アイスクリームとかき氷 その2
「今日も暑くなりそうですね、店長」
「そうだなリィーサ。よし、開店準備だ」
「はい!」
アイスクリームの販売を始めてから、また忙しくなった。暑い日にはアイスと言うのは、異世界でも受け入れられたらしい。
「毎度ありがとうございまーす。ふう、中々の人気ぶりだな」
「そうですね。あっ、そうだ店長。そう言えば、アンナさんが相談があるとか言ってたんです」
「ん、アンナさんが? 何だろ?」
「さあ? メニューの相談でしょうか?」
「そうかも。こう暑くなると、シチューは売れないだろうからな」
*****
「「こにちはー」」「こんしゃー」
「おっ、モルメルミルか。いらっしゃい」
「一つにまとめないでよ。店長の兄ちゃん」
「そうだよ? モルとメルに・・・・「みりゅ!」だからね」
「分かった分かった。それで、今日は何を買い来たんだ?」
「アイスクリームってのを買いに来た。アイスクリーム頂戴!」
「アイスー!」「あいちゅ!」
「はいはい、アイスならそこに入ってるから」
三人は「わーーい」と冷蔵庫にまっしぐら。さらに、冷蔵庫を開けて「冷たーーい」と騒いでいた。
「冷たい」「冷たーーい」「ちゅめたいちゅめたい」
「一個小銅貨二枚だぞ」
「えっ?」
俺が値段を言うと、モルが固まった。
「どうしたモル?」
「どうしよう、店長の兄ちゃん。小銅貨三枚しかない」
・・・・そうか。何時も、小遣いは一人一枚で買いに来てたから。
モルを見ると、どうしようと困った顔に。メルはウルウル泣きそうになっていた。ミルは・・・・よく分からないと言った感じだ。
うーーん、どうしよう。まけてあげてもいいけど。それはそれで、問題があるな。ここに来る子供は、この子達だけじゃ無い。なのに、この子達だけサービスするのもなぁ。
どうすれば・・・・あっ、そうだ!
「ちょっと待ってろ、モルメルミル」
俺は一旦、奥の居住スペースへ。そこに置いてある、冷蔵庫へ。
そして、冷蔵庫からある物を持って、モルメルミルの元へ戻った。
「お待たせ、モルメルミル。コレなら小銅貨三枚で買えるぞ」
俺はそう言って、モルに取って来た物を渡した。
「大っきい!」
モルは、渡された物の大きさに驚いていた。何故なら、販売されてるアイスクリームの、二倍近い大きさのアイスクリームだったからだ。
「それなら小銅貨三枚で買えるし。三人で食べれるだろう?」
「ありがとう店長の兄ちゃん!」
「大っきいアイス!」「おきゅいねぇ!」
それに、販売しているアイスは、モルなら食べきれる量ではあるのだが。メルミルには多すぎる。ビックアイスクリーム(仮)なら、三人でちょうどいい量の筈だ。
「それじゃあ、はい! お金」
「毎度あり。仲良く食べろよ」
「「「はーーーい」」」と返事をして、三人は仲良く帰っていった。
「良かったんですか店長? あれ、店長が食べるために作ったアイスですよね?」
「まあね。でも、喜んで帰ったし、いいんじゃないか?」
「そうですね。ミル君やメルちゃんが泣いちゃいますもんね」
「アイスはまた作ればいいしね。おっと、リィーサは確かパメラさんの所に行く時間だぞ」
「えっ、あっ! そうでした! 行って来まーーす!」
リィーサは慌ててお店を出た。最近、リィーサはパメラさんの手伝いに行っている。パメラさんから「もう無理! 死んじゃう!」との連絡が、リビィーさんを介してよく来るようになり。仕方ないので、ヘルプにリィーサを手伝に出している。後、監視も含めて。
パメラさんに任せてるお店は、元々パメラさんのお店だったが。今は、なんでも屋の衣料品専門店になっている。しかし、店の名前をちゃんと決めて無かった事もあり。パメラさんが勝手に、パメラの洋服店と言う店名をつける事態に。俺は別に、それでも良かったのだが。それを怒った人物がいた。リィーサとリビィーさんだ。
リィーサは「恩があるにも関わらず、どう言う神経してるんですか!」と怒り。リビィーさんはリビィーさんで「訴えられたらどうするの!」と叱っていた。「いや、訴えたりしないよ? そこまでの事でも無いでしょ?」と思ったのだが。なんでも屋のお店として、手続きもしてある以上、問題になるとリビィーさんに言われた。どうやら、色々あるらしい。
しかし、パメラさんはパメラさんで、おばあちゃんの大切なお店と言う事もあり、色々揉めた。そのわりには、ちゃっかり自分の名前を付けたりする訳だが。
兎に角、話し合った結果。パメラのおばあちゃんの名前をつける事にした。パメラのおばあちゃん、ポニラさんから貰い。ポニラ衣料品店と付けた。
パメラさんはダメで、ポニラさんはいいのか? と思ったが、既に亡くなっているポニラさんは、問題無いとの事だ。
「さてと、リィーサが居無いけど、頑張らないとな」
『カランカラン』
「いらっしゃいませー」
「こんにちは」
「アンナさん、それに・・・・」
「にぃたん、こちにわ」
「こんにちは、アンネちゃん。飴ちゃん食べる?」
「たべりゅ!」
アンネちゃんに会うと「飴ちゃん食べる?」と聞くのが、何時もの流れになっている。
「何時もすみません。ほら、アンネ、お礼言って」
「あーと、にぃたん」
「どういたしまして。それで、相談があるとか・・・・どう言った相談ですか?」
「はい、実は・・・・」
アンナさんの相談は、思っていた通り。暑くなった事で、シチューが売れなくなって来たとの事。うーん、シチューに変わる物が必要だな。いっその事、アイスでも売るか? いや、アイスだとうちと被るなぁ。うーーーん、どうしようかな? あっ! そうだアレだ! 暑い→夏→つまり→かき氷! かき氷を売ればいいんだ!
俺は、かき氷の販売をアンナさんに提案する事にした。
多分、上手くいくと思う。