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第020話 魔法の源流


第020話 魔法の源流


今日は昨日に続いて考古学のダンブル教授の授業が続く。


 ダンブル教授は、北西の大陸の自分の研究について話をしてくれた。

 「それでは次に古代文明の北西の大陸についてですが、私の考古学の研究の本当のテーマの魔法についても少しお話をさせてもらいます。

  当時の北西の大陸は、私の母国で遥か昔に消滅したと言われている、ある文明の一部も含んでいます。

  この文明の痕跡は約8千年前の遺跡までは色々と現代まで残ってはいますが、北西の大陸自体の記録は、ほとんど残っていません。

  北西の大陸では魔法が普通に使われていたと言われており、口頭伝承や物語の世界に限定されています。

  北西の大陸には、南東の大陸や、西の大陸が崩壊した際に脱出して、北西の大陸に移り住んだ人々もいたようですので、三大古代文明が少し融合しているのも特徴的です。

  タトゥーをしていた者がいたのも南東の大陸の文化を一部受け継いだ影響なのではないかと思われます。


  日本では、北西の大陸の遺跡としては、大きな石がサークル状に配置されたものが有名でしょうか。

  この神社の近くにも似たようなものがあると思います。

  サークルは地球の電磁気で創られた格子状のグリッドとつながり強力な「波動」を活用するためのものと言われています。

  サークルは宇宙にも強い力を放射していますので上空で鳥が避ける映像が有名です。

  サークルは紀元前2,800年頃に最初に作られたと言われていますが、大陸から英国へ人々が移住したとされる時期よりも遥かに古いようです。

  サークルは夏至の日の出の時間に中央の祭壇に太陽が一直線に並ぶ現象や、日食の計算など高度な天文学の知識にもとづいて建設されています。

  サークルには特殊な巨石が使用されていますが、この巨石と類似した採石場を探すと約400キロも離れた場所まで探す必要があります。

  そのため巨石の運搬方法すらも未解明だと言えます。


  周囲の麦畑には謎のサークル上の落書きのような痕跡が多数あります。

  これは外宇宙の存在が霊的な目覚めを促すためのシンボルのメッセージを描いたものです。

  大きな石のサークルの近くでは高次元とのポータルの窓を提供しています。

  外宇宙の存在が別次元から高電荷の赤い光の球体上の物体を飛ばし、このポータルを通過させて3次元の物質世界へ到達し、上空から麦畑に球体を押し付けることで絵を描く仕組みです。


