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砂漠の星 郵便飛行機乗り  作者: 降瀬さとる
第1章 ラシェット・クロード 旅立ち編
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少女 3

微かな灯りしかない、この夜の砂漠のど真ん中にある小さな部屋で、僕の運命はまた大きく方向転換をしようとしているのかもしれない。僕はそう思った。


この小さな灯りも、僕にはまるでうってつけの舞台装置のように見えていた。にも関わらず僕は冷静とは言えなかった。そのくらいキミの言葉は僕を驚かせたのだった。


「か、隠すだって!?」


僕は自分でも何て間抜けな声だろうと思うほど、間抜けな声を出した。それに対し、


「そうよ。わざわざ素直に持っていってあげる必要なんてないと思うわ」


とキミは僕とは正反対な感じで、自信ありげに答える。

しかし、そう言われても僕にはキミの言うことが不可解でならなかった。


人の話を1聞いて、5のことを理解するという人がたまにいるが、残念ながら僕は違う。もしかしたら、僕にはそもそもそういった発想自体ないのかもしれない。


僕は根が素直で真面目なのか、1のことを聞いたら1のことを理解するし、3のことを聞いたら3のことを理解する。もちろん10のことを聞いたら10のことを理解する自信だってある。

しかし、このように僕には10のことを聞いても、せいぜい6くらいのことしか理解できないような愚鈍さはない代わりに、理解の飛躍というものもないのだ。


だから、僕はそういう人をみると時々羨ましくなる。どうして、あれだけ聞いただけで物事の本質がわかるのだろうか?要点を見抜けるのだろうか?疑問点が簡単に見つかるのだろうか? と。


それは僕がいくら考えてもわからないことだった。たぶん、根本的に脳みその構造が違うか、シナプスの繋がり方が違うのだろうと、気休めに思うことにしている。


しかしこのキミの場合では、少しまた事情が異なる気がした。

それは、論理の飛躍というよりも、第六感が働くといった方が正しい気がするのだ。

もちろん、彼女は物事をきちんと順序立てて説明するし、理解もする。でも、それを導き出す過程の中の、きっと様々な場面で、彼女なりの第六感が働いているに違いないのだ。

そして、それが彼女のこの自信ありげな表情を裏付けしている、ひとつの要因なのではないかと、僕はキミを見ながら考えていた。


でも、勘の鈍い僕はとにかく、一つずつキミに質問してみるしかなかった。そうでないと僕には話が全く見えてこないのだ。


「でもその手紙が、ある時間、ある場所に、存在する時にしか、Kは現れないんだ。だから、その手紙が手元にないとKと接触することすらできないと思うんだけど……」


僕は必死にそう言ったが、キミは涼しい顔で

「そんなのあなたの思い込みよ」

とばっさり僕に言い放った。僕はまたまた面を食らった。

「思い込み?」

「うん。だってそうじゃない?もし、この手紙がKにとって重要なものだとしたら、たった一回しか受け渡しのチャンスが設定されてないなんておかしいもの。まぁ、確かに用心深い人なのかもしれないけど、もし是が非でもこの手紙を手に入れたいなら、わざわざ持って行ってあげなくても、きっと向こうから接触してくるはずだわ。だから、まずはそれを試してみるべきなのよ」

キミはそう主張した。


キミそう言われ、僕はその考えについて頭の中で懸命に吟味していた。


向こうから接触してくるだって?


本当にそんなことがあり得るのか?

だったら、なぜトカゲは僕に、こんな回りくどい受け渡し方法を指示してきたんだ?


……僕に依頼を引き受けさせるため?


