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やっと今年の仕事も終わった。

明日は飯と便所以外は布団から出ない強い決意をもって臨みたい。

今の時代、布団の中だろうが30も執筆も映画やアニメの鑑賞もできる。

できぬのはDDのガシャで有益なアイテムを引き当てる事のみ。

だがその前にレイシェルとノブの戦いは続く。

 呻き声とともに立ち上がった敵兵は叫ぶ。

「レイシェル! 不意打ちとか汚ねぇぞ!」

 彼を見てレイシェルは仰天した。

「貴方はグスタ! どうして魔王軍に!?」


 かつてガデア魔法騎士団の団員同士であり、互いに見知った仲である。


 レイシェルをなじったその男――元魔法騎士団員グスタは、立ち上がって両手剣を抜き、怒りに叫んだ。

「お前のせいだろ! 魔王軍がお前を探して、ガデア魔法騎士団はコノナ国もろとも潰されたんだよ!」

「そ、そんな!?」

 かつて身を寄せていた国の、所属していた騎士団。その壊滅を告げられ、レイシェルは動揺せざるを得ない。


「大剣使い揃いのベヒモス隊の、俺はエースだったのに……舎弟も女も何人もいたのに……部隊が……俺の部隊が潰されちまった。許さねぇ!」

 グスタは剣を構えた。怒りに燃える目でレイシェルを睨みつけながら。


 だがその視線を遮るように、ノブが割り込んだ。

「その怒り、なぜ魔王軍にぶつけない?」

 言われたグスタは一瞬言葉につまる。だがすぐに青筋を立てて怒鳴った。

「てめぇは! ()()と戦ってねぇくせに!」


 その脳裏に浮かんでいるのは、魔王軍……というより、それを率いるたった一人の男。

 陸戦大隊長ジェネラル・ゴーズ。


 ノブは「やれやれ……」と溜息をつく。

「怖気づいたならどこかに逃げればいいだろう。かつての仲間へ八つ当たりしにくるぐらいなら」

「うるせぇ! 死ねや!」

 最早話す事は無いと、グスタは大きな剣を振り上げて跳び込んできた。

 ノブの頭を叩き割らんと、真っすぐに!


「ノブ!」

 レイシェルが叫び、慌てて間に入ろうとした。

 グスタは騎士団きっての剛剣を誇り、幾多の敵を打ち倒してきた。

 それをレイシェルも見ているが故に。


 だが彼女の横を風が駆け抜けた。

 そして、グスタの2m近い体が近くの木箱に叩きつけられる!


 ノブが蹴り足をゆっくり下ろした。

 その頭上でジルコニアが笑っている。

「お前の剣よりノブのカラテの方が遥かに高レベルみたいだな」


 元騎士団エースの一人がもつ技量、両手剣のリーチ、そこから繰り出される一撃。

 それを掻い潜ってカウンターキックで迎え打った。

 ただそれだけの一撃である……実現は困難どころでは無い筈だが。


「ま、魔術師じゃねぇのか!?」

 蹴られた胸を押さえて咳き込みながら、それでもグスタは立ち上がる。

 鎧がなければ骨をやられていただろう――その感触に戦慄しながら。


「まぁ魔術師系クラスではある。だがカラテスキルを学んではいけないという法も無い。僕は格闘技でも最強の霊能者(サイオニック)だ」

 そう言うノブのカラテの構えから、グスタは隙を全く見つけられなかった。

 ジルコニアがほくそ笑む。

「そいつが本職のニンジャかモンクならお前の首は刎ねられてたぞ」


「ち、力ならこちらが上よ!」

 そう怒鳴ってグスタが剣を構え、大声で呪文を唱えた。

「【大地の領域、第二の段位。刃は硬くしなやかに輝く。輝きは武器の力となる】――ハード・ブレード!」

 両手剣が金色の光を帯びた。それは弾性と剛性を増す魔法の輝きだ。

 魔法戦士グスタの使う魔術は武器を強化する付与魔法。彼の戦法はあくまで両手剣が主であり、魔法はそれの補助にすぎない。

 その剣は今や甲冑さえも切り裂く必殺の威力をもっていた。


 だがノブは指を軽くふる。宙に散る青い光。

 それが消えた途端、グスタが剣を落しそうになった。よろめきながら「重い!?」と呻く。


【ウィークン】――敵の筋肉と神経に作用し、力を入れられなくする呪文。対象の膂力は大きく衰える。


 剣を持つだけで四苦八苦するグスタに、ノブの冷たい声が刺さる。

「力もお前が下になったな」


 グスタの額を大粒の汗が流れた。

 だが、倉庫の外から振動と大きな足音が響いてきた。

 素早く【ウィザードアイ】で外の様子を映し出すノブ。


「ほう? 増援か」

 月明りの下、数体のケイオス・ウォリアーが迫っていた。


「へ、へへ……まだ俺にツキはあるようだな!」

 叫んでケイオス・ウォリアーの一機へ駆け寄るグスタ。

「いいだろう。付き合ってやる」

 そう呟き、ノブは身を翻した。外に置いてある自機へ向かう気だ。


 機体に乗ろうとするグスタを仕留める事も不可能ではない。

 だがそこで僅かでも時間をかけて、増援の敵機に踏みつぶされては意味が無い。

 ノブはそう判断したのだ。


「私も……戦いますわ」

 レイシェルもノブとともに倉庫の出口へ向かう。

「無理すんなよ?」

 揶揄するような、しかしいつもと違いどこか優し気なジルコニアの声。

 だがレイシェルはきっぱりと言い放った。

「戦います!」


 レイシェルに並走し、ほんの少しの間、その横顔を眺めて――ノブは頷く。

「わかった。頼もう」

設定解説


・不意打ちとか汚ねぇぞ

本人は寝込みを襲う気満々だった。

斥候に偵察させて泊っている場所を確認してから大勢+ケイオス・ウォリアーで襲うという、別におかしい所の無い戦法ではあった。

あんまりエリート魔法戦士らしくない戦い方ではあるが、彼も後が無いので必死なのだ。

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