  それとゲームにもよく登場する伝説の聖剣や聖杯、聖歌、世界樹、三色の龍(白、緑、赤)、聖なる泉などもかなり有名ですよね。

  伝説の聖剣を持つ王がいた城の地下には魔法に関連する大きな施設が存在したと言われています。

  その魔法の施設は、魔法使いの原型を作ったと言われる古代の有名な魔法使いがいたと言われています。

  今でも、その地に行けば偉大なエネルギーに出会うことが出来るでしょう。

  聖剣は、3つの丘の頂を切り落とし、敵兵100人を斬り倒したと言われる威力だったと伝わります。

  いまだに北西の大陸の遺跡と聖剣を発掘調査しようとする考古学者が絶えないのも、それだけの確信があるからでしょう。

  神話に登場する海の神の居城は、ある離島に今でも城跡と墓が残っており、観光地としても有名です。


  世界樹や聖なる木もクリスマスツリーの原型になったと言われています。

  木の持つ聖なる力やヒーリング効果を信じていた名残でしょうか。

  レッドドラゴンなども多くの旗やエンブレムに今でも採用されています。


  あと聖なる木と言えば、魔法の杖が出てくる映画なども有名じゃないでしょうか。

  芸術、音楽、映画などには、宇宙の叡智にチャネリングした情報でインスピレーションを得ることも多いようです。



  北西の大陸では女神官または魔法使いなどの女性優位な社会が特徴です。

  部族ごとに次のような賢者が体系的に整備されて育成されていたようです。


  ・ドルイド・・・道徳哲学と自然哲学のエキスパート、政治、数学、呪術にも通じる


  ・ベイト、ヴァテス・・・自然哲学の解釈者、植物、薬草のスペシャリスト


  ・バルド・・・吟遊詩人、詩歌やハープに秀でた者


  この時代の言語は、現代の地名や苗字に多く残っております。

  英語では上手く意味が伝わらない名前は、この時代の言語の名残と言えます。


  ハネムーンとは婚約した男女が、満月の夜に人里から離れた森や海辺でハチミツ酒を飲みながら愛を育むという北西の大陸の言葉が由来です。

  日本の皆さんが普通に使っているのが、本当に不思議ですよね。

  ドルイドたちは蜂は太陽から来たと考えていて、ハチミツは太陽の神のエネルギーを金色の蜜に変えて保存するものだと信じていました。

  それを酒にして飲むということの神秘性や重要性がわかりますか。

  ハチミツは免疫力を高め、傷を回復する物理的なヒーリング効果も高く、防腐効果もあると言われています。

  ちなみにハチミツ酒はミードとも呼ばれ、他にもノンアルコールにも出来ます。


  他にも小麦や大麦文化だったため、パン、クレープ、ビールなども普通に食べられていたようです。

  現代の日本の食生活にも多大な影響を与えたと言えるでしょう。


  ハロウィンは日本でも有名ですね。

  冬の始まりの日に3日間の大きなお祭りがあり、その中の前夜祭がハロウィンだったようです。

  この日は現実世界と霊界が交差する日とされていたため、現実世界を死者が闊歩している様子を表現したようです。

  当時はカブでランタンを作っていたようですが、今ではカブが手に入らない地域があるためカボチャで代用されているようです。

  日本のお盆や、メキシコの死者の日にも通じるものがあるでしょうな。

  今では西暦や旧暦、太陰暦、マヤ暦などの影響で日付は歪んでいるかもしれません。


  ところで精霊というのは何かわかりますかな。

  精霊とは霊ではあるのですが、どちらかと言いますと岩、海、風などに宿る霊魂体のことで、地球環境を安定的に維持するために陰ながら活動されている方々です。

  この当時は次元の関係で、はっきりと見えた方々もいたようです。



  それでは次に大事な魔法についてです。

  魔法とは三角形を上下に重ねた五芒星が基本です。


  日本の神宮でも陰陽マークとセットで五芒星をよく見かけると思います。


  五芒星は木、火、土、金、水によって構成されています。

  四元素と言う場合は木と金のかわりに風または空気が入ります。


  この構成要素こそエレメントとも言われ、精霊や妖精と言われるものに関係します。

  日本でも狐など自然霊と言われる存在があるでしょう。


  そういったエレメントの力も借りながら魔法や錬金術などと言われるものが生み出されていました。

  北西の大陸の女神官が学ぶべき基本は次の通りです。


  ・アースマジック・・・錬金術の基本となる鉱物や石に関する知識。


  ・スタークラフト・・・宇宙や天体の動きに関する知識。


  ・ヒーリング・・・医学や薬草、ハーブ、そしてマジックヒーリングに関する知識。


  ・エレメンタルコミュニケーション・・・エレメンタルまたは精霊との対話方法に関する知識。


  皆さんは魔法なんてゲームや映画の世界の話だけだと思っているでしょう。

  では、西暦100年から300年頃のヨーロッパで、北西の大陸の痕跡の徹底的な破壊が続いたのはなぜでしょうか?

  それは本気で脅威だと思ったからでしょう。

  北西の大陸の文化を受け継ぐ地域は、南ヨーロッパ地域を中心とした外国からの激しい侵略を受けて、文化、建築物、言語などが組織的に破壊されました。

  また多くの指導者やドルイドなどが捕まり処刑されました。

  それだけ魔法使いの存在は、外国人にとって脅威と恐怖の対象だったのでしょう。


  この破壊が始まる遥か前の時代に、偉大な魔法使いが自分たちの文化の未来に危険を感じとり、最後の魔法を使って、霧の中にすべてを消して北西の大陸を守ったと言われています。

