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ダークエルフからの招待状


「大変な事になったぞ、エル」


「どうしたんですかナヴィアナさん?」


 また、この展開。今度は何だ? また、面倒な要件では‥‥。


「その、なんだ。実は、私の故郷ダークエルフの里から、連絡があってな。エルを里に招待したいと」


「えぇ! ダークエルフの里にですか?」


 ナヴィアナさんは「うむ」と頷き。「これがその招待状だ」と懐に入れていた招待状を渡してきた。


 俺はそれを受け取り目を通し「‥‥大丈夫なんでしょうか?」と尋ねた。

 

「大丈夫とは?」


「いや、だって。エルフって基本、排他的ですよね?

 部外者の俺がいって、大丈夫なのかと」


「まあ、確かにそうだが。安心しろ、里の長老から、直々の招待だ。大丈夫だ」


「それもそうか。なら、行ってみようかな」


 こちらに来て初、異世界旅行か。楽しみだ。


「我も行くぞ」


「うおっ、ララウ?! お前いつからそこに‥‥」


「ぬ? 初めからじゃが? それより、ダークエルフの里に行くのだろう我も行く」


「いやいや、お前は招待されて‥‥「いや、ララウ殿も招待されておる。エル、ちゃんと招待状を読むのだ」


「えぇ?!」


 俺はもう一度、招待状を見る。今度は、丁寧に目を通した。

 その結果!  なんてこった‥‥「ララウまで招待されてる」


「ぬはははっ! ダークエルフにしては分かっておるではないか。

 早速行くぞエル!」


「おい、行くぞって‥‥」


「ララウ殿。ここから里まで、山を三つは越えばならない。

 馬車で十日以上はかかる。準備をして‥‥」


「心配ない。我に乗って行けば、直ぐ着く。さあ、行くぞエル!」


「あー、何でそんなに行く気満々なんだよ! ハァーー。ちょっと待て、リィーサに店番頼まないと」


「うむ、そうじゃな。早くせよ」


「‥‥。と言う事になってしまいました。大丈夫でしょうかナヴィアナさん」


「まあ、仕方ないと言う他あるまい。私はナターリアを呼んで来る。門で合流しよう」


「分かりました。それじゃあ、門で!」


「うむ」


 

「と言う事で、店番頼むリィーサ」


「えぇーー! 店長とララウちゃんだけ旅行とか、狡いです!」


「別に旅行じゃないから」


「そもそも、仕方なかろうて。招待されたのは、我とエルだからの」


「まあ、そう言う事だから、店番頼む。出来るだけ早く帰ってくるから」


「‥‥分かりました。そのかわり、お土産買って来て下さい!」


 いやいや、ダークエルフの里って、隠れ里みたいな所だろ? 

 あるのか? お土産屋って? おそらく無いだろうな。


「あー、分かった。何かお土産に買ってくるよ」


「お願いします!」


 無かったら、適当に何か作って、それをあげればいいかな?

 

「ほれ、エルよ。行くぞ!」


「分かったララウ。それじゃあ、リィーサ行ってくる。

 ‥‥戸締まりちゃんとしろよ」


「分かってます店長」


「ではリィーサ、行ってくるのだ」


「いってらっしゃい、ララウちゃん。気をつけてね」


「うむ!」


「それじゃあ行ってくるなぁーー!」


「いってらっしゃーーーい! ‥‥‥うぅ、ちょっと寂しいです。

 旅行、私も行きたかったなぁー」



「おっ、来たなエル」


「すいません。待たせました?」


「いいえ、私達も今来たとこよ。それより‥‥」

 チラッとララウに視線を移すナターリアさん。

「本当に飛んて行く気なの?」と心配そうに聞いて来る。


「ララウがそうするというので‥‥」


「なんじゃ、我では不満か? この我が、運んでやるというのに」


「いえ、めっそうもございません!」と顔を真っ青にするナターリアさん。高い所が苦手なのかな?


「では、一旦街の外出て、人の居無い場所に移動する」とナヴィアナさんが言った。それを聞いたララウが「ふむ、何故そんなまどろっこしい事を?」とナヴィアナさんに聞き返す。


「人の目の前で竜になったら、大騒ぎになりますから」とナヴィアナさんは答えた。「えーと、なりますね。それも、この世の終わりクラスで」と、俺は思わず漏らした。


「そうなのか? まあ、人間の事などどうでもよいが。

 まあ、我とて騒がれるのは好きではないし、それで良かろう」


「ありがとうございます。ララウ殿」



 街から少し離れた、人気ひとけの無い場所で、ララウに元に戻ってもらった。その姿に、ナヴィアナさんも、ナターリアさんもあんぐりとしていた。


 と言うか、二人共、前に見たよね?


「ほれ、さっさと乗れ!」


「じゃあ、失礼して‥‥ゴツゴツしてるな」


「こ、これが古竜の鱗、何と逞しく力強いことか!」

「ちょっと、本当に乗って行くの? わ、私は歩いていくから」とナターリアさんは弱腰じょうたい。そんなナターリアさんを、ナヴィアナさんが引っ張って無理矢理乗せた。


「それでは良いか?」


「あぁ、頼む。‥‥ゆっくり飛んでくれよ! 安全第一だ!」


「ふむ、ゆっくり飛んだ事がないから、出来るかの!」


 その言葉を聞いたナターリアさんは「私、や、やっぱり降りる」

と騒ぎ出す。それをナヴィアナさんが「もう、無理だから諦めろ」投げかけた。その言葉に、白目をむくナターリアさん。


「では行くぞ!」そう言うと、ララウの大きな翼が『バシューン』

と羽ばたく。ララウの巨体が、ゆっくりと浮かんだ。


「うぉぉぉーー! すげぇ! 飛んでる!」


「さて、ダークエルフの里がある森は‥‥あっちじゃったか?」


「あの、ララウ殿。‥‥反対方向です」


「‥‥‥‥」


「おい、ララウ」


「さて、では。出発じゃ!」


 俺達は、ダークエルフの里に向かって飛び立った。

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