72話 加護オーク
今回は少し短いです
カタッカタッと音を立てながら階段を上がっていく。階段を上がっていくのは何回もあるけれど今回は妙に足音が響く。
どうなってんだ?壁とか階段が変わっているのか?いくら何でも響きすぎだろ……
ゼロとレイのいる場所まで階段を上がり、やっとその場所に着き、いつも通り玉座に座っているゼロとレイの姿が見える。けれど1つだけ違うところがあった。
「お、おい……見たことあるな~……」
「助けてくれんか!?そこのお前!」
鎖で手をつながれ、自由に手を使えないような状態になっているザイの姿が。
「あら、今から呼びに行こうかなと思ったんだけど……よかったみたいね……」
「姉さん、急にどうしたんですか?悔しがっているかのような、なんといいますか……」
歯を食いしばりこちらを見ているゼロ。ザイのことなんかどうでもいいかのように。
可哀そうだな……ザイは何も分からずここに連れて来られて鎖でつながれて……ひどいこともするもんだな~……
「ゼロはいいから……ザイか?」
そう聞くと、そうやと言いながらうなずく。
関西弁……この世界にそんなやつもいるのか……関西弁って言ってもこれは大阪弁かな?もしかしたらよく分からないことも言ってくるかもしれないけど……ミユがいるから少し頼っておこうかな。
「それで、ゼロとレイは何がしたいんだ。『世界滅亡計画』か?」
「違います、『世界消滅計画』です」
レイが俺が間違えたことに指摘してくる。少しイラッとしたが、その気持ちを何とか抑えた。するとレイが立ち上がって魔法陣を地面に描き始めていく。
「待ってください。今から実験をします」
「何の実験や!!くっそ、こんなところ、すぐ出て言ってやるで!」
ザイは焦って鎖を外そうとするが特殊な魔法がされていて外せれない。レイは準備ができたのか、深呼吸をして手を上にあげていく。
「スポーン!!」
そう叫ぶと、魔法陣から大きさが人2人分、体は緑色のオークが現れる。そのオークはこん棒を持っているのだが、赤いオーラをまとった少し変わったオークだった。その姿を見た瞬間、何かに似ているとすぐに感じた気がする。
なんでだろう……こいつに似たやつと会った?いや……オークはいくらでもいる……でも……
「ザイ、あなたにこのオーク、『加護オーク』と戦ってもらいます。この加護オークって言う名前は今ここにいるアキさんがつけた名前ですがね」
レイがそう言った瞬間、頭にルイのことを思い出す。
ま、まさか………俺のコマンドが効かなかった、あのオークなのか!?ちょっと待て……そんなものと戦うなんて無理だ!
「やめろ!!レイ!お前がそのことを知っているのはあとで聞く、いくら何でもザイは勝てない!」
「うるさいですね……少し黙っていてください」
そう言うと急に体が重くなり、地面に倒れこむ。
「何をした!?」
「重力操作ですかね。魔法で簡単にできます。あなたの周りの重力を少し強くしただけですから、命にかかわることではないですよ。見ていてください」
俺は今できることは正直言ってない。加護を持っているオークに立ち向かうのは難しい。スキルコマンドを使わないと必ずと言っていいほど勝てないモンスター、それが目の前にいるからだ。
「分かった。見ていればいいんだろ……」
レイは微笑んでザイのほうを向き、ザイの手につながれていた鎖を壊す。
「こいつと戦えっちゅうんやな?」
「はい、そうです」
ザイは覚悟を決めたのか、腰元にあった刀を手に持ち構えた。
「おーじょーするがいっちょやるか」
おい、おーじょーってなんだ?ミユ……
「困るという意味?だそうです……」
頭の中で少し不安そうな声で言う。
まあそんな感じならそれでいい。見ていよう……ザイの強さも気になっていたし……
「行くぜ!!!!!!」
「グラァァァァァァ」
オークが叫び、走り出す。ザイも走り出し、ザイと加護オークの戦いが始まった。
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