウィザードのどこからか、人工の合成音声が響いた。
『ニュークリアーブラスト『ニュークリアーブラスト『ニュークリアーブラスト『ニュークリアーブラスト『ニュークリアーブラスト』
声が木霊する度に、結晶が一つずつ激しく輝く‥‥。
『あの輝き一つ一つが核撃の威力を秘めているのか!』
珍しくノブが焦り混じりの叫びをあげた。
『そ、そんなのって!?』
意味を理解したレイシェルもまた驚愕する。
しかしザウルライガーは止まらない。
タイミング的にも、本人の闘志も、敵の繰り出す攻撃を前に止まる事はできなかった。
『ドリルフィーバー!』
肩のドリルを両手に持ち替え、五つの切っ先をウィザードへと叩き込む!
その死の突撃に、ウィザードは右拳を打ち込んだ。
『ギャラクシアンファントム!』
核撃を秘めた五重の輝きが炸裂する!
大気が砕けた!
空が哭いた!
そしてザウルライガーの巨体が、激しく吹き飛び、頭から垂直に落下した!
山頂から外れ、谷底へと消えていく――。
右拳を収めたウィザード。
その装甲にはザウルライガー最大の必殺技にて五つの穴が穿たれ、火花を散らし放電していた。
だが、ウィザードは大地を踏みしめ立っていた。
『ワシとこの機体が相手でなければ、いかな敵にもひけはとらんかっただろうがな』
ジェイドのその言葉には、まだまだ余裕があった‥‥。
『クッ‥‥まだ終わりではありませんわ!』
操縦席で叫ぶレイシェル。エストックナイトも剣を構える。
しかし、エリカが悲鳴のような通信を送って来た。
『て、敵増援だ!』
各人のモニターに映る、魔王軍を示すアイコン。
向かいの岩山山頂に数機のケイオス・ウォリアーが姿を見せた。
一機はゾウの頭と牙を持つ、巨体の白銀級機であった‥‥。
設定解説
・ニュークリアーブラスト
この世界・インタセクシルの魔術師系最高位の破壊魔法。
力場の中で熱核融合反応を起こし、その光熱波を解放して範囲内の全てを焼き尽くす。
Sエストックナイト(レイシェル機)の追加武器性能
射 ニュークリアーブラスト 戦意130 消費EN60 射程1-8 攻撃力5500 サイズ差補正無視
射 ニュークリアーブラスト(MAP) 戦意140 消費EN60 射程1-5・着弾指定直径5 攻撃力4000 サイズ差補正無視