確かに、サマルについての情報を多く握っているであろうKと何が何でも接触したい僕としては、トカゲにああ言われてしまえば、その話をとりあえず鵜呑みにせざるを得なかった。

しかし、キミの話も聞いてみれば一理ある話で、Kの立場から考えると、もしそれが大事な手紙の受け渡しならば、それこそ何が何でも成功させたいはずなのだ。なら、チャンスが一度きりなのは心許ないし、仮にKが本当に用心深い人物なのだとしても、多少のリスクは覚悟の上で手紙の受け渡しを成功させた方がKには利益になるに決まっている。


そう考えると、この依頼の内容は何に重きが置かれているのか、途端にわからなくなってしまう。

僕は今までKにこの手紙を届けることが、今回の依頼の一番の目的だと思っていた。しかし、それはKにとってはやはりそうなのかもしれないが、少なくとも依頼主にとっては、目的の半分だったのだ。そう考えると多少すっきりする。では、もう半分の目的は何だったのか?


それは、たぶん僕とKを接触させることだ。


手紙の受け渡しだけなら、他に腕の良い郵便飛行機乗りがたくさんいる。でも、今回は僕でなければダメだったのだ。そして、その理由は僕とサマルの個人的な繋がりと、僕がサマルからの手紙を読んだという事実にあるに違いない。


トカゲは僕に利用価値があると言った。

そして、あの小男は僕にサマルの手紙を「預けておく」とも言っていた。それはいつかサマルの手紙を取り来るという意味なのか?いや、もしくはもう手紙自体には興味を失くしたのかもしれない。きっとトカゲは、


僕にサマルを探させようとしているのだ。


それが僕の利用価値なのだ。そして、トカゲからの手紙をKに無事に届けられるだろうことも。

トカゲは僕の経歴を全て調べあげていた。たぶん、あの黒の追っ手連中が、手紙を運ぶ人物の命を狙うであろうことも知っていたのだ。だから、僕に依頼した。きっと、なにもかも織り込み済みの、僕を意のままに飛ばそうという計算があったのだ。


だとしたら、やはり僕はとんでもない思い込みをしていたようだ。


僕は今まで、自分の目的のためだけに旅立ったと思っていたが、実は僕の旅の成功は、トカゲとその背後にいるであろう人々の成功にもなってしまうかもしれないということだ。


僕は考えながら汗をかいていた。

嫌な汗だった。寒いような暑いような、わからない汗。僕はただベッドの縁に腰掛けて考えているだけだったのに、なぜか汗が出てくるのだ。


「それに」

と、そんな僕の様子を尻目にキミは話の続きに入る。

「ラシェットは、Kとうまく接触できたら、どうやってKからサマルさんの情報を引き出すつもりだったの?」

「えーっと……」

僕は答えに詰まってしまった。

「じゅ、銃で脅すとか?」

「はぁ、そんなの無理に決まってるじゃない。Kが本当に地位のある人なら、あなたみたいに、一人でのこのこ来るわけないわ。きっと逆に銃で脅されて、手紙を奪われてお終いよ。サマルさんの情報なんて一つも手に入らないと思うわ」

キミは呆れて言う。

なるほど、キミの言うことは正しかった。

僕はあまりにも無策だったのだ。僕はKに接触できさえすれば、あとは何とでもなると思っていた。まぁ、キミの話を聞いた今でも、少しはそう思っているが、しかしうまくいく確率がかなり低いのも確かだった。


「だから隠しちゃうのよ」

そうキミは手紙をひらひらさせながら言った。

「そうすれば、サマルさんの情報と引き換えに手紙の隠し場所を言う、私を殺せば手紙は戻らないぞって、脅せるじゃない?」

「た、確かにそうだ」

僕はキミの提案に舌を巻くしかなかった。しかし、一つだけ疑問を挟んでみた。

「でも、それは賭けじゃないかな?もし、その手紙がKにとって、さして重要なものじゃなかったら僕の脅しは全く効力を発揮しなくなる」

それを聞くと、キミはなに食わぬ顔で

「大丈夫。それはないわ」

と言った。

「さっき言ったでしょ?この手紙からはとても不吉な予感がするって。わかるのよ。そういうの。だから本当はね、この手紙はKに渡さない方がいいと思うの。でも、破けないし、燃やせないから」

