帰還します!
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お母さん、お父さんへ
今日は私、地球の近くを通りました! お母さんとお父さんを近くで感じれた気がします! あと五年ほどしたらそちらに戻ります! 楽しみ♪
戻ってからのことを考えるといつもワクワクして脹脛からクラッカーがパン! と出てきそうです!
勇気より
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「ふふふ、こんなことを書いてる時もありましたね」
私、小夏勇気は五年前に親に向けて書いた通信を見て一人懐かしく思う。
そしてこれからのことを考え楽しみになる。
「ついに! ついに地球に帰れる日がやってきましたよ!」
十年前私は宇宙人に連れ去られ、身体を赤髪の女性にされ、性格、口調も変えられ、そして体も改造されました。十年観察させてと言われたのでこの十年私は宇宙人と宇宙で暮らしています。宇宙での不満は娯楽が少ないことです。宇宙では面白い事もありますが、漫画やラノベ、アニメ、ゲームといったものが無いのです。一人でいる時はいつも暇でしょうがないのです。
「よし、リノコ、準備は出来たか? いくぞ!」
すると部屋に男が入ってくる。
「分かりました!」
この方は私のお世話、観察係のユーノさん、優しくて良い人です。ユーノさんのおかげで宇宙に早く馴染めたといってもおかしくありません!
因みにリノコとは私のここでの呼ばれ方です。勇気だと発音がしにくいようなので、仮の名前が作られました。
「けど少し寂しいです、ユーノさんに会えなくなるのは」
勇気は宇宙船のある場所まで歩いている時、そう思いユーノに話しかける。
戻りたいとはいえ勇気も今までお世話になった人と別れるのは寂しい。
「地球の近くに来たらまた会いに来るよ」
「そうなんですか! なら寂しくないですね! それに通信すれば話すくらいはできますもんね!」
考えれば寂しがる必要なんてありませんでしたね。
勇気の性格は、このように適当なのだ。話そうと思ったら話せるのであれば別に悲しくない。
「おお、それでこそリノコだよ」
ユーノは嬉しそに笑い、勇気に言う。
こんな事は勇気と暮らしていて何度もあった。だからこそ勇気は危なっかしい。直ぐに言いくるめられて知らない生物に着いていってしまいそう。なのでユーノはいつも勇気を心配して近くにいた。
「そうですか! じゃあ、さようなら! 週に一度は連絡を入れます!」
小さな宇宙船に入る前に、勇気は最後にユーノに言う。
「じゃあな、楽しみにしてるよ」
その言葉を聞くと、勇気は宇宙船の中に入っていく。
「あ、忘れてました! これ、差し上げます!」
渡すものがあるのを忘れていたので勇気はすぐに戻って来る。
「はっはっは……で、これは?」
すぐに帰ってきたことを笑い、渡されたものを見て勇気に聞く。
「ネックレスと、朝ご飯の宇宙虫です!」
これは私からの感謝の贈り物です、ネックレスはいい感じの石を見つけたので磨いてネックレスにしました。宇宙虫は、宇宙人の方はみんな好きなので渡します。私には何が美味しいのかよく分かりませんが、見た目もグロいし。けど決して苦手だから渡そう、とかは思ってません。決して。
「ネックレスか、ありがとな、じゃあほんとにこれで最後だ、もう忘れたことはないな?」
なぜ宇宙虫には触れてくれないのでしょうか、好物だと思ったのに。苦手だから渡したとか思ってるんでしょうか。まあいいです、忘れ物はもうありませんし、もう一度入りますか。
「はい、ありません! じゃあ十年間ありがとうございました。さようなら!」
「ああ、こっちも面白かったよ! じゃあな!」
そうして今度こそ勇気は宇宙船に入り地球へと出発する。
♢♢
「とうちゃーーーーーーく!!!!」
数時間ほどすると、私は地球に帰って来る。
「すごいすごい! すごいです! 空が青くて! 自然を感じます! わあ、あそこには街があります! あれが家族が引っ越したって言う街ですかね?」
久しぶりの空、久しぶりの自然、そして街を見て勇気は興奮する。
宇宙ではほとんど宇宙船の中にいたので、やはり珍しく感じますね。
まずはお母さんとお父さんに会いに行きましょう、引っ越した家の近くに飛んできたので、もう行ってみましょうか。
通信では弟も生まれたようですし、楽しみです! いいお兄ちゃんになれるでしょうか! あ、けど今はお姉ちゃんですかね。
そう思い家に向かって歩こうとすると、
グニ、と何か変なものを踏む。
「うえ!? なんですか!?」
驚いて、勇気は何を踏んだのか下を見ると、
「女の子?」
地面には青髪の可愛らしい女の子が倒れそれを自分が踏んでいた。
「あ、あわわ! ど、どうしましょう!」
み、見られちゃったでしょうか、立ち去りますか? けど申し訳ないですし、と、とりあえず宇宙船を帰しましょう!
