ダークエルフの里 その2
ぞろぞろと、ダークエルフを引き連れながら里の中を歩く。
何とも奇妙な気分である。右を見ても左を見ても、ダークエルフ。美男美女だらけ。目の保養どころか、逆に疲れる。
綺麗なものを見過ぎて‥‥なんか、チカチカする。
にしても‥‥大きな木。そして、その大木に作られたツリーハウス。まさにエルフが住まう場所って感じがする。
「エル、そんなにキョロキョロしてどうした?」
「いえ、なんで無いですナヴィアナさん。ただ、いい所だなと思って‥‥」
「木しかない所だが‥‥エルは気にいったのか?」
「はい」
「そ、そうか!」
長い耳を赤くして、更にピクピク動かすナヴィアナさん。最近、何だかワンコに見えてくるのだが‥‥。ワンコ‥‥獣人にも会ってみたいな。
「何、耳を赤くしてんのナヴィアナ」
「う、うるさいぞ、ナターリア!」
「所で、俺達は何処に向かってるんです?」
「ほっほっほ。直ぐに分かる」と長老が答える。
何? なんか意味深な感じ。何なの、直ぐに分かるって?
と言うか、さっきの攻撃の件、まだ怒ってるからね!
「安心しろエル。向かってる先はあそこだ」とナヴィアナさんが指差して教えてくれる。指の先にある物、それは‥‥。
「大きいな‥・他の木の数倍はある。枯れてるけど‥‥」
「何だと貴様! もう一度言ってみろ!」
急にダークエルフの集団が怒り出した。何やら地雷を踏んでしまったようだ。やっぱり、エルフは木とか森の事は‥‥怒りやすいのか?
「実際枯れてるだろ。何を怒っている?」
「おい、ララウ!」
ララウが「どうしようもない事実だろ」とダークエルフの集団に言い放つ。俺の時とは違い、皆何も言わない。
やっぱり俺、舐められてない? キレていいですか?
「ダークエルフのそういう所が好かぬ。少しは現実を直視しろ。
枯れてるものは枯れておる!」
「あの、ちょっとララウさん? その辺しといてくれます?」
ダークエルフの集団から、とてつもない殺気をこめた視線が。
さすがに、一斉に矢を放たれたらどうしようもないぞ?
空気の重い中、最も大きな大木の根本へ到着する。そこには、見知った顔が居た。
「オルターニャさん?! ナターシャさんも?!」
「お久しぶり、エルちゃん」
「久しぶりだな、エル。と言っても、それほど経っておらんが」
「オルターニャ姉上! ナターシャ姉上!」
「オルターニャ姉様! ナターシャ姉様!」とナヴィアナさんとナターリアさんが駆け寄る。そんな二人を、ナターシャさんとオルターニャさんは‥‥。
「はぃぃ!」「うらぁーー!」
「「!!!」」
駆け寄る二人に、まさかの鉄拳を繰り出した。ナヴィアナさんとナターリアさんは、ギリギリ躱して戦闘体制に入った。
「あ、危なかった。里での姉上達の歓迎方法を忘れていた」
「まったくだわ。体が覚えていたおかげで、ギリギリで躱せたわ」
「あら、避けられちゃった」
「二人共、腕を上げたな」
何? ダークエルフって、体育会系なの?
「おぉ! ナターシャとオルターニャの攻撃を躱したぞ!」
「やるな! 二人共、一段腕を上げたな!」
「もう、トトリでは敵わないんじゃないか?」
「馬鹿言うな! まだまだ私の方が上だ!」
反応からして、コレ‥‥しょっちゅうやってんのかな?
「おらー! もっとやれー!」
ララウ‥‥お前は何、煽ってんだ!
「さて、じゃれるのはコレくらいにして‥‥。
エルちゃん。古竜様、よくおいで下さいました。歓迎致します」
一礼するオルターニャさんだが‥‥俺は念の為、距離をとる。
それを見たナターシャさんが「さすがに客人にはしない。あれは、身内だからやってる」と苦笑いするが。
「いや、エルは先程やられたぞ。それも、死角から矢を撃たれてな」
それを聞いた二人は、青ざめた。
「えっ、どう言う事なの?! 一体、何の話を‥‥」
「死角から矢‥‥トトリ! お前か!」
ナターシャさんは、端にいたトトリさんに視線を送る。するとトトリさんは「ふん」とそっぽを向いた。
「長老! まさか長老方が命じたのですか! 何て事を!」
「成る程、オルターニャ姉上達は知らなかったのですね。もしかして、姉上達がエルを試す為かと思ったりもしたのですが」
「さすがに、客人にそんな事しないわよナタリーちゃん!
それよりも長老! どう言うつもりですか!」
「余所者である以上、試すのは当然。この者は合格だよ」と長老は言う。
いやいや、もし合格できてなかったら。俺、死んでるっつうの!
「なんて事を‥‥」
「私達に、ここで待つよう言ったのはその為か」
「ごめんなさいね。エルちゃん」とオルターニャさんがて謝る。
シュンとなったオルターニャさんは‥‥その何だ、可愛かった。
しかし、だからと言って許せる訳でもないが。などと考えていたら「お主等馬鹿なのか?」とララウが言い放った。
「エルは、争い事は好まん奴だからこれで済んだが。下手したら、お主等は全滅させられておるぞ」
ララウ‥‥‥頼むからこれ以上ややこしくしないでくれ!