「そういう意味でも隠したいんだね?」

僕がそう言うと、キミは微笑んでうんと言い

「だって、サマルさんの情報さえ引き出せればいいんでしょ?だったら何も本当の隠し場所を教える必要もないしね」

と13歳らしからぬ、悪知恵を付け足した。


嘘を吐くと、後々に厄介なことになりそうではあるが、それも一理あると僕は思った。

手紙は渡さず、サマルの情報だけを手に入れる。うん。悪くない。むしろ、今まで僕が闇雲に目標としてきた、Kとの接触よりずっといい気がする。そうなったら、Kやトカゲやあの黒の連中がどう動いてくるかも見てみたかった。


でも、Kの所に行かないなら、僕はどうすばいいんだ?

僕がそう考えていると、キミは僕の顔をじーっと見て

「ねぇねぇ、ラシェット。そもそも何のための旅なの?目的を思い出してよ」

と僕の心を見透かしたように言った。


そうだ。僕は誰のために旅に出たのだ。


「そうか。そうだね。僕はサマルを見つけるために旅に出たんだ。だから、僕はサマルの手紙のヒントを解いて周ればいい。Kやトカゲ達は無視だ。来たきゃ勝手に来ればいい。そういうことだね?」

僕がそう言うと、今度こそキミはにっこり笑ってくれた。

「そういうこと。やっとわかってくれたわね」


僕はその笑顔を見て、何か今まで僕にまとわりついていたものが、パーッと離れていくのを感じた。


「ありがとう。キミのおかげでやっと目が覚めたかもしれない」

僕は言った。

そうだ。僕は今まで気持ちこそ強く持っていたが、知らず知らずのうちにその行動はコントロールされかけていたのだ。このままでは、僕はサマルの望みを叶えるどころか、それと正反対のことをやり兼ねなかった。つまり、僕が敵をサマルの所まで案内するところだったのだ。


「ふふ。ね?話して良かったでしょ?」

「ああ、本当に」

僕は本当にそう思ったから、そう言った。しかし一方で、この話をしたことによって、彼女をこの一件に巻き込んでしまったのには、変わりないとも思う。まさか、こんな砂漠のど真ん中まで調べに来ないとは思うが、それだけが心配だった。


「さてと、じゃあそろそろ寝ましょ。もうだいぶ遅いから、早く寝ないと朝起きられなくなっちゃうわ。明日はやることがいっぱいよ。急に増えちゃったんだから」

キミは立ち上がりながら言った。

「そうだね。じゃあ、朝起きたらまずは……」

「手紙を隠しに行きましょ」

「うん。そのあとにレッドベルの修理に使えそうな材料を探す。で、時間があったらレッドベルの所を目指す」

「そうね。そうしましょ」

キミはなぜだか楽しそうにそう言った。本当は楽しめるような内容の事でもないし、むしろ危険な僕の旅に、完全に首を突っ込ませてしまった後ろめたさが僕にはあるのだが、今はキミの力を借りるしかない。だから、キミの楽しそうな仕草を僕は歓迎すべきなのかもしれないのだが、大人の僕がこんなキミに頼りっぱなしでいいのかとも思った。


「あ、でも手紙を砂漠に隠すって言っても、どこに隠せばいいのかな?本当に砂の中に隠したら、後で場所がわからなくなっちゃうし、この集落に隠したらすぐに見つかっちゃいそうだし……」

