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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
四章

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111話 新たな旅立ち

「舞夜ちゃん、ママは怒っているのよ?」

「あぅ……ご、ごめんなさい、レオナさん……」


 帝都の屋敷の寝室のベッドの上――

 舞夜はアリーシャとリリアの母、レオナの胸に顔を埋められながら、優しい声色で叱責されていた。


「もうっ、その呼び方もダメよ? 私のことは〝ママ〟って呼ぶ約束でしょう? 勝手に屋敷を出て行くことを決めた挙句に、夜遊びまでしたかと思ったら、呼び方まで変えて……ママは傷ついたのよ?」


 レオナが怒っているのはそういったことも理由に含まれる。


 舞夜は言ったら面倒そうだという理由で、屋敷を出て魔王討伐に乗り出すことをレオナに伝えてなかった。

 他のメイドに伝えられていたことを自分には伝えられずにいたという事実に疎外感を感じたのだ。


 その上、舞夜は何も言わずに夜になってから凛のもとに思いを告げに出かけて行った。

 いつもであれば、その時間はレオナの膝の上で甘えながら夕食を食べる時間だ。

 舞夜を甘やかすのに生きがいを感じているレオナにとって、それも気に食わなかった。


 まだ他にもある、呼び方だ。

 レオナは舞夜に〝ママ〟と呼ばれることに至上の喜びを感じていた。

 舞夜に甘えた声でママと呼ばれるたびに下腹部――もとい胸をキュンキュンとさせていた。


 だというのに、いつの間にか幼児退行状態が解けていた。

 それも不満に感じたのだ。


 もっとも、それらはレオナの機嫌を損ねる理由としては些細なことであった。

 では、何が一番気に食わないのかというと……。


(ずるいわ、アリーシャにリリア、それにシエラちゃんにはプロポーズしたのに、ママにはしてくれないなんて……!)


 舞夜を愛すべき息子だと思っているレオナではあるが、同時に舞夜のことを魅力的な男性としても見ているレオナにとって、それが一番ショックだったりしたのだ。


(ふふ……っ、まぁいいわ、舞夜ちゃんの幼児退行状態も解けちゃったことだし、これからは、えっちなママとして接していきましょう。あぁ……舞夜ちゃんとの初夜が楽しみだわ……)


 舞夜を甘い声で叱責しながら、美しき未亡人はそんなことを考え、妖艶な笑みを浮かべるのだった。


「ほら、舞夜ちゃん? 呼んでみて、私のことをママって……」

「レ、レオナさん。せめて二人だけの時にだけにしてくれませんか? さすがにみんなの前でママって呼ぶのは恥ずかしくて……」

「ふふっ、しょうがないわね? わかったわ、二人だけの時だけにしましょう。その代わり、今みたいに二人だけの時は今まで以上に甘えるのよ?」


 恥ずかしがる舞夜に、レオナは彼の頭を優しく撫でながらそんな風に要求する。

 舞夜は抱擁の心地よさと頭を撫でられたことによる安心感で、目を細め「ふぁ……」と声を漏らす。


 結局、アリーシャたちによる〝幼児退行調教〟から脱した舞夜ではあったが、レオナママの甘やかしスキルの前には無力となってしまった。

 アリーシャとリリア、シエラにプロポーズを成功させ、凛に告白も成功させたというのに……なんとも締まらない一日の終わりを迎えるのだった。


 ちなみに……部屋の扉の隙間から、アリーシャとリリア、シエラが舞夜とレオナのやり取りを見て「今日はプロポーズしてもらった大事な日だったのに……!」と悔しさで歯ぎしりしていたりしたのだが……レオナママにトロトロにさせられた舞夜が気づくことはなかった。





「レオナさん、本当に着いて来るんですか?」

「もちろんよ、私は舞夜ちゃんのママだもの。息子が何をするのか、この目でしっかりと見届ける義務があるわ」


 翌日早朝――


 屋敷を出る際に、舞夜がレオナに問いかける。

 レオナはいつもの優しい微笑を浮かべながら、それに応じる。

 屋敷の庭には、出かける舞夜にアリーシャ、リリア、シエラ、それに着いて行こうとするレオナを見送る為、この屋敷のメイドたちで溢れかえっている。


「あぁ、ご主人様の愛らしいお顔をしばらく見れないなんて、寂しいのですぅ……」

「ホントだぜ、なぁやっぱりアタシだけでも着いていっちゃだめか、ご主人様?」


 お姉ちゃんメイドのナタリアとゼノビアが言う。


「ダメだよ、ナタリアさん、ゼノビアさん。これからぼくがすることに大勢の人を巻き込むわけにはいかないんだ。それに、ぼくには帰る場所が必要だ。みんながこの屋敷を守ってくれるって信じてるから連れて行かないんだよ?」

「く……! なのです」

「そう言われちゃしょうがないぜ……」


 舞夜の言葉で、ナタリアとゼノビア、それに他のメイドエルフたちも「ぐぬぬ……」といった様子で引き下がる。

 愛すべき主人にそこまで言われてしまってはメイドとして職務を全うしなければならないというものである。


「ふむ……ですが、しばらくご主人様に会えないのも苦痛でしょう。しかたありません、皆にご主人様の頬に〝行ってらっしゃいのチュー〟をすることを許可しますっ」

「「「……ッッ!」」」


 アリーシャの言葉で、エルフメイド全員の目つきが変わる。

 舞夜は「ちょっ――何を勝手に!」と抗議の声を上げるのだが……その声はエルフメイドたちのキスの嵐で掻き消された。


 恥ずかしげに舞夜の頬に口づけする者、頬に唇だけでなく舌で(ねぶ)る者、中にはとんでもないところに口づけをしようとして、アリーシャの刀による峰打ちで気絶させられる者までいた。


 皆が思い思いの口づけを済ませたところで、舞夜たちは早朝の帝都をこっそりと歩く。


 こっそりと抜け出す理由は、皇妃であるヒルダと皇女であるセシリア、それに最近彼女たちと仲が良く、たまたま帝城にお泊りをしていたベルゼビュートに見つからないようにする為である。


 この三人に見つかれば、舞夜がこれから行おうとしていることがジュリウス――つまり帝国にバレてしまう。

 そうなれば、舞夜が人類の敵、アンデッドの王となったことが知られてしまうことになった上に、舞夜の持つオーバーテクノロジーな兵器のこと、怪獣娘インペリアルや秘密の孤島のことも隠せなくなってしまう為だ。


 早朝ということもあり、なんとかバレずに帝都を抜け出すことに成功する。


 舞夜は行く、大切な者たちと過ごす未来の為に――


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表紙や挿絵、口絵なども素晴らしい出来に仕上がってます。


それと……実は巻末SSにエルフ嫁のヒロイン「アリーシャ」がチョロっと出演します!

他にも本編に多数のエルフ嫁のキャラが登場するので、ぜひお手にとってみてください!

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