  今でも濃い霧が非常に多いのは、その魔法の名残と言われています。


  西暦400年頃には北西の大陸の文化を歴史から徹底的に抹消する破壊行為が終わりました。

  歴史学者が北西の大陸を受け継いだ後継の文明すら十分に解明出来ずに、伝説に分類するしかない理由はそのためです。

  この時代の痕跡が世間に思い出されるには、西暦1,100年代に出版された伝説の王とドルイドの口伝が発表されるまで待つ必要があります。

  また同時期に出版された古代の古文書の写本から書き写された偉大な魔法使いの預言も、当時の社会にセンセーショナルを巻き起こしたようです。

  偉大な魔法使いの宝物である魔法の杖、聖杯、水晶占い道具、魔法の大釜は、山奥の秘密の洞窟に隠し、巨大な岩石で塞いだと言われています。

  この秘密の洞窟は、偉大な魔法使いの後継者が近づくと、自動的に洞窟の入り口が開け放たれるそうです。

  偉大な魔法使いの名前は、かつて魔法の能力が高い者が役職名のように名乗っていた時代があったため、現代では本物と見分けるのが難しい状況です。

  これらの出版物は、今では映画や童話などを通じて、国内に限らず海外でも有名な物語になっていると思います。


  それでは、一つ質問ですが、アリアさんは魔法とは何だと思いますか?」


 ダンブル教授は外国人らしく私の目を見つめながら核心の質問をしてきた。


 私は、しばらく考えてから答えた。

 「現在の地球の地上世界のように3次元の物質世界では魔法を使うのはとても難しいと思います。

  古代文明があった約2万年近く前では、5次元の半霊半物の世界でした。

  この5次元の世界では、想像して創造することは容易です。

  たしかに精霊の力を借りれば容易に魔法を使えるでしょう。

  自分だけでは現実を大きく変えるような大きな創造を瞬時にしたり、長時間のあいだ魔法を安定させるにはエネルギー的に不足します。

  精霊には「波動」エネルギー的にサポートして貰うイメージだったのではないかと思います」



 ダンブル教授は、話を聞き終わると、驚いた顔をしながら大笑いをして言った。

 「いやはや。

  私が永い時間をかけて苦労して考えついた仮説に、あっさりと辿り着かれてしまいました。

  まさに、その答えこそ、私が魔法の構造を解明した仮説の答えです。

  地球が5次元にアセンションして、さらに霊道が開放されないと魔法が使えない。

  ここに至るまでに西の大陸や、南東の大陸の調査が大きく役立ちました。

  当時は地球自体の環境の影響もあり、5次元から3次元への移動は意図して自由に出来る時代でした。

  5次元の光の体から、3次元の重い体へ次元を移動する理由は密度の濃い体でのさまざまな体験をするためだったようです。


  南東の大陸で、人魚が人間に変身したと言うシェイプシフトの伝説が、5次元の半霊半物の世界で説明がつくと、ようやく魔法についても考え方の目途がたちました。

  映画の世界の魔法使いもよくフクロウやカラス、鷹などの鳥にシェイプシフトして空を飛ぶでしょう。


  魔法の本質は、周波数のキーやターゲットの座標を「数式」として言霊で発し、エネルギーを別の方向に向けて、目的を生み出すことです。

  そのために儀式や道具でポータルを開く必要もありました。

  ちなみに魔法の物理的な発射口は「位相」と呼ばれる上空の場所にあります。

  昔の象形文字は暗号化された「数式」でもあり、言霊で発するとエネルギーを操作し、人や物に向ける周波数の鍵となりました。

  またターゲットの座標を特定するには相手の名前などが必要になりますが、昔は本名ではなく芸名を使ったのも魔法の存在を恐れたからと言われています。

  魔法を発動するには複数回唱えて増幅する必要があります。

  ちなみに魔法を使いこなすコツとしては、自分自身で目的と理由をしっかりと理解し認識してから、他の関係が無い範囲に悪影響を与えないように、意識の焦点を目標に集中させて明確に魔法を発動しなければいけません。