あたふたしながら宇宙船を帰すために飛ばす。すると、
「え、う、宇宙人!?」
少女が起き上がっており勇気の方を嬉しそうに見つめている。
あーー! やってしまいました。帰還大失敗ですよ! 広められる訳にはいけませんし、どうしましょう!
広められたら何があるか分からない、もしかしたらサイボーグとして連れ去られてしまうかも、そう思うとパニックになりそうだった。
「え、えっと、このことは内緒でお願いします!!!! でわ!」
迷った末にそれだけ言い勇気は走り出す。
「ちょっと待って! 話したいことがあるの!」
だが勇気は少女の言葉を無視し、全力で逃げる。
「あ、危ないところでした。まあ最悪ユーノさんに何とかしてもらいましょう。……気を取り直して、街のすぐそばまで来ましたし、お母さんお父さんに会いにいきましょう!」
勇気は無我夢中で街まで逃げ、心を落ち着かせてから歩き出す。
すごい、人がいっぱいいます! あ、あれは本屋でしょうか! 寄ってみましょう!
家に帰る途中、本屋を見つけ勇気は入っていく。
「わぁ! と、静かにしないとですね」
漫画を見つけ嬉しくなって大きな声で言ってしまい、静かにする。
すごいです! 漫画がいっぱい! 懐かしい! 好きだったものはどうなっているでしょうか! と、危ない危ない、嬉し過ぎて左のお尻から水が漏れるところでした。
そうして、勇気は漫画を見て回る。
「え! この漫画まだやってたんですか」
「あ、四年前に終わってる。結末はどうなってるんでしょう」
「え、アニメ化が七年前に決定してます! 二期も出てる!」
十年分も一気に読めるし見れるんですか、楽しみですね。アニメも良い作品がいっぱい増えてるでしょうし、ああどうしましょう、興奮が抑えられそうにありません。
「ふふふ、えへへへ」
小さな声で、勇気は笑う。
周りから少し見られているが気づいていない。
そして、たっぷり30分ほどいた本屋を出ていく。
いやーいいものを見ましたよ! 帰ってさらに調べてみましょう!
そうして家に向かって歩き出す。
♢♢
「ついに来ましたよ! ここがこれから住むお家ですか!」
もうそろそろお母さんとお父さんに会えるんですね。
姿も変わっていますし、性格も変わっています。快く迎えてくれるでしょうか。……まあうちの親なら大丈夫なはずです!
通信で色々変わったことは話しているし、親は、変わっているのでそこまで気にしないと勇気は思っている。
「よし! 行きます! ふぅ」
そう心を落ち着かせインターホンに手を伸ばす。
「やっぱりちょっと待って!」
だが、勇気は手を離す。
会うのが楽しみでもあり怖くもある。なので少し躊躇ってしまう。
だ、ダメです、いや行きます! どうせいつかは押さないとなんですから!
「えい!」
そして勇気を振り絞り勇気はインターホンを鳴らす。




