第8話 「覚えておいて」
毎日…とは行かないまでも。
細々と 書き続けるので、これからもよろしくお願いしますm(__)m
「奈美年齢聞いて平気?」
「23。奏司の一つ下」
「年下かぁ」
「嫌?」
「あ〜そういう意味じゃねぇよ」
「じゃぁどういう意味?」
「それは…そのうちな」
優しく撫でていたその手で髪をぐちゃぐちゃにする。
髪が長いわけではないし、髪質もストレートなのでとくに乱れる事はないのだが、軽く奏司を睨んでみる。
奏司はというと全く怯む事なく穏やかに笑っている。
そんな奏司につられて奈美も笑う。
もう涙は渇いていた。
お互いなんとなくこの距離が心地よく、動く気にならないのだ。
奈美は気付いていた。
気付くと笑っている自分がいる事に。
臆病になっていたはずなのに、そんな事を忘れてしまっている事に。
――奏司となら。
つい先日初めて会ったというのに、何年も付き合いがあったかのように感じる。
一緒にいてしっくりくる――そんな感じ。
「もちょっと女の自覚持てよ?」
唐突に、奏司が言う。
ちょっと怒っているような…そんな感じに。
「そんな事言われても…こんな性格だしなぁ〜」
「奈美は女らしいよ」
「ぇ?」
「奈美は女だよ」
とても真剣な顔。
ドキっとする。
こんな顔をされると。
「少なくとも俺にとってはね」
ニカッと魅力的な笑み。
ついで一瞬のキス。
「覚えといて」
――ボッと。
一瞬で顔が赤くなる。
赤くなる理由が突然のキスの為か、奏司の言葉の為か奈美にはわからない。
ただ、奏司しか写らなくなりつつある自分を漠然と実感するのだった。
感想なんて頂けると泣いて喜びます(ノ∇≦*)♪