  魔法は空想の世界ではなく、量子物理学の世界に近く、厳格に「数式」を構築する必要があるのです」


 魔法が科学的だなんて、少し魔法のイメージが変わるわ。



 ダンブル教授は、次に魔法の歴史について説明を始めた。

 「ところで、現代までの魔法の歴史について少し振り返ってみましょうか。

  地中海の古代ヨーロッパでは原始の魔法は大きくわけて次の3つに大別されました。


  ・ゴエティア、ゲティア・・・黒魔術、ゴエスと呼ばれる霊媒師の術者が霊を呼び出す術


  ・マゲイア・・・魔術、マゴスと呼ばれる術者が勝利、豊作、恋愛などを祈願する術


  ・テウルギア・・・降神術、神働術、テウルゴスと呼ばれる術者が神の法を学び実践し、自ら神格化して高等魔術を使用


  回復魔法の分野では、人間の精神的な不調和、怒りなどが病気を生み出すと考えられていました。

  したがって精神的な調和を生み出すための環境として神聖な神殿などの場所を重視し、そういった場所を選び施術をしていました。

  まずは滝、川、池、噴水などで身を清め、月桂樹の葉の煙を浴びて神殿に入るところから始まります。

  患者を深い眠りに誘い、睡眠中に高位の者から治療の指示を受けるように誘導するなど現代医学とはかなり異なるアプローチのようです。


  一般的なヒーリングでは9つの薬草を用意して呪文で強化してから処方するような医療技術も発展しました。

  薬草には現代でスパイスとして使われているハーブが多く使われていました。


  ただし、こうした分かりやすい魔法とは別に、ヨーロッパ各地の日常生活では、五穀豊穣と祝福の祈祷の方がメジャーだったようです。

  種子を祭壇にお供えし、大地の神々に豊作の祈祷を捧げて、祭りの終了後に種子を蒔くと豊作になるといった春のお祭りがあります。

  こうしたお祭りは、村にいたワイズマンと呼ばれる賢者の魔術師と神官が仕切っていました。

  日本でも似たようなお祭りがあると思います。



  その後、こうした日常生活と魔法の関係性にヒビが入ったのは西暦1,300年代頃からでした。

  この時代のヨーロッパ全域では、黒死病と呼ばれるペストによるパンデミックが猛威を振るいました。

  さらに寒波による不作で飢餓が増加し、自然災害の多発、長期に渡る戦争などにより、全人口が半減したと言われる事態が発生します。

  この悪夢のような時代が終わりに近づき、人々はこの忌まわしき時代の原因を生み出した犯人捜しを始めます。

  そうして悪魔の病気を大流行させた犯人に吊るし上げられたのが魔女でした。

  魔女は遠く離れた相手を攻撃するために、呪術で呪いを使用するケースがあります。

  当時は細菌やウィルスといった存在も十分に研究がされておらず、病気と呪いとの違いも曖昧でした。

  こうして悪名高い魔女狩りの時代が幕開けしたのです。

  魔女狩りの対象は、一般的な魔女だけではなく、神官、医者、薬草の薬剤師、錬金術師、歌手、舞踏家など多方面に広がりました。

  村に何か噂が広まったり密告などをキッカケに、魔女の疑いがかけられると、逮捕され牢獄に収監されます。

  その後は拷問で自白が強要され、公開処刑にされました。

  年齢は幼児から高齢者まで制限無く処刑されました。

  親が魔女なら、子供、近所の友達、ペットすらも魔女のはずだ、などと言った理不尽な理由で公開処刑された幼児や動物すらいたのです。

  また、魔女の判決で処刑する際に、魔女の資産を没収する事が可能であったため、一部では陰謀で処刑し資産を略奪する行為すらも横行していました。

  西暦1,300年代から1,700年代までに処刑または獄中で死を遂げた総人数は最小10万人から最大100万人を超えると言われています。

  当時のヨーロッパの人口から考えれば、いかに見境い無く無差別に大虐殺が繰り広げられたか想像を絶します。

  こうしてヨーロッパの一般市民たちからは、スピリチュアルな知識が再び忘れ去られていきます」


 魔女狩りって魔女のおばあちゃんだけがターゲットだと思っていた。

 そんな大虐殺になっていたなんて知らなかったわ。



 ダンブル教授は、次にルネッサンス期以降の歴史について説明を始めた。

 「ルネッサンス期に入ると異端審問の脅威を横目にしながらも学問の世界で、錬金術、占星術、数秘術、骨相学などが広がります。

  占星術の中にはタリズマンと呼ばれる護符の魔術も含みます。

  この護符は惑星そのものの力を活用し魔除けなどに使うためのものです。

  当時は病気の原因に悪霊も想定されており、魔除けは重要な要素でした。

  ルネッサンス期のヨーロッパの絵画にはこうした護符の要素が多く組み込まれています。

