終氷ノ黙示録 第十壱話
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<同時刻>
東方に侵攻するはグラキエル配下の四節が一体、神の代行者【巫女】。
一万をゆうに超えるほどの月蠍を連れ侵攻を始めている。
神の声が聞こえてくる、東へ行けと、阻むものすべてを滅ぼせと。グラキエル様に創造される以前から神は私を見ていた。
氷魔グラキエル配下、四節の一角――巫女が率いる《月蠍》の大軍勢は、大陸東部へ向かいながら蹂躙を開始していた。
燃え盛る都市。崩れ落ちる城壁。逃げ惑う人々。月蠍たちは容赦なく侵攻を続け、村や町が次々と陥落していく。
「抵抗する者は皆殺しにしなさい。」
巫女の冷たい命令とともに、巨大な氷槍が降り注ぎ、一つの都市が地図から消えた。
しかし、その日だけは違った。進軍先に現れたのは、ハコニワ。サンキヘゴ大陸でも屈指の危険地域であり月蠍すらも捕食対象にするほどの凶悪な魔物が住み着いている。
巫女は使節の中では最弱と言っていい。だが、それは巫女自体の強さであり秘める能力の前ではグラキエルですらも敵わないとか。
ハコニワの砂漠地帯に入った途端、月蠍らは砂に足をとられみるみるうちに砂地獄に飲まれていく。そして立ちはだかるはA級魔物サンドゴーレムである。
広大な砂漠や遺跡に生息する、砂と魔力によって構成された大型の魔物で、全長はおよそ二十メートルに達し、岩石のように硬く圧縮された砂の巨体を持つ。頭部には眼球らしき器官は存在せず、顔面に浮かぶ二つの黄金色の光が、獲物を捉える魔力感知器官として機能している。
その最大の特徴は、砂を自在に操る能力と、驚異的な再生能力にある。さらに、地面を流砂へと変化させて敵の動きを封じたり、無数の砂粒を高速で射出して広範囲を攻撃したりと、遠近を問わず優れた戦闘能力を発揮する。
月蠍の節々に砂が絡みつき動きが鈍くなったところに強烈な一撃が撃ち込まれていく。サンドゴーレムの能力、流砂変動により砂がある限りどこへでも出現する厄介な敵になっていた。
月蠍は言わずもがな強いが、地の利は圧倒的にサンドゴーレムにある。そのせいか、月蠍の数は大幅に減っていく一方サンドゴーレムは次々と湧き出ている。月蠍も必死に尾を使い抗っているが削れど削れど再生するばかり。
その時、巫女が動きだす。
「神託がおりました。天地万象、悉く跪け!グレイシャル・レガリア」
辺り一帯広範囲に氷のフィールドが生成され、流砂変動はなくなり砂漠だった場所が一瞬にしてスケートリングのように変わってしまった。サンドゴーレムも完全に氷つき氷像と化した。巫女は言う。
「......静かでしょう?これが神の望し世界への一歩なのです」
そしてまた、侵攻は続いていく。世界は神のものになる、それが運命だから。
数を減らした月蠍だったがそれでもなお8000近くの大軍勢である。
「あらら、可愛い蠍ちゃんね。ペットにしてもいいかしら」
不気味な声とともに現れたのは葬儀屋第3席レゾナンス。最恐の虫使いである。
グレイシャル・レガリア。氷神降臨は広範囲に氷のフィールドを生成し大地、空気を完全凍結する。耐性や相当な強者でないと即死するほど。
巫女、神の代行者。いったいどんな能力をもっているのか?




