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81 封印 4

売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。

そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。

長い旅の末、二人は数々の仲間とともに封印の地へ到着した。

だがそこへノブの兄弟子を名乗る老魔術師・マスタージェイドが現れ、魔人と化して一行を襲う――!

 レイシェルが神蒼玉(ゴッドサファイア)を手にした頃。

 山頂での戦いは――


 ノブの肘打ちが魔人ジェイドの臍にある神蒼玉(ゴッドサファイア)を打った。

 神の宝玉は決して砕ける事は無い。だが魔物の首さえ刎ね飛ばす一撃を受ければ、装飾品からは一たまりもなく外れてしまう筈だ。


 魔人ジェイドは静かに言った。

「力で上回る敵と見て、急所がどこか考え狙う戦法をとった。それは賢明だ」


 神蒼玉(ゴッドサファイア)は外れなかった。

 手応えでノブは知る。

 この宝玉は装備にはめ込まれているのではない。

 魔人の体と一体化しているのだ‥‥!


 宝玉を固定する座金は、老人――今や魔人となっているが――の皮膚が変質し、高質化した物だったのである。


「だが悲しいかな、差を埋めるには至らんかった!」

 叫んで蹴りを繰り出すジェイド。

 機敏に動くも避ける事はできず、ノブは強烈な一撃を受けて吹き飛ばされてしまう!

 風を切る勢いで岩に叩きつけられ、ノブは呻きながら地に崩れ落ちた。


「そんな‥‥ノブ‥‥」

 茫然と呟くオーガーハーフエルフのエリカ。

 そんな彼女に答えたわけではないだろうが、魔人ジェイドが――どこか悲し気に――呟いた。

「差じゃよ。それを埋めねば届かん。だからこそ、いかにして埋めるか考え、悩むのだ‥‥」


 ノブ、ゴーズ、オウキ。傷を抑えながら三人は立ち上がろうとした。

 だがダメージは大きく、動きは緩慢だ。

 魔人ジェイドは誰から仕留めたものかと(こうべ)を巡らせた。

 が――


『そこまでだ!』

 凛と響き渡る声。

 空中にすっくと(強化パーツの効果)、ドリルライガーが山頂を覗き込むように立っている。

 絶体絶命の危機に加勢しに来たのだ。


 流石に分が悪い相手に、魔人ジェイドは「むう」と唸る。

 だがライガーはすぐには攻撃しなかった。

『引き下がれ。悪党とはいえ、この体格差で潰したくはない』

 だがその警告に、魔人ジェイドは「ほう!」と声をあげて嗤う。

「見上げた勇者殿だ。だが高潔と賢明が同居しないのは悲しいな。さすれば‥‥遠慮がいらぬようにしてやろう」


 ジェイドの角が震えた。

 それはある信号を送ったのだが、ライガーにそんな事はわからない。

 だが、彼のレーダーに映る物が何かはわかった。

『敵増援!』

 叫んで見上げるライガーは、山頂に迫る怪鳥の群れを見た!


 かつてライガーも戦ったバルーンフリゲーターどもである。

 あの時ほど大きい個体はいないが、だからといって大人しいわけではない。


 せせら笑うジェイド。

「ここに来させれば、お主はともかく他の連中は食い殺されるな。儂は平気でその命令を出すからのう」

『クッ‥‥いかん!』

 迷いながらも、仕方なくライガーは鳥の群れへ向かう。


 それを見送りながら、エリカは慌てふためいた。

「ど、どうすれば‥‥!?」

 自分が魔人ジェイドに勝てるとは思えない。それでもなんとか加勢できないかと、両手持ちの巨大なバールを握りはするが。


 だがエリカがジェイドへ向かう前に、その足をノブが掴んだ。

 苦しい息を吐きながらも声を絞り出す。

「艦へ‥‥」

「え?」

 何を言われたかわからず戸惑うエリカ。

 だがノブは告げた。

「艦へ、行ってくれ。ライガーの援護と‥‥僕らの出撃の、準備を‥‥」


 やはり迷いはしたが、エリカは頷き、そして艦へと走った。

(準備しろって言うんだから、艦へ戻ってくるんだよな。そうだよな?)

 心の中でノブへ問いながら、全力で。


 駆けていくエリカなど気にもせず、魔人ジェイドはノブへ迫る。

「さて、トドメといくか。ノブよ、我が弟弟子よ。お主が儂の片腕となれば、必ずや今後は大いに役立ってくれただろうに‥‥」

 その声には確かにあった。

 惜しみ、嘆き、悲しむ。その感情が。


 しかしその時。

 門に青い煌めきが舞った。

「そうはさせませんわ!」

 少女の凛々しい声が山頂に響く。

 門の輝きから姿を現したのは、当然レイシェル!


 レイシェルが飛び出すと門の輝きは消えた。

 山頂に吹く風の中、上空で怪鳥の群れを迎え撃つライガーが戦う音が届く中で、レイシェルは魔人へと恐れる事なく身構える。

 その姿を見て――ジェイドは歓喜の声をあげた!

「おお! 神蒼玉(ゴッドサファイア)を持って来てくれたのだな!」

設定解説


・バルーンフリゲーター

この世界のモンスター・ジャイアントグンカンドリの亜種。

笠にしか見えない鶏冠が特徴。例によって魔王軍活動後に発見された種であり、魔王軍の生体兵器としてしか目撃されていないので、やはり品種改良された物だと思われる。

この回で現れたのは以前登場した物と全くの同種だが、育成にかけた時間の短い若鳥であり、体格で大きく劣る。

味がたいした事ないのは同じ。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:7500 EN:200 装甲:1400 運動:90 照準:150

射 衝撃波    攻撃3200 射程2―6

格 ボディプレス 攻撃3900 射程P1―1

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