  作品を置く場所や、作品を見た者に護符の影響を与えるためです。

  当時は顕微鏡や望遠鏡も魔術的な延長線上にありました。


  水晶玉に降霊させ凝視しながらメッセージを読み上げるチャネリングの霊媒術や予言なども流行しました。

  当時はミディウムと呼ばれる霊媒師がチャネラーとして活躍しました。

  水晶占いでは感情を開放して気持ちを落ち着かせ、ロウソクを点灯し、電子機器を停止しておく必要があります。

  そして深呼吸をしながら目を下向き加減で半開きにし、水晶玉の中に見えてくるものに意識の焦点を集中させます。

  ただし目の視線は逆に凝視させずに全体を眺めます。

  次に自分自身の時間がゆっくり流れトランス状態に近づいたら、水晶玉に必要な質問を投げかけます。

  単純に水晶玉の中を見るのではなく、自分自身のエネルギーを水晶玉に入れて世界観ごと感じとることが重要です。

  必要なセッションが終わったら目を閉じて深呼吸し、霊的な繋がりを必ず切断しなければなりません。

  夢と同じで目覚めてから時間が経過すると忘れますので、速やかに紙やボイスレコーダーに記録することも必要でしょうか。


  次に数秘術ですが、数秘術は数字の並びに強い意味合いを見出す術です。

  骨相学は骨格の形状から占いをするのが有名でしょうか。


  こうしたスピリチュアルな技術を持つ魔術師は、一部の王国などでは国王の相談役として重用されていました。

  国王は国が傾くような重大な判断で、どうしても決断に迷うケースがあります。

  占星術や水晶玉を駆使して未来の見通しを提言してくれる存在は、国王の相談役としては稀有な存在だったようです。

  ヨーロッパの有名な相談役の一人は、中南米の古代文明の継承者から接収したと言われる黒い鏡を使用して予言をしていました。

  この黒い黒曜石で作られた丸い鏡は、地獄のポータルと繋がり、上部から火山の火口のように噴煙を吹き出すと言われる呪物です」


 水晶玉ってそういう仕組みなんだ。

 水晶玉は飾りで、自分でチャネリングしているだけだと思っていたわ。



 ダンブル教授は、次に近代の歴史について説明を始めた。

 「19世紀以降は近代欧米科学の発展により、魔法は一部の結社、教団、協会の会員に限定されて公開されるようになります。

  アルファベットの文字を特定の文字に置換する暗号化が流行し、会員以外は対比表が無いと書物が読めないようになります。

  地中海や中東の多くの宗教団体の古文書や、ルネッサンス期の研究論文なども徐々に翻訳と編集が進み、体系化されていきます。

  会員制の団体は欧米などで貴族や富裕層を中心に会員が拡大していきました。

  欧米の主要な団体は、主要な会員の入会と脱会を繰り返しながら徐々に情報が平準化されていきます。

  その後、学習用の百科事典の編纂、出版なども手伝い一般の人々にも一部の情報が流出され始めます。


  例えば秘儀の叡智として、想像による創造の極意などが挙げられます。

  想像力はとりとめもなく思い浮かべた妄想のようなものと一般的に考えます。

  しかしながら、秘儀の叡智では、人が想像する時にはアストラル界またはさらなる高次の世界でも実際に創造がされていると考えられています。

  すなわち魔法を実践するためには、想像による創造と、強い意志による確信と周囲の者の共振が、実際に強力に実行され、そして魔法を起動する必要があるという考え方です。

  現代の音楽界に多大な影響を与えたロックスターなども結社に関係していると噂されますが、芸術を創造する世界でもこうした叡智は人知れず支持されているのです。


  さて、アリアさんが地球の次元に詳しいと聞いて、もしやとは思いましたが、やはりそうでしたか。

  ここからが本題ですが、私は霧の中に隠された北西の大陸の古代文明を復活させて、一目でもこの目で本物の魔法を見たいと願っています。

  どうやらアリアさんに協力すれば、その不可能だと諦めかけていた夢が本当に叶いそうです。

  私にも何か出来ることがあったら協力させて貰いたいと思います」


 そういうとダンブル教授の長い授業が終わった。

 南東の大陸や西の大陸は、歴史の教科書にすら掲載されないような、はるか古代の人たちの話ではあるけど、たしかに考えさせられることが多い。

 逆を言えば、教科書に掲載しないのは、神さまは自分たちで気付いて欲しいと思っているんじゃないか。

 ふと、私なりにそういう考えに辿り着いた気がした。


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