頼りっぱなしついでに、僕が寝る前にまた疑問を口にするとキミは

「うーん。そうね。心当たりがないこともないんだけど……」

と迷うような態度を見せた後、小声で


「ま、記述通りなら……ラシェットに見せても大丈夫か」


とつぶやいたのが聞こえた。しかし、かなり小さい声だったので、僕には本当にそう言ったのかどうかはわからなかった。

「え?何か言ったかい?」

「ううん。なんでもない。隠し場所なら私がいい所を知ってるから明日、案内するわ。だから今日はもう寝ましょ。じゃ、おやすみなさーい」

キミは子供らしく言うとソファの上に飛び乗り毛布を被ってしまった。

「あ、うん。おやすみ」

どうもキミは子供っぽい声と普段の自分を使い分けている節がある。しかし、それもキミが生きていくために身につけてしまったものなのかもしれなかった。

僕は目を瞑った。

色々な考えが頭をよぎる。キミのこと。これからのこと。

でも、もう眠りはすぐそこまで来ていた。



翌朝。

扉の隙間から漏れる眩しい日差しで、僕は目を覚ました。今は何時なのだろう。日の明るさからして、そんなに早朝ではないはずだ。

ソファには既にキミの姿はなかった。見回してみても家の中にはいなかった。

僕はベッドから降り、伸びをした。

屈伸運動もしてみる。うん。昨日よりだいぶマシになっている。


扉から外に出てみると、遠くにキミの姿が見えた。キミは箒を手に、石畳の道に積もった砂を掃いていた。

「なるほど。どうりで砂に埋もれていないわけだ」

僕はキミに近づいて言った。

「あ、おはよう、ラシェット。思ったよりも随分早く起きて良かったわ」

キミは手を休めて言った。

「おはよう、キミ。お陰様でね。いつもそうやって掃除しているのかい?」

「そうよ。こうやって毎日掃除しないと、こんな小さい集落、あっという間に砂に埋もれてしまうもの」

キミは休めていた手をまた動かし始めた。

「まだ、箒はあるかい?僕も手伝うよ」

僕が言うとキミはまた不機嫌な顔になりそうになったので

「もう全然平気だよ。それに、今日はやることがたくさんあるんだからさ。二人で手分けした方が早いでしょ?」

と口を挟まれる前に言った。すると、キミもさすがにもう諦めたのか

「わかったわ。じゃあ、あそこの小屋の裏にまだ箒があるから、それを使って」

と言ってくれた。


それから一時間程かけて、僕達は全ての家の屋根と道の掃除を終わらせた。キミはいつもの半分以下の時間で終わらせることができたと喜んでくれた。

それから、僕達はキミが早起きして作ってくれていた、パンとジャガイモのスープを食べ、ラクダに餌をやると、手紙を隠すための出掛ける準備をした。


「その隠し場所はここから遠いのかい?」

僕が聞くと、キミは

「そんなに遠くないわよ。ラクダで2時間くらい。あなたが倒れていた、遺跡があるでしょ?あの少し先くらいよ」

と、顔を布で覆いながら言った。

僕は大した身支度はなかったが、キミが貸してくれた外套を身に纏い、フードを頭に被せた。

「あんな所に隠し場所が?」

「うん。あるのよ。でも、今から案内する場所はとても神聖な場所だから、他言は無用よ。決して他の人に喋ってはダメ」

キミは真剣にそう言った。僕はそれを感じとり

「もちろん誰にも言わない。それは信じて欲しい」

と言った。キミは僕の目を見て頷く。

「ふふ。私こそもちろんよ。私はラシェットを信じているわ」


僕達はラクダに跨った。昨日と同じく、キミはケムに、僕はローに。ラクダは二頭ともキミが操る。

「じゃあ、行くわよ」

キミがそう言って、ラクダに合図を送ると二頭ともテコテコと歩き出した。僕はまた揺られているだけだ。しかし、今度は周りの景色を楽しむくらいの余裕はありそうだった。


道中砂漠には草一本、サボテンのひとつも見当たらなかった。そんな何も目標がない砂漠をキミは何も見ずに、どんどん進んでいく。

まだ午前中だというのに、太陽の光は容赦なく地表を焼く。しかしラクダというのは、地表から少し高さが離れている分、涼しく感じた。確かに、ラクダという生物は砂漠の民にとっては、欠かせない生物なのだ。僕は改めてそれを肌で感じ、思っていた。


