アイスクリームとかき氷 その1
「暑いな最近」
「そうですねぇー。そろそろ夏ですかね?ー
最近、日増しに日差しが強くなって来た。夏が近いのかもしれない。まだ、猛暑とまでいかないが、クーラーに慣れきった体には辛い。
「あちー、暑くて客も来ない」
「ですねぇー、店長」
「こう暑いと、アレ食いたいなアレ」
「アレ? 何の事です?」
こういう日は、アレだ。アレなんだよねぇ! 俺は一旦、作業部屋に行き、アル物を作成して戻ってくる。
「リィーサ、暑い日にはコレを食べよう」
リィーサに、紙の容器に入った物を差し出した。何かというと。
「ひゃっ、冷た! 冷たいです店長。なんですかコレ?」
「アイスクリームだ!」
「アイス・・クリーム?」
「うん。さあ、食べよう」
木製のスプーンをリィーサに渡し、一緒に容器の蓋を開ける。
中身は、乳白色のバニラアイスが入っていた。
「わあーー、食べてみても?」
「あぁ、勿論」
「・・・・パク・・・・んんーーーー!! 甘くて美味しい!!」
「はははっ、気に入ったみたいだね。さて、俺も・・・・んーー!!
美味い!」
「店長! コレ絶対売れますよ! 売りましょうよ!」
「うーん」
「あれ? もしかしてダメですか?」
「いや、ダメと言うか。アイスクリームを売るのはいいんだけど。
暑いから、冷凍庫でも無いと溶けちゃうんだよね」
「冷凍庫ってなんですか?」
「そこからか」
この世界には、冷蔵庫も冷凍庫も無い。なので、基本、その日に食べる分だけの食材を買っている。今の所、それで俺も良かった。いや、そもそも必要が無かったと言うべきだろう。何せ、アイテムは全て、魔法倉庫に収納してある。魔法倉庫なら、腐る事も無いし、アイスも溶けない。時が止まっているから。
「そうだな。簡単に言ったら食材を保存する物かな?」
「食材の保存ですか・・・・そんな物があれば便利ですね」
「そうなんだけどね」
さすがにDIYのレベルじゃ・・・・ん? いや、いけるか?
「店長、どうかしましたか?」
「いや、何でも無いよ。さあ、早くアイスを食べよう。溶けちゃうから」
「はい」
その日の夜。
『カンカン、コンコン。ギコギコッ、バチチチッ!』
・・・・チュンチュン。
「おはようございます、エル店長。昨日は遅くまで何してたんで・・・・店長、コレなんですか?!」
「完成した簡易冷蔵庫かな?」
「冷蔵庫? 冷凍庫ではなくてですか?」
「冷凍庫は凍らす物だから、食材を保存するのは冷蔵庫なんだ」
「へぇー」
俺が作ったのは冷蔵庫だ。と言っても、コンセント繋いで冷たい空気が出るよつな奴じゃない。そんなの無理だ。俺が作成したのは、構造は至って単純な物だ。作ったのは、長方形の木製の木の箱で。大きさは縦80センチ、幅120センチ。奥行き50センチ。更に、木箱の中には厚さ1ミリの鉄板が張ってある。しかも、この鉄板。ただの鉄板ではなく、ステンレスだ。更には、少量のミスリルも混ぜてある。
ミスリルは、魔法反射性と熱遮断性が高い性質を持っている。
その性質を利用して、木箱の中に魔法で作った氷を入れて、中を冷やすのだ。熱遮断性が高いので、中の冷気を外に逃さないし。外の厚さからも遮断してくれる。ここまで説明してなんだが、つまりクーラーボックスだ。ただし、性能は段違いだ。
「リィーサ、開けてみて」
「えっ、私が開けるんですか? ・・・・爆発とか、大変な事になったりは・・・・」
「しないから」
「・・・・分かりました。では・・・・とぁっ!」
リィーサは、何故か覚悟したように、冷蔵庫を開けた。
「・・・・大丈夫そう・・・ひゃ、冷たい空気?」
「結構冷えてるでしょ?」
さすがに、マイナスとまでいかないが。氷と同じ、零度近くまで温度は下がっている。これで、アイスも保存出来ると思う。
「冷たーーい! 凄いです店長! ・・・・この中で過ごしたいです」
「いや、風邪をひくから、それはやめてくれ」
気持ちは分からなくも無い。今日も暑くなりそうだからな。
クーラー欲しいな。作れかな・・・・無理だな、さすがに。
「よし、今日からこの冷蔵庫で、アイスと冷たい飲み物を売ろう」
「はい、絶対売れますよ! エル店長!」
リィーサの言葉通り、店に客が押し寄せる事に。
「はいはい並んで下さーい! はいそこ! 割り込まない!」
「店長! 暑いですし熱いです!」
暑い日差し、お客の熱気に包まれる店内。暑いし熱い!
「店長! 手伝ってー!」
「今は、手が離せない! 無理だ! 頑張れ、リィーサ!」
「そんなーー!!」
今日は、二重の意味で暑くて熱かった。




