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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
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風邪

忙しいです。

そのせいで風邪引きました。

今年のインフルエンザは強力らしい。ニュースでやっていた。

だが、ニュースを見ていなかったとしても、それは実感できるだろう。なぜなら、四月に入った今でも感染者が増えているからだ。身近に解るほどの勢いで。

一部の人間は、ついに鳥や豚から感染が始まったと騒いでいるが、鶏や渡り鳥から反応は無いようだし、家畜の大量死みたいなこともない。


ついに、私のところにも調査の依頼が来た。解剖学が専門なので畑違いかと思っていたのだが、ついに死者が出たようだ。

私のところはP2施設もあるし、丁度良かったのだろう。…正直に言えば、得たいの知れないモノに侵された死体など触りたくなかったのだが、わからないから恐いのだと思い直し、解明に乗り出した。


何にせよ、インフルエンザだ。DNAの解析でも、A型である事が判明している。

なので、取り敢えずインフルエンザ対策を取っておけば大丈夫だろう。一時的に部屋の湿度と温度を上げ、必要な組織を採取する…という段になって、違和感を覚えた。


炎症が全身にある?


嫌な予感はよぎったが、対策は取ってあるし、感染することは無いだろう。一旦疑問を頭から追い出し、部下と協力して炎症の起きている組織を採取する。

採取した組織からウイルスを分離する作業を部下に命じ、自分は組織の構造を見るため暗室に入る。


…組織全体が黒い靄に包まれている。


おかしい。忌まわしい黒い靄を構成しているの粒は、明らかに細胞よりも小さいはずなのに、微生物のように動いている。

それよりも妙なことは、倍率を変えても同じ大きさに見えることだ。


自分の理解できない事が起きているのだろうか。

靄が私に気づいた。顕微鏡の画像を写しているモニターの向こうで、こちらを向いたことに確信をもつ。

靄が手前に進んでくる。


パキッ!


カバーガラスが割れた音がした。

この世には知らなくても良いことがあるようだ。


「ゴホッゴホッ」

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