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メモ(おとちが)  作者: riyo
リコリスと花 編
30/204

理想の存在 -アマリリス side-

僕が初めて彼女、リコリスと出会って話した時


まるで僕が目標とする女の子だった


僕は生まれてから男の子のような見た目で

家の舞踊と歌劇の跡継ぎとして

"男"として育てられ"女子の理想"を

魅せれるような"男"を日々の生活からも

演じる事が僕の家の"家訓"だった


堅苦しい家に良く遊びに来てくれたのは

唯一の友達だったアンシャンテだった


共に芸を学んでいく中で僕は

"女の子らしさ"が薄れてしまった


僕の理想とする女の子を見つけ

"女"も学ばなくては"芸"の道は厳しいのだ


例え"男"として偽り芸をしても

"女性"も演じられなくては"一人前"ではない


今まで女として生まれたのに

女の子の普通が分からなかった僕の前に

転校して見つけた"理想の少女"だった


そんな彼女とは演劇部という

学校のクラブ活動で同じになって

クラスも同じで良く一緒に居る時が多く

ずっと彼女を観察していた


明るくて優しくて、僕が望む

僕が幼い頃に、なりても

なれなかった"理想の少女"がリコリスだったのだ


しかし僕は彼女を観察しているうちに

彼女を好きになっていた


友達としてとかじゃなく

"男"として育てられた"僕"でもなく

[アマリリス]として彼女を好きなのだ


彼女を呼び止めて僕は告白した


「僕は家の事情で"男"として育って

ずっと女の子の理想の男の子になるようにと

言われきたんだ

でも僕は女の子で‥でもいつからか

僕は自分の性別すら分からなくなった時

両親に"女"の理想も学べって言われて‥

僕の中で理想の女の子を探してたんだ」


「それが私‥ですか?」


「うん、君は僕が幼い頃に

なりたかった自分だった

誰にでも優しくて明るくて誰かに

囲まれて笑うって普通みたいな女の子

それが僕がなかった自分で理想の女の子だった」


「そうなんですね」


「だから僕は君を観察して

君を演じられたら"一人前"になれると思って

ずっと君を見ているうちに

キミが好きになったんだ」


「‥‥」


「ずっとキミを見ていたから‥知ってるけど

でも告白させてくれる‥キミが好きだよ

[アマリリス]として、キミが好きなんだ」


「‥ずっと私を見て知ってるとは思いますが

私には好き人が居ます」


「うん」


「アマリリスさんの気持ちは嬉しかったんです

私もアマリリスを友達としては大好き‥でも」


「そっか‥ありがとう

友達として好きだと言ってくれただけでも

僕は本当に嬉しいよ

キミが好きな人と幸せになれる事を応援する

これからも良い友達で居てくれるかな?」


「もちろんです!」


彼女と手を出して握り合って笑う


わかっていた事だ


彼女を僕を選ばないのも


彼女が誰を好きなのかも


ずっとずっと観察していたんだから


だから、せめて


彼女が幸せになれるように


側で支えたり友達のまま彼女の側で


毎日を楽しく過ごす事は


許して貰えたのだから‥‥


僕は、この先も彼女を見守るのだ


だって彼女の事を友達としても大好きなのだから‥

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