やがて、昨日僕が倒れたあの遺跡が遠くに見えてきた。それを遠目に見ながら、キミはなおもラクダを進ませる。


そして、さらに4、50分過ぎた所で、キミはラクダを止めた。

「ここよ。ちょっと待っててね」

キミはそう言うとラクダから下りた。

僕はラクダの上から辺りを見回し、戸惑っていた。

なぜなら、ここは周りには何一つ見当たらない、ただの砂丘の上なのだ。

「い、一体どういう……?」

僕が言うと、キミは

「しっ、いいから黙って待ってて。それとできればこっちを見ないで」

と言った。そう言われても、と僕は思った。見るなと言われたら余計に気になってしまう。

僕はそっぽを向いたフリをしながら、ちらっちらっと時折キミの様子を伺った。

キミは足下の砂を手で払い、しきりに何かを探しているようだった。

この砂の中に何かが埋まっているのか?僕はキミの行動の意味がまだわからなかった。

少しするとキミはお目当てのものをみつけたようだった。


それは地面に埋め込まれている石版のように見えた。


「ちょっと、ラシェット。あんまり見ないでって言ってるでしょ。ま、今更そんなこと言っても仕方ないかもしれないけど」

キミは僕をここまで案内したことと、自分が秘密にしたいこととの間にある、おかしな矛盾に自分自身、呆れているようだった。


キミは石版に手を当て、なにやら囁き始めた。


僕はそっぽを向きながら耳を傾けたが、全く知らない、聞いたこともない言語のように聞こえた。

僕はまたちらっとキミの方を見た。すると、なんと石版が持ち上がり、キミと同じくらいの高さの台となったのだ。

その石の台は黒く光っていて、表面にはびっしりと古代文字が彫られていた。何の文字かは遠目ではわからないが、おそらく、ぱっと見では古代アストリア文字ではないかと思われた。

そして、その台の真ん中くらいの高さには二つの穴が開いていた。


キミがちらっとこちらを見た。僕はすっと視線を戻した。明らかにわざとらしかったが、仕方ない。きっとキミもわかっているはずなのだ。キミにどんな意図があるのかは、わからなかったが、キミは僕を信じて、キミのその秘密の一端を見せることに決めたに違いないのだから。


キミはサングラスを外した。

そして、体を屈ませ二つの穴を覗き込んだ。


チキッ、チキチキチキ、チキッ


と極小さな音で台が鳴っているのが聞こえた。一体これから何が起こるというのだ?何が始まるというんだ?

僕はその様子をもう隠すことなく見守っていた。


チキッ


音が止んだ。


キミが穴から目を離した。

やはり緋色の目をしている。

キミと目が合った。キミは苦笑いをし、サングラスを掛けた。

「下がってて、危ないわ」


キミがそう言った、次の瞬間、


ゴゴゴゴゴゴコゴゴゴ……


と鈍い音を立て、台の横の砂が割れ始めた。

「うわっ」

ケムとローが後ずさりした。僕はローから飛び降り、地面を見つめる。


やがて、姿を現したのは地下へと続く、真っ黒い石でできた階段だった。砂はさらさらとその階段へと飲み込まれていっている。


僕はそれをただ呆然と見ていた。


「さ、ここよ。ここに手紙を隠しましょ」

キミは手に付いた砂をパンパンと払いながら、素っ気なく言った。


手紙をここに?


そうだった。ここにトカゲの手紙を隠すために僕達は来たのだった。


しかし、これは一体なんなんだ?


僕は手紙を隠すうんぬんよりも、今はこの目の前で起こった出来事の整理をするだけで、手一杯だった。


僕は考えていた。

僕はキミを僕の旅に巻きこんでしまったと、後ろめたい気持ちを持っていたのだと。


しかし、本当はそうでないのかもしれない。


僕は、またまたとんでもないことに、自ら首を突っ込もうとしているのかもしれなかった。


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