39朝食後
それから私は神殿に出向いた。馬車を用意すると言われて場所を聞くと近いので歩いて行く事にしたが意外とラセッタ辺境伯邸から近かった。
神殿に着くともう一度神宿石を見た。
そこには、昨日見たときとは比べ物にならないほど美しい月色に輝く水晶柱があった。
こうしてみるとやっぱりシュナウト殿下の魔力はすごいのかも知れない。私は彼の魔力をもっともっと伸ばしてあげることが出来ればいいと素直に思ってしまった。
いや、婚約は解消する。
でも、私はもともとシュナウトを嫌いなわけではない。寧ろ好きだった。
でも、ずっと彼が私を避けていたから‥でも、最近の彼の態度の変化にはどうもついて行けなくて。
どうしていいのか迷ってしまいそう。思わず信じたい気持ちが沸き上がって来て。
ううん、断罪を忘れたわけではないでしょう?
一番安全は方法は婚約を解消して彼のそばから離れる事。
父やアシュリーたちからも距離を置く事。きっと父は私を殺そうとするはず。
だって私はロンドスキー公爵の血を引いているからそれにドーナン殿下が元気になればシュナウト殿下の命も危険かもしれない。
それとも逆におじいちゃん側の人間が父やドーナン殿下の命を狙うかもしれない。
あっ、もしかしてドーナン殿下が?いや、セダ叔父様の所なら安全なはず。
「おはようございます」神官に挨拶をする。
「これは聖女様。おはようございます」
「あの、良ければお手伝いをさせていただけますか?」
「ええ、もうお加減はいいんですか?昨日はお疲れ様でした」
「はい、すっかり」
「では、診療所にご案内します。いや、ほんと助かります。こちらにいらしていた聖女様おふたりは昨日には帰られる予定でしたが辺境伯があのようなことになって日程をずらして頂いたので」
「ああ、そう言えばそう聞きました。それでおふたりは?」
「はい、診療所の方も落ち着きましたので今日にも帰られるかと」
「まだいらっしゃる?ご挨拶がしたいのですが」
「はい、診療所の方にいらっしゃると思います」
私は診療所でバローシュ公爵令嬢とロドミール侯爵令嬢に別れの挨拶をしてふたりは転移陣で帰った。
その後診療所で怪我人の治癒をして私は午後早いうちに辺境伯邸に帰った。
辺境伯邸に帰るとコリー領から荷物が届いていた。
食糧と薬や薬草が大量に。もう、スタン仕事早すぎ。ありがとうほんとに助かる。
モートル執事が私が帰ると慌てて知らせに来た。
「聖女様。コリー領から支援物資が大量に届いたのですが、聖女様が手配をして下さったとか?」
「はい、私はコリー領のもので、勝手をしてすみません。もし、ご都合が悪いなら、辺境伯様も不在ですし‥」
いいかもと思ったが考えてみれば執事の態度を見て相手の都合も聞かずにと戸惑った。
「とんでもありません。こんなうれしい支援はありません。コリー侯爵様に感謝しかありません」
「いえ、これは私の独断でやった事で侯爵は知りません。いえ、ご心配には及びません。領地の事は専属の執事がすべて行っておりまして私はその者の許可を貰っておりますので。ちょうどうちの領地で取れる薬や薬草が役に立つのではと思って、それに魔物被害で食糧も被害があるのではと思ったものですから…」
「聖女様がこれをすべて手配して下さったのですか?すばらしい」
「とんでもありません。必要なものを仕分けて使って頂ければ」
「はい、薬はすぐに診療所に届けます。薬草は‥」
「良ければ私も手伝います。診療所も落ち着いたようなので」
「では、薬草はお任せしても?」
「はい、どこか薬草を調合できるところがありますか?」
「はい、町に薬草を扱っている商会があって、これは家の主人がやっている商会ですので安心して使って頂ければいいかと。馬車を出しましょう」
「ええ、ではそちらの商会にお願いすればいいわね」
「はい、食糧は主人が帰ってからということでよろしいでしょうか?」
「ええ、そちらでいいように扱って下さい」
私達はそれぞれ仕分けをして、私は薬草を町にある商会に届けると辺境伯邸に帰って来た。
みんなは夕方には帰るだろうと言う事なので私は頂いた果物でタルトを作った。使用人の人も手伝ってくれたのでたくさん出来た。
オレンジ。桃。りんごどれもおいしそうだ。




