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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
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虹色仮面・裏

もしかしたら蛇足かもしれません。

数年前から世間に、怪物や怪人が現れるようになった。

見た目が醜悪で、見ているだけで魂を持っていかれそうになるそいつらに、当初人類は押されていたが、Mr.クロウの活躍やDr.アーミテイジを筆頭としたミスカトニック大学の協力により、押し返しはしないまでも、蹂躙されないようになったのが約二年前。

そして、約一年前に現れ、次々と怪物を倒し人々を助けてまわっている、正体不明のヒーロー虹色仮面。彼(世間一般では男という噂)は素性、年齢、一切が不明だが、その力は圧倒的で人類の勢いを一気に盛り返すことができた。

また、世界中どこにでも現れるという、神出鬼没にも程がある位の活動から、実は複数人いるとか、協力者がいるはずとかも噂されている。


まぁ、不可解な部分もあるが、その活躍から虹色仮面はまさにヒーローだ!


(…と僕も思ってたんだけどなぁ。)


一週間前、虹色仮面に乗っ取られてから、虹色仮面の裏側を見てしまった僕としてはなんとも言えない。と言うか、何も言えない。

僕が象のサイズの空飛ぶ馬みたいな怪物に襲われた晩、日本防衛用第二の個体番号27番と虹色仮面から呼ばれ、世界で五千人前後の虹色仮面の一員になったらしい。

なった当初は自慢しようとした。何てったって、ヒーローになったんだ。自慢したくもなる。だが、虹色仮面の話をしようとすると、体の自由が効かなくなる。違和感を覚えたが、僕の身を守るために、制限されてるのかなと呑気に考えていた。


初変身。この後の思いは言葉に仕切れない。恐怖、絶望…正気のままではいられない程だったが、既に脳の一部も侵食されていたらしく、感情が振り切れそうになると、スッと落ち着いてしまう。ままぁ、とりあえず、初変身だ。体の穴という穴(毛穴でさえ例外ではない。)から虹色仮面が吹き出し、一瞬でヒーローになる。この時、激痛が走るができることは何もない。変身が終われば、体は乗っ取られもう自分の意思では動かない。スーツが勝手にヒーロー活動をしている様なものだ。あまりに悪役臭い変身とヒーロー活動の裏側に疑問を抱くと、頭の中に情報が一気に流れてきた。

・スーツは侵食率を一時的に引き上げる物。

・本体は粘液で自分はただの電池のような物。

・世界に五千程の虹色仮面がいて、各地で活動している。

・虹色仮面は全て同一個体で、スーツ同士がネットワークを作っていること

等々。

一番の問題は、電池が切れたら吸収されることだろう。


はぁ…と溜め息をつき、自分の侵食率を確認する。まだ、25%位か…。90%を越えると、次の電池にするらしいからな…。まだ、少し時間はあるみたいだ。

脳ミソをいじられているせいで、狂うこともできない。正気かどうかは疑わしいが、自分の意思を保ったまま、虹色仮面に協力するしかない。

まぁ、最後まで苦しみながら自分でいたいか、さっさと脳ミソを乗っ取らせて楽になりたいかの違いでしかないが。


「うああぁぁぁぁ!」


全身に激痛が走り、玉虫色の粘液が体から染み出してくる。この痛みを押さえさせると、侵食が進むから、耐えるしか…ない。


「うっ…おえええぇぇぇ…」


猛烈な吐き気に従い、口から玉虫色の粘液を吐き出すと、それは瞬時にバイクの形をとる。これで、見た目はヒーローだ。


虹色仮面になった僕は、今日も怪物の元に向かう。

自分の残り時間を考えながら…。

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