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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
17/42

蜘蛛

家蜘蛛はダニを食べてくれるらしいです。

ぴょん

「あ、蜘蛛だ。」

「お、その蜘蛛はダニを食べてくれるらしいぞ。」

「へぇー。そうなんだ。じゃ、そのままにして上げた方が良いのね。」

「そうそう。」

ぴょん


 その夜、私の夢の中にその蜘蛛が出てくる。一匹や二匹ではない、数え切れないぐらいの蜘蛛達が、同じ方向に進んでいる。そう言う夢だ。

ざわ。

 私も不思議には思いつつも、蜘蛛達と同じ方向に進んでいく。そこに私の意思はなく、疑問も待たずにただひたすら。


ざわざわ。

 そうして蜘蛛達と進んでいると、自分の形がぼやけてくる。私は本当に人だったのか、本当は周りのみんなと同じ形をしているんじゃないか。

 頭の中がその考えに支配される頃には、視界が彼らと同じところまで下がり、八本の足で跳ねるように進んでいることを自覚する。


ざわざわ。ざわざわ。

 なんだ。やっぱり、みんなと同じ形なんだ。そう確信を持つと、今度はどこに向かっているかが気になってくる。

 一面、黒い私達で覆われている。所々、重なってしまっているやつらもいる。


ざわざわ。ざわざわ。ざわざわ。

 さらに進むと、大きな裂け目が見えてくる。

 それが見えた瞬間、確信した。あぁ。私達はここに向かっていたんだ。まさに今、目的地についたのだ。

 そこには、対岸が見えないほどの果てしない裂け目に、巣を作る巨大な蜘蛛。そして、その巣を渡り、対岸へと向かう仲間達。

 ああ。と、自分の中の何かが声をかける。あの先に行っては駄目だ。戻れなくなる。


「はっ!」

「どうしたんだい?凄くうなされていたけど。」

「あぁ。あなた。凄く怖い夢を見たの。」

「どんな夢だい?」

「自分が蜘蛛になって、どこか解らないところへ行って、崖を渡ろうとするの。でも、その先に行ったら何か恐ろしいモノがいて、戻って来れなくなるような気がして…。」

「渡っちゃったのかい?」

「いえ、そこで目が覚めたわ。」

「そうか…。渡ってしまえば、怖くなくなるのに…。」

 そう言いながら、こちらを見詰めてくる。

 …寝惚けているのだろうか、目が8つある。

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