新年号挨拶
平成から令和へ。
櫻真「時代が変わったけど……あんまり実感がわかんなぁ」
桜鬼「まぁ、年号が変わっても生活が変わるわけではないからのう」
櫻真「そやな。でも俺はこれから山場になってくんやろうな」
桜鬼「戦い物の辛い性じゃ。仕方あるまい」
櫻真「でもこれって、愛がテーマやなかったっけ?」
桜鬼「愛は時に人を暴走させるのじゃ。櫻真もそれをちゃんと覚えとくのじゃぞ?」
櫻真「……肝に命じておくわ」
瑠璃嬢「この反応じゃ、行き先が不安だけどね」
櫻真「なっ、俺だって分かっとるよ!」
瑠璃嬢「ふーん(桜鬼の気持ちも、受け止められてないのに、よく言うわ)」
櫻真「……微妙な視線を向けるのやめて」
瑠璃嬢「別に。気のせいじゃない?」
桜鬼「いや、確実に瑠璃嬢は櫻真に不審な目を向けていたぞ」
瑠璃嬢「はいはい」
魑衛「瑠璃嬢、こんな子供の二人を君が気に掛ける必要はない。それよりも、私とこれから逢瀬をしないか?」
瑠璃嬢「しない。むしろ、アンタはストーカー張りに一緒にいるんだから、意味ないでしょ?」
魑衛「一緒にいる……か(ジーン)ああ、その通りだ。私と君はいつでも一緒。そう、共にその身が朽ちるまで!!」
櫻真「前から思ってたけど、瑠璃嬢の従鬼ってキャラ濃くない?」
桜鬼「じゃが、妾も魑衛がこの様に饒舌だとは思わなかったぞ! 前回の戦いでは、それこそ姿を殆ど目にすることがなかった」
魑衛「それは前主である菊の命により動かなかったのだ」
桜鬼「では、元々口が達者の方という事か?」
魑衛「そうではない(キッパリ)」
瑠璃嬢「じゃあ、何でこんな臭い事言うキャラになったわけ?」
魑衛「それは、君とこうして出会えたからに決まっているだろう(キリッ)」
瑠璃嬢「うざっ。もう年号も変わるし、いっそのこと無口キャラに代わってくれない?」
魑衛「ああ、君が望むなら、そうしてやりたいが……駄目だ! 君への思いが口から溢れ出てしまうっ!」
櫻真「……やっぱり、キャラが濃い。なぁ、桜鬼。俺ももっと自分の個性を出した方がええやろうか?」
桜鬼「櫻真、案ずるでない。この者たちは、櫻真を引き立たせるための三枚目たちじゃ。一枚目であり二枚目である櫻真に、三枚目が勝つには、濃い個性を出す他、あるまい?」
瑠璃嬢「悲しいね。そうやってフォロー入れないと、目立てないなんて。いっそのこと主人公を降りれば?」
魑衛「瑠璃嬢の言う通りだ。存在感のない名主など幽鬼とほぼ同義だ」
桜鬼「なっ、幽鬼じゃと! 櫻真のどこが幽鬼なのじゃ!?」
魑衛「見たままの事を申している」
桜鬼「撤回せよ! 然もなくば、その首を刎ね飛ばす!」
櫻真「桜鬼! 落ち着いて! 俺は気にしてへんから!」
桜鬼「櫻真! 何故じゃ!? このまま言いたい放題にさせて良いと言うのか?」
櫻真「うん、ええよ……。だって、どんなに瑠璃嬢たちがこう言わはっても、主人公の枠が取れると思わへんから(にっこり)」
瑠璃嬢「うわっ、コイツ性格悪っ!」
櫻真「えっ、何で? 俺はただ事実を言うただけやん!」
瑠璃嬢「あたし、前から思ってたんだけど、アンタって繊細そうに見えて、結構中身適当だよね?」
櫻真「適当って……別にそんなつもりないわ」
瑠璃嬢「そう? だってさ、アンタあんな家から学校まで近い癖に、遅刻しそうになるとかヤバイでしょ? 流石にアタシでも目と鼻の先の学校に遅刻しないわ」
櫻真「……近いからこそ、遅れる時もあんねん。逆に瑠璃嬢は元気が有り余っとるから、ええな」
瑠璃嬢「アンタの詰まんない皮肉なんて、効かないから」
魑衛「小童の分際で、よくも瑠璃嬢に生意気な口を……」
䰠宮儚「なぁー、もうアンタらの話はもうええわ。三章のメインはアタシやし、さっさと引っ込んで!」
瑠璃嬢「出た! 一番、場違いな奴」
儚「場違いって何? アンタやて場違いやん!」
瑠璃嬢「次の章って、お休み回らしいよ」
儚「なっ! お休み回ちゃうわ! 歴とした恋多き、重要回やもん!」
瑠璃嬢「恋ねぇ……正直、そのために色々と動けるって凄いわ」
儚「まっ、アンタは乙女として枯れとるもんね? それはしゃーないわ」
瑠璃嬢「アンタも芽が出てるとは思わないけどね」
儚「はぁーー? ちょっと、それどういう事!?」
櫻真「ちょっと待って! ここで儚まで出て来はったら、収集できへんわっ!」
桜鬼「櫻真! 駄目じゃ! もうすでに女子たちの戦いが始まっておる! 櫻真の言葉が届いておらぬぞ!」
櫻真「……もうこの際、俺らはそっとしとこう。触らぬ神に祟りなしやから」
桜鬼「そうじゃのう。それでは、ここで仕切り直しに挨拶でもしとくかのう?」
櫻真「そやね。それでは改めまして、新年号令和になりましても、何卒、よろしゅうお願いします」




