夢で見た人、幸せな一日 -side アンシャンテ-
アンシャンテ誕生日話
幼い頃から時々、変わった夢を見る
自分に良く似た男性が
とある女性を好きになり幸せそうに笑うけれど
女性の誕生日の日に、彼女が泣きながら家を出て
男性は追いかけるけれど、目の前で死ぬ
‥そんな悲しい夢
男性と女性は共に幸せそうに笑うのに
付き合っている雰囲気ではなかった
その世界では、男性の性別が歪である事が
俺の居る国で例えると魔物を恐れる人々の顔や
異端な者を見る顔に良く似ていた
まるで、俺の好きなサルビアに招待されて
舞台の上で見た物語の2人のようで
俺は、ずっと辛かった
その夢を見る事と彼の悲しそうな顔が
時折、男性は夢で俺に告げるのだ
「彼女を×××くれ」
どうして欲しいのか、肝心な部分が聞こえず
分からなくて守って欲しいのか?
それとも探して欲しいのか?
ずっと分からないでいた
夢で何度も見るうちに彼の名前が分かった
彼の名前は[月影 かなめ]
彼は見た目も心も男性だが
身体が女性だったという事
自分のせいで、女性が死んだ事を
永遠と長い夢で教えてくれた
きっと、かなめの探している女性は
俺の世界に存在していて、探して欲しいのだろう
けれど、分からなかったし
そんな女性は、探しても見つかるはずもなくて
だから、諦めていたのだ
サルビアに会い、夢の話を語るまでは
俺の誕生日のお祝いにと来てくれた時に
俺が、ふと、この夢の話を話した途端に
サルビアは涙を流しながら泣いていた
「大丈夫か?サルビア?」
「ええ、大丈夫
そっか‥だから[見つけてくれて]か
なんだ、そう‥
そう言うなら、もっと分かりやすく言いなさいよ
不思議な夢の話を聴かせてくれてありがとう
きっと、もう夢は見ないはずだわ
もし夢を見ても彼は喜んだ顔で
貴方に御礼を言う筈だわ」
「‥そう、なのか?
何故かは分からないが、サルビアが
確信を持って言うなら‥そうなのだろうな
わざわざ俺の祝いに来てくれたのに
‥俺の変な夢の話を聴いてくれて悪かったな」
「いいえ、私は嬉しかったわ
私、今まで知らなかった言葉の
本当の意味を貴方の夢の、お陰で知れた
だから私の方が御礼を言いたいわ
ありがとうアンシャンテ」
「‥君が嬉しくて幸せならいいんだが
俺にも、いつか教えてくれるか?」
「ええ、全てが終わったら必ず
貴方なら信じてくれるもの」
「?何の事か分からないが
俺は君の言葉を信じるさ」
「ありがとうアンシャンテ
私、貴方と会えて、こうして一緒にいて
とても"幸せ"だわ」
「俺もだ」
ーー彼女の言う通り俺は再び彼の夢を見た
夢の中の彼は幸せそうな顔で笑って
[ありがとう]と告げて泡となり消えてしまった
その後からは
ずっと見ていない
きっと見つけたのだろうか?
彼の大切だった人を‥この場所で‥‥
今日の特別な日には、いつも思い出す
彼は、今、幸せなのだろうか?と




